第5話 裸の面談
―――――――――――朝礼終わりに、担任の武田先生に呼び出された。
指導室に入ると、正面に向かって座った。面談されているみたいだ。
「―――――今更遅いだろうけど、助けてあげられなくてごめんなさい。」
開口一番に述べたのは謝罪だった。やはり女神の言う通り、教師連中も虐めに気付いていたのだ。自殺した後に言うのだから、それはちょっとずるいんじゃないかと俺は思った。
もし、あそこで自殺していなかったら、異世界でこの世の地獄を見ずに済んだと思うと、この謝罪はとても独りよがりで、ただ自分の罪悪感を晴らしたいだけの告解のように感じて、気味が悪かった。
でも、そんな事じゃ何も解決しないと、俺は誰よりも分かっている。
「別に、助けを求めた事はありませんよ。」
「見て見ぬフリをしたのは事実。今回の責任は全部私にある。」
「責任も何も、最初から何も背負う覚悟はしていなかったじゃないですか。その言葉にどれだけの信頼があると思います?って、こんな話、俺もしたくないですよ。」
俺は溜息をついた。異世界で大事な人が殺された事を思い出したのだ。
『誰かにとっての悪人は、誰かにとっての聖人かもしれない。』
そう、俺に教えてくれた人が悪人として殺された事を思い出してしまった。
「先生もしかして、こういう時、誰かを悪者にすれば解決する話だと思ってます?」
「・・・それは、どういう・・・。」
「俺も加害者なんですよ。死のうとする事で、俺も虐めに関わってきた全員の人生に傷をつけてやろうと思いました。俺の自殺は、単なる復讐に過ぎなかった。俺が死ぬ事で、貴方の教師生活も終わらせてやろうと本気で思っていました。」
「・・・・・・そこまで思い詰めていながら、私は・・・・。」
「だから、これから俺も変わります。先生も変わって下さい。お互い今度は間違えないように頑張りましょう。」
子供のくせに偉そうだな、と自分でも思う。年上の人間に説教垂れるような、出来た人間ではないのだ。
俺は異世界で大勢の命を殺した。それも利己的な理由でだ。
魔王を倒す、その目標を達成する為に、数々の尊厳を踏み躙り、突き進んだ。それがどんなに正しい目的、正義があったとしても、決して許される事ではない。
俺という人間も、この世界になじまなければいけない。その努力は惜しんではいけない。
今更、過去の虐めを振り返り、誰が悪かったかとか考える段階では無いのだ。
過去と向き合い、これからどうするべきかを考え続ける。そうするしか、無い。
せっかく生き返ったのならば、生まれ変わらなければいけない。
俺も、既に、許されるべき人間では無くなっているのだから。
「・・・約束する。絶対に、2度と同じ過ちは繰り返さない。」
先生は、涙を流していた。こんな若造の、含蓄の無い言葉が響く事があるのかと、俺は不思議に思った。
ていうかそれより―――――――――――――――――――
「――――先生。それより、話しておかなければいけない事が。」
「・・・何かしら?」
「制服ってどこに売っているんでしたっけ?もうほぼ裸なんですけど・・・。」
「・・・ねぇ海老原君、そんなにごつかったっけ・・・?」
「原因不明です。起きたらこんな事になっていました。」
「そんな事あるの・・・?」
「分かりません。医者もお手上げだそうです。」
これも、いつまで誤魔化せるのか分からない。
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