第25話 何の変哲もない夏休みの一日 その1
―――――次の日。
幸助は目覚まし時計の音と共に、飛び起きる。
―――――あれ、昨日何してたんだっけ?と思い返し、ハッと我に返る。
あっ、やっばい。アイナ姫様に殺されるかもしんない・・・・。
確か、グランドキャニオンで女勇者レーヴと戦った後・・・いやいやあれが4日前の話だ。そこから彼女を介抱して洞窟で3日間過ごして、気付いたらレーヴといい感じになって、なんか手を繋いで帰ってきて・・・。
俺、膝枕してたよな・・・・・・?で、寝落ちして、今・・・・・・。
――――――実は!!幸助は睡眠不足下に陥ると、何も思考が働かない体質なのだ!!
レーヴを介抱した際、残り少ない魔力での《防壁陣》の展開と火起こしの為の薪作り、食料を調達したりと、色々な事をしていく内に、彼は一睡も出来なかった。
さらに、もし 、《防壁陣》を破られた時の事も考えてしまい、一層目を見張るしかなかった。札幌で妙な事件が起きているし、何が起こってもおかしくない。そう考えた彼は、食料を調達した後は、レーヴを守る為に、その場から全く動こうとしなかった。
―――――そして、アイナ姫の目の前で寝落ちするという暴挙に出てしまったのだった!!
その時の会話をいまいちよく覚えていないが、かなり生意気な事言っていたような気がする・・・・・・。大丈夫だろうか・・・・・・。
冷汗が止まらない。うわぁやらかした・・・・・・。
ていうか、学校じゃん。そういえば3日間グランドキャニオンで過ごしていたから、月曜日は学校休みっていう扱いだから・・・ってもう終業式終わってんじゃん。
あれ、今日から夏休みじゃん。やばい、課題貰うの忘れた。後で学校行こう・・・。
・・・・・ていうか、もう俺の部屋に皆いないな。隣のアパートで暮らし始めたんだろうか・・・・。
・・・・・・もう、色んな事があり過ぎて、頭がパニックだ。どうしたものか・・・。
とりあえず、洗面所行って・・・っていうか、昨日風呂入ってねーじゃん。
じゃあ、軽くシャワー浴びるか。まぁ風呂場まで歯磨き持って行って、のんびりとシャワータイムに耽るか・・・・・・。いや、ジム行った後に、ジムのシャワー浴びるか。ちょっと身体動かして、そのついでに学校寄って、適当に漫画買って、家に帰る。あこれ最高のプランじゃん。夏休み満喫出来てんじゃん。
幸助は歯ブラシを手に取り、磨き始める。
・・・えーと、取り合えず、お母さんが作ってたら朝飯食べよう。無ければプロテインだけ飲んで、あ昨日寝ちゃったからマルチビタミンだけ取っておこうかな、口内炎出来るの嫌だし・・・。で、そっから今日何しようかな、ビッグ3からやって・・・あーでも、今日フリーウェイトコーナー混んでそうだな・・・まそれは行ってみないと分かんねぇか、まぁいいや。
歯磨きを済ませると、幸助は台所の机を見た。何も置かれていない。
お母さんはまだ起きていないみたいだ。
じゃあ、今日はプロテインでいっか。
冷蔵庫を開けた。あっ、ラッキー。リンゴジュースと豆乳あるじゃん。じゃあこれと水で割って、ミルクティー味のプロテインを作れば、カーボも取れるし旨いし、ついでにマルチビタミンも取れば完璧じゃん。あー、最高。
シェイカーにそれらをぶち込んでシャカシャカする。夏の朝に飲む冷えたプロテインは最高に旨いだろうなー。
テレビをつける。また札幌市の特集やってる。なんか大変そうだなーと呑気に思う。
夏休みに札幌行って確かめるのもありかもしれないなぁ・・・。
うわっ、旨っ。なにこれ、リンゴジュース入れただけでこんなに旨くなるの?は?
もう一杯飲もうかな。あー、腹ちゃぷちゃぷで筋トレしたら逆流して吐きそうになるんだよなぁ。やめとこ。
なんか、誰もいない朝はちょっと寂しいけど、たまにはいいなぁ。何も気を使わなくて済むし、自分のやりたい事出来るし。
あー、眠くなってきた。いやジム行こう。そしたら朝から最高じゃん。
大きい欠伸をして、幸助は外出の準備に入った。
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「――――――あっ、でっかい欠伸しやがりました!!!呑気なものね!!」
アイナは、幸助の様子をアパートの自室から観察していた。アイナ自作のマジックアイテム《遠見の玉》で映された映像をデジタル化し、バックスクリーンとして壁に映して観察している。既に科学の概念を理解し、魔術的な事象と組み合わせる事に成功するというとんでもない偉業を達成しているのだが、本人はそれを気にしていない。無防備で呑気な従者を眺めてポテチをつまんでいる。
「これは多分もう一回寝るんじゃないかしら!!二度寝ね!!!」
「いや、多分ジムに行くんじゃないでしょうか。」隣の小春が呟く。
「小春の言う通りだ。朝、プロテインだけで済ませただろ?ジムでついでにシャワー浴びようって魂胆だろ。」またその隣にいるセトラも呟く。
「やはり、2人を呼んだかいがありました。私一人じゃ、彼の行動を予測するなんて不可能ですから。」
「いや普通に分かるって。あいつ基本ジムばっかり行きたがるし。」セトラが溜息をついた。
「何ですって!?知らなかったわ・・・コースケは鍛える所、私に見せたがらなかったのよ。ジムで何しているのかしら?」
「筋トレ以外に無いだろ。それか走り込み。」
「自分を追い込むのが本当好きよね。ま、だから私コースケの事大好きなんだけど。」
「こうも直球に言われると尊敬するわ。流石姫様、潔くて素晴らしい。」
「あっ、家を出るわ!!」
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うわっ、外あっつい。なにこれ、蝉の鳴き声うるさっ・・・。日本の夏熱くなり過ぎじゃねぇ・・・?まぁいいけど。
うーん・・・まぁ抑え目でジョギングして、そっから身体温まった状態で筋トレやるのもいいな・・・ウォーミングアップとして丁度いいな、よし。
走ろう。あれ、イヤホンはポーチに・・・あったあった。
適当に芸人の深夜ラジオ流すか。あー、あったあった。久しぶりに聞くなー、7年ぐらいぶりかぁ。このコンビ確か、今来てるんだよなー。
一回試しに聞いてみよ。
・・・うわっ、面白いなこれ。次絶対売れるわ。あっ、そろそろジム着くな・・・。
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「・・・あんなにニヤニヤしながら走る人間いるかしら?余程のマゾなのかしら。」
「見ろ、姫様。耳にイヤホンしているだろ。あれで何か聞いているんだよ。」
「へー。ていうか、私達、冷静に考えたら何しているのかしら。何でこんなエアコンの効いた部屋でムサイ男のランニング姿を眺めているのかしら。」
「全部姫様発案だろ。急に我に帰んなよ・・・。」
3人は、急に現実に戻り、悲しくなった。
「・・・あっ・・・何て事・・・・・・。」
アイナ姫はポテチを落とした。3人は絶句する。
幸助はジムに到着し、受付を済ませ、トレーニングスペースにやってきた。そこには――
「――――あれ、レーヴじゃないか。」
女勇者レーヴも、身体を鍛えようとジムに入会していたのだ。
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