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おはよう世界、さよなら異世界  作者: キャピキャピ次郎☆珍矛
序章
23/125

第23話 最強決戦 決着

 ――――――魔王軍元幹部・スレイヤー。

 幸助が師事した、《創具顕現クリエイト》の使い手であり、悠久を生きる人類の敵・吸血鬼だった。

 彼女と幸助の出会いは運命だった。スレイヤーは魔王軍の体制に不満を持ち、反逆するが返り討ちに合い、瀕死の重傷だった。そうして倒れている彼女を幸助が保護したせいで、幸助の運命は急激に加速していった。

 幸助は、瀕死の彼女を救う為に回復魔法を施した。が、それだけでは駄目だった。傷口を塞ぐだけでは。

 スレイヤーは自分の血を流し過ぎていた。だから、すぐに人間の血を欲した。

 ―――――――結果、幸助はスレイヤーの眷属・吸血鬼となった。


 人外と成り果てた幸助は、昼間外に出られない身体になる。だが幸助は冒険者でもあった。

 その身分を使って、スレイヤーと共に数々の依頼をこなしながら、着実に力をつけていった。夜にしか受けられない依頼をこなしていく内に、幸助の噂は次第に広まっていった。


 そしてある時、連れ去られた姫様を救い出す任務を受ける事になる。

 数々の冒険者がこの任務に集まった。その中に、世間を賑わしている人類の希望・勇者レーヴも参加する。


 敵は、古城アルカンタに潜む、かつて神として崇められていた存在・女帝デスペラード。

 そこに囚われた姫様を救う為に、国を挙げての戦争が勃発した。


 ――――――そして、その時に、勇者レーヴはそれを見た。

 師匠スレイヤーの身体を抱きかかえ、泣き叫ぶ幸助の姿を。


 そして、かつて神として崇められていた魔王軍幹部・女帝デスペラードを、怒りのままに、一方的に蹂躙する圧倒的な姿を。


 力を欲していた勇者には、それが恐ろしく魅力的に映った。

 目の前で師匠を失い、狂乱し泣き叫ぶ彼の覚醒を、その場でまざまざと見せつけられた。


 ―――――こうして、任務は無事に成功する。

 が、魔王軍や魔族に対して並々ならぬ感情を持つ市民達に、まさか姫様を救い、あの女帝デスペラードを打ち倒した奴の正体が吸血鬼であると知られる訳にはいかなかった。

 よって、手柄は全て勇者レーヴのものになった。この事実を知る者は、その戦争に参加していた冒険者や傭兵達、王族関係者のみだった。


 そして、幸助はこれをきっかけに、アイナ姫と出会う。

 アイナ姫は、命の恩人である幸助を人間に戻す為に、様々な改造を施した。昼間にも外に出られるように、吸血しなくてもいいように、とにかく幸助の身体を弄り回した。

 その結果、最強の執事が誕生した。だが、幸助の本来の姿は、人類の敵である吸血鬼。


 神さえ屠るその強大な力は、決死の覚悟が伴った時にしか使えないように。

 自らに、枷を設けていた。



 死者のように白い皮膚、紫色に染まる眼、細くなった身体。

 伸びた爪と八重歯、身体の周囲を漂う瘴気。只者ではない風貌へと変身を遂げた。


 「――――で、俺がこの姿になった所で、今のお前に敵うとは到底思えないけどな。」


 その吸血鬼は、そう嘯いて嗤う。人類の敵でありながら、最も人類に貢献したとされるその男は、勇者よりも人々に尊敬されていい筈の存在だった。

 だから、勇者はこの男を越えなければいけなかった。己自身がただの仮初では無い事を証明する為に、完全に勝たなければいけなかった。


 「《偽創具顕現フェイクリエイト神滅銃剣ラグナロク・ベイオネット》&《偽創具顕現フェイクリエイト火炎撃槍フレイムランス》―――――!!」


 右手に銃剣、左手に槍。これを持った幸助は、更に新たな処理を加えた。


 「――――《融合》。」


 自らの身体に他者の身体を取り入れる事で、知識や経験を喰らうスキル《融合》は、吸血鬼状態の際にしか使用出来ない限定スキル。更にそれは、幸助がこの姿になる事で更なる進化を遂げた。

 自らの身体の一部として、魔装具を顕現する事で、二つの異なる存在を《融合》させ、新たな真の魔装具を創り出す―――――!!!


 「《真創具顕現リクリエイト極炎斬刃レーヴァテイン》―――――」


 勇者レーヴに向けて、極炎の刀が振り下ろされる。一瞬の間に距離を詰められていたが、ギリギリで交わした。

 ―――――だが、その刀を振り下ろした瞬間、超高熱が巻き上がった。

 爆発のような刹那のエネルギーでは無く、その刀には空間をも燃やし尽くす圧倒的な熱が放たれていた。ガソリンが着火するように、その刀を中心に、酸素が燃やされる。


 勇者はようやく瞳を開けた。只事ではない様子を察知する為に。


 ――――何も無いのに、燃えているという現象を、勇者は初めて見た。


 その刀は、半径およそ5㎞にも及ぶ範囲の中で、幾層もの炎の渦を形成した。勇者と吸血鬼を囲み、逃げ場を無くした。


 ―――――息が、出来ない。何もしなくとも身は焦がれていく。常軌を逸した熱だった。

 その一振りで、全てを焼き尽くしてしまったのだ。


 「―――――アトムプラン、実行!!」


 ―――――――が、爆発さえ起きなかった。もうその分の酸素が無いのだ。

 もはや、切り伏せるしか道は無い―――――――――!!!


 「―――――――うらァァァァァァァァァ!!!」


 伸びた爪を使って、幸助に飛び掛かる。身体的な能力はレーヴが勝っていた。近寄るだけで身体が溶けそうな刀さえも弾き飛ばし、幸助を蹴り上げて殴り飛ばした。

 幸助はその衝撃で吹っ飛ばされ、何度も岩壁を貫いていく。勇者が追い打ちをする為に、魔力を噴出し加速、炎の渦から抜け出し、飛ばされた吸血鬼の後を追う。

 だが、レーヴは気付いていなかった。無意識に、目を開けていた事に。

 吸血鬼は嗤った。その時にはもう、遅かった。


 「《偽創具顕現フェイクリエイト閃光手具メリケン・スパーク》―――――」


 視界が真っ白になる。閃光手具メリケン・スパークを喰らった事で、全ての感覚が蝕まれていき、五感も機能しなくなった。意識を失う際の浮遊感が身体を襲う。

 ただ、彼の声だけが聞こえた。白く染まる世界の中で、彼が嗤っているのが分かった。


 「《偽創具顕現フェイクリエイト・勇者剣ガイア》――――――」


 ――――――幸助は、最後に偽物の勇者剣で、彼女の本物を打ち砕いたのだった。


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