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おはよう世界、さよなら異世界  作者: キャピキャピ次郎☆珍矛
序章
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第2話 再会


 目を覚ますと、そこは病院のベッドだった。

 お母さんが椅子に座り、眠っている。呼吸器を付けられている事から、状況をすぐに察する事が出来た。生きるか死ぬかの瀬戸際で、ずっと俺は生かされていたのだ。

 待てよ。異世界では何年と時間が経過していたが、これはあの時、死んだ直後の出来事だよな?まさかあの女神しくじって、異世界で経過した時間と同じくらい時間が経っている時間軸に戻したんじゃないよな?もしそうなったらもう一回あのクソ女神のいる空間に戻って恐喝するしか無いが・・・お母さんの眠る横顔を見て、安心した。全く老けていない。

 目が腫れているのが、とても申し訳なく感じた。


 その点、俺の身体はというと、元気モリモリでムキムキだった。

 腕がめっちゃ太い。患者用の服がはち切れそうだ。圧迫感が凄い。何だこれ。えぐい。

 改めて見ても、異世界で頑張り過ぎた跡が残り過ぎている。腕さえも傷だらけだ。


 これどうすっかなぁ・・・。お母さん叩き起こす訳にもいかないし。

 さっきまで、最初に何て声を掛けようか、ずっと迷っていたのに、何も言う気が起きない。


 目に魔力を集中させる。時計を見ると午前3時を回っていた。カレンダーは7月21日。

 どうやら俺が飛び降りて2日が経過している感じだった。

 ・・・ていうか魔力そのままかよ。使えるんかい。


 俺は元気で仕方無かったが、お母さんには元気に寝ていて欲しかった為、点滴の針を外し、スキルで針跡を直し、呼吸器も外して眠りについた。


 その2時間後、俺は叩き起こされた。

 どうやら俺のいびきで起きたらしい。最初はお母さんも、俺が本当に俺か疑ったようだ。

 そりゃそうだよ、以前より身体が3倍くらい筋肉で膨れ上がっているもん。生死の境を彷徨っていた奴が急に全快して、ムキムキになっていて、いびきこいてたら意味わかんないもん。


 どうやら俺は集中治療室にいたが植物人間状態だと判定されてしまい、それでお母さんも同席が許されている状態だったらしい。慌ててすぐに医者が駆け付けたが、俺を見て仰天していた。こんなに色んな意味で変わり果てた患者はいなかっただろう。


 「・・・と、とりあえ・・・・本当に良かった、幸助・・・!!」


 そう言って、お母さんが急に抱き着いてきた。今とりあえずって言おうとしなかった?現実が混同して、適切な掛ける言葉吟味したよね今?

 「うん・・・ごめんね、お母さん・・・。」

強く抱きしめたら背骨折ってしまう確証があったので、優しく抱いた。

 「・・・・・・とにかく、良かったわ・・・。」

 母さんの顎から涙が伝い、肩が濡れるのを感じた。

 「・・・・・・うん。」


 これだけでも、この世界に戻ってきた意味はあるだろう。


============================================


 次の日、俺は退院した。

 退院まで、あり得ない早さらしい。怪我も治っているし、リハビリの必要も無かったので当然といえば当然だ。これからは経過観察らしいが、レントゲンを撮った際、手術の時に埋めたボルトが何故か身体から消失していた事が判明し混乱を招いたが、自分自身も何故そうなったかは説明できないので、こちらからは何も言わなかった。異世界の事を話すと面倒だ。というよりそんな眉唾な話、誰も信じる訳がない。


 それよりも、この身体をどうするべきかが今後の課題だった。

 異世界で努力して得た身体と力とは言え、当然現代社会には必要の無い力だ。異世界がヤバ過ぎて今や銃弾、ミサイル程度なら跳ね返せる力を手にしてしまっているので、力を加減するのがかなり重要になる。俺、こんな傷だらけで、将来堅気の仕事が務まるだろうか・・・?


 「本当に学校の対応が酷かったの。転校した方がいいわよ。」

 車を運転しながらお母さんが言う。どうやら女神の言っている事は本当だったらしい。あの学校はやはり隠蔽体質があったのだ。


 「いや、いい。明日にでもすぐに登校するよ。」

 「・・・本当に、大丈夫?」

 「もう前の俺じゃないよ。」

 「まだ3日しか経ってないわよ。本当に、何があったの?」


 勘が鋭い。これは、虐めに対しての言葉じゃないだろう。俺がこんなに変わり果ててしまったのは、何らかの要因があるに違いないと、お母さんも何か気付いているのだ。


 「・・・長い、夢を見てたんだ。」

 「何そのゲームの主人公が最期に言いそうな台詞は。」

 「・・・確かに・・・。」


 お母さんのツッコミに、ぐうの音も出なかった。


 「でも、たまに聞くわよねそういう話。夢の中で何十年も過ごしたって人、たまーにいるのよね。そういうもんかしら。」

 「そういう事。夢というには、あまりにもリアル過ぎたというかね。色んな仲間が出来たんだ。お母さんにも紹介したいくらいだよ。龍人のセトラ、魔法使いのクロエ、魔剣使いのブラッド・・・。」

 「・・・息子とはいえ、ちょっとキツイわ・・・。」

 「いやマジだから。いやマジじゃないけど!!」


 確かに、この話を他人にすると妄想野郎の戯言にしか聞こえない筈だ。

 やっぱり異世界の話は、誰にもしないようにしよう。本当に色んな経験をしたから話したいのが本心だが・・・うん。恥ずかしい。客観的に見たら大分やばい奴だ。

 なるべく、目立たないように生きよう。

 現代社会でこの力を持つのは、幾ら何でも世界の理に反している。


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