謎女と謎男
謎女は相変わらず小学生らしからぬ言動で周囲の舌を巻かせていたわけだが、原則としては目立つことを望まなかった。その割には奇特な、というか急な思いつきで始めるお遊びが過ぎるためにしばしば目立つ。
例えば今、ここしばらくの露出多めな服装から突如として顔以外の見えないローブ風の様相に変えてしまっている。
「なんで?」
「なんとなく」
訊いてもこれだ。
ショートだった髪はいつの間にか少しだけ伸びていて、後ろで束ねていることは間違いないのだが……フードに隠れてそれは見えない。
「逆じゃない?普通は」
「それもなんとなく」
こういう場合、本当になんとなくだ。
こいつはそんな女なのだ。
「おじさんは何て?」
「4ヶ月位じゃないかって」
感想じゃないのかよ。
「その格好を続ける期間ってこと?」
「そう。当たるかどうか楽しみね」
「覚えてたらね」
4ヶ月後であれば真冬の最中だ。
そしてその衣替えをするときにはたぶん、寒い。
寒い格好に変える。
そんな気がする。だって謎女だし。
そういったちょっと偏屈な行動をとるところは実際おじさんに似ている気がする。
おじさんに影響されたのかもしれないし、あるいは元々そんな性格だから気が合うのかもしれない。
いずれにせよこの謎女は矛盾に満ちた存在であり、それがいささか極端なのだ。
とはいえ。
その時期辺りから僕らは中学へ上がるための勉強に追われるようになっていく。
元より成績優秀な児童であったものだから、そういう中学へ行くための選抜だ。
だから好き放題に勝手をして回る余裕は少しずつ無くなっていき、そして時間が過ぎるのも早くなっていった。




