異世界転生キターー!
第1章 1話異世界転生
俺の名前は、太田龍都高校一年生、貧弱な体で力も弱く、クラスの人達からは〈スケルトン〉や〈ゾンビ〉など不名誉なアダ名を付けられていた。
ある日の学校帰り、俺はいつものように駅から家まで歩いていた。
空は黒い雲に覆われていて、天気予報では雷に注意してくださいと言っていたはず。
まあ、雷が当たるなんて宝くじが当たるぐらいの確率だし大丈夫だよな。
ゴロゴロ......ピシャッ!
「えっ」
..........
「あっ、気がついた」
...ここはどこだ、 確か俺雷に打たれて。
「おーい、聞こえますか」
.........
「あっはい。ところでここはどこですか」
「ここは貴方がた人間でいう天国みたいな所です」
「天国ってことは、俺やっぱ死んだんですね。まさか雷に打たれて死ぬなんて」
「それなんですが、実は貴方に当たった雷はうちの上司がストレス発散で落とした雷でして......」
えっ?
「その...」
「えっ、俺ってその上司のストレス発散のせいで死んだんですか」
「...はい」
「「 ......... 」」
「そこでですね、貴方を生き返らせるのでどうか許してほしいというのが上司からの提案でして......どうします」
「それはいいんですが、生き返るってもしかして...」
「はい。異世界です」
マジか、異世界キター!
「詳しくは上司から聞いてください。それでは私は仕事があるので」
そう言ってその人は、どこかに行ってしまった。
マジか!異世界だぞ異世界、どんな所だろう。
俺がテンションマックスではしゃいでたら、目の前に一人の男性が現れた。
この人がさっき言ってた上司の人?なんかイメージと違うんだが。
てっきり、怖い顔したおっさんかと思ったけど、なんかすっげえ若い人だなぁ。
「あっどうも、天界では結構えらい立場の者です。私のせいで死んでしまって申し訳ない」
「でも生き返らせて下さるんですよね」
「はい。その際に何か加護を付けてあげるので、何かご希望とかありますか」
加護?もしかしてよく漫画とかであるチート能力?
「それってどんな事でも良いんですか」
「はい。どんな事でも良いんです」
どんな事でも良いのか。
「一応聞いておきたいんですけど、一つだけですか」
「本来ならば一つだけですが、今回は特別に多少の事ならいくつでも良いですよ」
マジか!
「なら、どんな敵でも一撃で倒せる力と、どんな攻撃にも耐えられる頑丈な体、あと痛覚無効とか再生能力とかが欲しいです」
結構欲出しまくったけど大丈夫かな。
「はい、わかりました。ではその四つを加護として貴方に授けますね」
オッケーなのか!
「あっそういえば、一つ確認したい事があるんですけど、異世界語とかは大丈夫なんですか?」
「はい。向こうの言葉は全て日本語に変換されるので大丈夫です」
良かった。
「あともう一つ聞いても良いですか?」
「はい。なんでしょう」
「その、ストレス発散って言ってましたけど、そのストレスの原因って何だったんですか」
「実は......仕事帰りによく行く居酒屋で僕の大好きな酒がなかったんですよ!」
はぁ?
「いつもは必ずあるのに、何でないかって店主に聞いたら、『さっき、いつもあんたと一緒にいる女性が全部飲んで行ったよ』って言って来たんですよ!しかもその女性は僕の幼馴染で、事あるごとに僕をからかってくる奴で、次の日会社に行くと『あっ昨日は大好きなお酒が飲めなくて災難だったね』とかふざけた事言ってきて、ついカッとなってしまい雷を落としてしまったんです」
えっ、俺そんな理由で死んだのか。
てか、天界に居酒屋があるんだ。
「んっん。では、そろそろ向こうに送るので少し動かないでください。あと、外見を少しかっこよく変えてあげましょう」
マジか。四つもお願い叶えてもらったうえにサービスしてくれるなんて、ありがとございます!
「では、貴方に最強の攻撃力と防御力、そして痛覚無効と自己再生のスキルを与えます。出現地点の希望はありますか」
「なら、人里から少し離れた森の中で」
「でしたら、ついでにこれを持って行くといい」
そう言われて渡されたのは、一本の鉄の棒みたいなもの。
「これは何ですか?」
「簡単に言うと何にでも変形する便利な武器。貴方がイメージした形になります。これなら、どんな敵が来ても大丈夫でしょう」
何と便利な武器なんだ。
「何から何までありがとうございます」
「いえいえ。では、良い人生を。そして、できれば魔王を倒してきて下さい」
ん?魔王。
俺は魔王について聞こうとしたが白い光に包まれて視界が真っ白になった。
...ここは...ついたのか。
俺は、ゆっくりと目を開けた。
そして目に飛び込んできた光景は...
「いやーー!誰か助けて!」
でかい虫に追いかけられている女性がいた。
何これ? てか、虫でかくね!
流石異世界ってところか、常識外れだな。
「そこの君、見てないで助けてよ!」
助けてって言われてもどうすればいいんだ、見るからに硬そうな甲羅だし、てかどっかで見たことあると思ったらあれクワガタ虫みたいだなぁ。
よく小学生の頃、森に行って捕まえてたな。
「ちょっと、何ぼっとしてんのよ。早く助けて!」
そうだった、早く助けないと。
神様からもらったこれ、何にでも変形するんなら刀にしてみよう。
俺は棒を片手に持ち、刀を思い浮かべると棒が刀に変形した。
おおすげぇ!本当に刀になった。
思ったより軽いけど大丈夫かなあ。
まあ大丈夫でしょ。
「今助ける!」
「いやーー!はやくなんとかしてー!」
俺は虫に向かって走り出し、硬い甲羅に向けて刀を振りおろした。
キェーーー!
甲羅は豆腐のように簡単に切り裂かれ、虫の悲鳴が鳴り響いた。
「大丈夫ですか」
俺は、地べたに座る女性に近づき声をかけた。
お、この人よく見ると綺麗だなぁ。
白色の長い髪に細い体、なのに胸には巨大なスイカが2つも実っている。
「ありがとうございます。危うく真っ二つにされるところでした。てゆうか貴方すごいですね、ジャイアントヘラクレスの甲羅をあんな簡単に切り裂くなんて。ドラゴンでも砕くことが難しいと言われているのに、貴方はいったい何者ですか」
何者と言われてもただのチート持ちです。
「ええっとそれよりも、貴方こそ何者ですか。そして、なんで追いかけられていたんですか」
「私の名前はミツキ、冒険者です。ギルドからの依頼で、この森の中に生えている薬草を取りに来たんですが偶然にもジャイアントヘラクレスに見つかってしまい逃げ回っていたんです」
この人冒険者だったんだ。
「それで、貴方は何者なんですか」
「俺の名前はリュウト、いろいろあってこの森にいたんです」
「ふーん、まあいいや。貴方も冒険者?」
「いや、違いますけど」
「えぇ!あんなに強いのに冒険者じゃないの。ちょっとステータス見せてよ」
ステータスってどうやって出すんだ?
悩んでいると突然目の前に何かがでた。
多分これがステータス表なんだろう。
『レベル5 HP3630 攻撃力9999+ 防御力9999+ 魔力4323』
ミツキは俺のステータスを見て、顔を青ざめて震えていた。
「あっあんた何これ、レベル5なのに攻撃力と防御力が9999プラスってどういうこと!体力も3000超えっておかしいでしょ!」
「普通はどのくらいなの?」
「レベル5なら平均110ぐらいなんだけど...あんた人間?魔族じゃないよね」
安心してください、人間ですよ。
「ミツキさんのステータス見せてもらってもいいですか?」
「はい、別にいいですよ」
そう言うと、俺の目の前にステータス表が現れた。
これがミツキのステータスか。
『レベル8 HP236 攻撃力124 防御力110 魔力105』これが普通なのか、てか16歳って俺と同じじゃん。
一通り見終わりミツキのほうを向き。
「まあ俺のステータスの事は、他の人には内緒にしてください。それよりも街に案内してもらってもいいですか。ギルドとか行ってみたいし」
「わかったわ。それより、リュウトはソロ、それとも誰かと組むの?」
「誰かと組みたいけど、俺知り合いとかいないし」
「じゃあ私と組まない?私、仲間探してたんだ」
「じゃあよろしく頼む」
「ふふ、これからよろしくねリュウト。頼りにしてるわよ」
「なあミツキ、いつになったら森を抜けるんだ」
「おかしいわね、確かにこっちの道で合ってるはずなんだけど....」
今俺とミツキは街に行こうと森の中を進んでいるのだが、何故か同じ所をグルグル回っているような気がする。
「なあ、本当にこっちの道で合ってんのか?てか、この光景さっきも見たような気が.... 」
「えっええ、今度こそ合ってるはずよ。流石に2時間も歩けば着くはずよ」
「ミツキは、街からさっきいた場所まで何分ぐらいで着いたんだ?」
「んーー、10分ぐらい?」
「おいおいちょっと待て、今何分って言った。10分⁉︎俺たち、かれこれ2時間は歩いているんだよなぁ。何で森から出られないんだよ!」
「...... 」
「お前もしかして、方向音痴だろ」
「....はい」
マジか。
「何で最初に言わなかったんだよ」
「だって、誰かには頼られた事無くってつい嬉しくて....それに、さっき助けてもらったお返しがしたくって....」
やめて!そんな悲しそうな顔しないで!
なんか俺が悪いような気がしてきちゃうから。
「まあ仕方ない。悪気があったわけじゃないんだし、気にしなくて良いよ」
そう言うと、パァッと明るい表情になった。
「街って、この森の近くなんだよなあ」
「そうだけど?」
「じゃあ少し離れていてくれ」
そう言うと俺から数歩離れて、不思議そうに俺に訪ねてきた。
「リュウト何するの?」
「まあ見ててな」
リュウトは少しかがんで勢いよく飛び上がった。
「んーーと街は、あれかな」
5秒ほど空中に浮かび、街を見つけて落下していった。
「街の方角がわかったぞ」
「....リュウトって本当に人間?」
「どっからどう見ても人間だろ。それより、街の方角がわかったから早く行こうぜ」
「ねえリュウト、ちょっとお願いがあるんだけど...」
「ん、なんだ」
「歩き疲れてもう一歩も歩けないの。ちょっと休憩にしない?」
「別にいいけど、どこか座れる所あるかなあ」
周りを見ても座れそうな所は無さそうだが。
「あ、リュウトあんな所にちょうど座れそうなキノコがあるよ」
それは、2人が座っても大丈夫そうな巨大なキノコが生えていた。
「じゃあそこに座って休憩するか」
そう言うとミツキは勢いよく走り出し『イッチバーン』て言いながらキノコに腰をかけた。
あいつさっきはもう一歩も歩けないとか言ってだけどめっちゃ元気やん。
そう言いつつ俺もキノコに近づき、ミツキの隣に座った。
するとキノコがブルリと震え、次の瞬間大量の胞子が噴射した。
「ゲホッゲホッ、なんだ急に!」
「ケホッケホッ、もしかしてこのキノコ生きてるの!」
するとキノコがムクリと動き、こっちをチラッと見て勢いよく飛び出して逃げたいった。
「ゲホッゲホッ、なんなんだあのキノコ」
「ケホッケホッ、あのキノコはコイコイダケって言って触れると大量の胞子を出して逃げていく魔物」
タコのイカ墨みたいだな。
「そしてその胞子には、他の魔物を引きつける効果があるのです」
ん?
「今、何て言った」
「だから、他の魔物を引きつける効果があるんです」
確かにミツキはそう言った、『他の魔物を引きつける効果がある』っと。その意味が何を表すかリュウトはすぐにわかった。
今の俺達がとても危険な状況だということを...
「ミツキ、急いで武器を構えろ!」
「ん?なんでですか」
「お前さっき自分で言っただろ。魔物を引きつける効果があるって!ということは、大量の魔物が襲ってくるってことだ!」
そう伝えるとミツキもその意味を理解したらしく、すぐに武器を構えた。
ミツキが持っている武器はショートソード、見るからにそこら辺で売ってそうな武器である。
ガサ... ガサガサ....
来たか!
次の瞬間目の前の草むらから大量の魔物が飛び出してきた。
見ためは大きな犬で真っ黒の毛に覆われている。
「ミツキ、この魔物はなんだ!」
「コイツらはブラックウルフ。常に集団行動で獲物を狩るS級指定されている魔物です。集団の中に1匹集団をまとめるボスがいて、そいつはSS級指定の魔物です」
マジかよ。S級指定の魔物の団体に加え、それよりも上のSS級指定の魔物まで来るとか、S級のバーゲンセールかっての!
「リュウト、私この子達に勝てる気がしないんですが」
ですよねー。
「なら俺から離れるなよ!」
「う、うん....」
なんだろう、自分で言ってて超恥ずかしい。
いやいや、今はそんな事考えてる場合じゃない。
俺は刀に変形したクリエイトソウドを構えた。
ちなみにクリエイトソウドとは、リュウトがさっき考えた名前だ。
「ガルルル...」
完全に殺る気満々だな。こちとら歩き疲れてるってのに元気の良いい犬どもめ、ぶっ殺してやる。
そして俺はブラックウルフの集団に突っ込んでいった。
30分後
「はぁ、はぁ、これで終わりか」
リュウトは一心不乱にブラックウルフ達を切り倒していき、最後にはひときわデカい奴を倒し全滅させた。
ミツキはというと、俺から少し離れた草影に隠れてプルプル震えていた。
「もう大丈夫だぞ」
そう言うと草影に隠れていたミツキがひょこんと出てきた。
「もう大丈夫なの?」
「ああ、全部倒したよ」
周りをキョロキョロと見回し安全だと確認し「ほっ」と息をついて出てきた。
「すごいわねリュウト、ブラックウルフの集団を一人で全滅させるなんて!」
満々な笑みでそう褒めてきた。
「結構きつかったけどな」
いくら強くても流石にあの量はキツすぎる。数えてはいないけど、ざっと50匹ぐらいは倒した気がする。
「早く街に行こうぜ。また魔物達の相手するのはごめんだから」
そう言ってさっき空から見た街の方角に向いて歩こうとしたら。
「ちょっと待って。せっかくだしこの子達から売れそうな素材回収して良い?」
片手にナイフを持ったミツキが訪ねてきた。
「いいけど、どうやって持ってくんだ?」
「ストレージバッグに入れていくんだよ。これ本当に便利で、荷物がたくさん入るんだよね」
この世界にはそんな便利などうあがあるのか。
「できればリュウトに手伝ってほしい」
「別にいいけど、素材ってどうやって取るんだ?」
すごいものを見てしまった。
ブラックウルフのお腹をナイフで引き裂いて中のものを取り出す作業で、その時のミツキの笑顔がトラウマになってしまった。
「あまりミツキを怒らせないようにしよう」
「?、何か言った?」
「いえ!なんでもないです」
後悔しながら森の中を歩いて数分、やっと森を抜けて目の前には巨大な城壁とそれの半分くらいの門があった。
「ようこそ、エギル王国へ!」