プロローグ
はじめまして。wamuです。
作者も、バリトンサックスずっとやってます。私もはじめは、主人公と同じくバリサクのこと微妙な楽器だと思ってました。でも今では完全なバリサク中毒です(笑)
自分のところにも可愛い女の子になった楽器が来てくれませんかねえ。
「……うげぇ。課題曲またマーチかよ。ほぼほぼ四分の表打ちじゃねえか」
俺は月野 悠人。高校の吹奏楽部所属だ。吹奏楽は小学校から続けている。
なんで吹奏楽かって?そんなの決まってんだろ?
……女子が多いから!!!モテそうだと思ったからだよ!!
おっと、言い忘れていた。俺はバリトンサックスという楽器を担当している。わかる人間にはわかるだろうが、サックスという楽器のとにかくデカくて、低い音の鳴るやつだ。最初はアルトサックスを希望してたんだ。なんでアルトサックスかって?メロディーやら何やら担当して、まあ一言で言えば、やたらカッコイイ楽器だと思ったからだ。まあつまりは…
モテそうだと思ったからだよ!
しかし現実はどうだ。結局、身体がデカいってだけで同じサックスの中でもバリトンサックスだなんて馬鹿でかくて低くて伴奏ばかりの楽器に回された。始めてみたら割と愛着は湧いてきたから、今はバリサク大好きになったけどな。だがルックスも中の下の俺は演奏でも目立てず女の子はまったく寄ってこず……男子部員というだけで打楽器運びやらでこき使われるだけという始末だ。
想像してたのと違かった。吹奏楽部に入りさえすればカッコイイ演奏のおかげで女子に囲まれて、人生バラ色で、彼女なんか出来ちゃったりして……!
実際はサッカー部やらバスケ部の体育会系男子のほうがよほどモテてるじゃないか。
「こんなことなら運動部やってりゃ良かったぜ……。彼女欲しい……。」
切実な独り言を漏らしながら、俺は今日も吹奏楽コンクールの課題曲をメトロノームに合わせて練習するのであった。
そう、愛する楽器を吹き鳴らして。