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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ある兄弟の最期

作者: 伽耶 雫

初投稿です。

 あるところに2人の兄弟がおりました。2人はいつも協力しあい、仲の良い兄弟でした。2人が幼い時に両親は立て続けに亡くなり兄の右之助が親代わりとなって左之助の面倒を見ていました。

 左之助も立派に成長し畑仕事を手伝うようになった頃隣のお鈴がよくにぎり飯を持ってきて3人でたべるようになりました。

 2人はお鈴に惹かれていきました。

 その頃から2人はお鈴のことで言い争うことも増え、昔のあの仲の良い兄弟はもういませんでした。

 ある日のこと、いつもの言い争いで右之助が

「左之助のように1人では何も出来ない奴をお鈴は好まない」

 と言いました。その言葉に左之助は堪忍袋の緒が切れ

「ならばおれは出ていく!1人でなんでも出来ると証明しよう!」

 そう言い出て行ってしまいました。

「勝手にしろ。おれはもう知らん」

 この時の右之助は自分がどうなるのか考えもしていませんでした。


 左之助が出ていってから2日後、お鈴と昼飯を食べていた右之助のもとに報せが入りました。

「お、おい!右之助!さ、左之助が…」

「どうしたんだ。血相変えて」

「喜一郎さん落ち着いて話してくれる?」

「あ、ああ。左之助が…左之助が……」

「左之助がどうしたんだよ」


「死んだ。辻斬りに殺された」


「…は?何の冗談だよ!左之助が?んなことありえない」

「き、喜一郎さんもう少し詳しく教えてもらえる…?」

「昨日この先の道で左之助の遺体が見つかったんだ。犯人はその周辺の宿に泊まっていたらしい」

「そんな…左之助さんが…なんで…」

「……おい、喜一郎。そいつはまだそこにいるのか?」

「え、あ、ああ。今晩発つそうだ 」

「そうか。ありがとう」

「まさか右之助さん…。だめよ!そんなことさせない!」

「右之助、復讐するのか?それはいけねぇ、わかってるのか!?」

「わかっているさ。あの時……俺があんなことを言わなければあいつは死ななかった。だから俺が代わりにあいつの無念を晴らすんだ。」

「右之助さん…」

「もうおれはこの村には戻ってこれないだろう。お鈴、世話になったな。ありがとう。喜一郎もありがとう」


 辻斬りに復讐すると決めた右之助はお鈴と喜一郎にこう言い残し、村の刀を持ち出して村を出ました。

 辻斬りの元へと向かう、その足は重いものでしたが弟の無念を晴らすためにしっかりと前へ進んでいました。


 宿についたのは日が暮れた頃でした。右之助は道沿いの木の陰に隠れ、辻斬りを待っていました。

 少し経つと宿から武士が出てきました。こいつだと確信した右之助は気配を悟られないようにゆっくり慎重に辻斬りをつけ、広い場所へ出ると持ち出した刀で辻斬りを背後から斬りつけました。その場に倒れた辻斬りにのっかり、右之助は辻斬りを刺し続けました。血が顔に吹きかかっても刺し続けました。

 そこには憎しみと後悔の念が込められていました。


 疲れ果て、正気に戻った時には右之助の衣は真っ赤に染まっていました。


「おれは、おれは…。左之助、おとっつぁん、おっ母さん。今行きます。」


 右之助はそう、天に向かって言うと自分の喉に刀を突き刺しました。



 兄弟を襲った悲しい出来事。

 きっと右之助は決意していたのでしょう。復讐を終えたら自害する、と。


どうだったでしょうか?感想お待ちしてます。

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