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白
目を開く。
また同じ光景に溜息をつく。
私と座っている椅子しかない真っ白な場所。もう何度も見た夢だ。
もう一度息を吐いて深く椅子に座る。
いつも通りなら、もうすぐのはず。
そう思っていたら、白の一部が歪んで人の形が現れた。白から黒に変わり、真っ黒なマントに身を包んだ男になる。
「初めまして」
男は愛想よく言ってニコリと笑う。
「どうも」
素っ気なく返すと、男は一瞬ピクリと眉を揺らしたが、表情は崩さず笑顔を保った。
「えっと、君は今どういう状況なのか分かっているのかな?」
「と、いうと?」
「えっと、だから……」
戸惑いを見せる男に、クスッと笑ってから私は立ち上がった。
「ここが夢だってこと? 貴方みたいな人と何度も会ってるってこと?」
言葉を吐きながら近づく私に、男は体を強ばらせる。
「それとも、私がなんでここにいるのかってこと?」
男の目の前に立って彼の顔を見る。
あぁまた違う。
「君はどうして……」
掠れた声を出した男に、私はニコリと笑みを向ける。
「でもごめんなさい。貴方じゃないの」