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結界師への転生  作者: 片岡直太郎
第十六章 黒龍編 激闘編
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第四百八十八話 相談

【リノス(結界師・28歳)HP:54794 MP:70012】  

結界魔法LV5 火魔法LV5 水魔法LV5 風魔法LV5 雷魔法LV5 土魔法  LV4 回復魔法LV5 生活魔法LV2 詠唱LV5 鑑定魔法LV5 剣術LV5 MP回復LV5 気配探知LV5 魔力探知LV5 魔力吸収LV5 肉体強化LV5 回避LV5 行儀作法LV4 教養LV5 麻痺耐性LV5 毒耐性LV5 精神魔法LV5 精神耐性LV5 黒魔術LV5 加護LV5 洞察LV5 空間魔法LV3

<軍神> <知神> <大魔神> <鉄人> <鉄腕> <闘将> <智将> <名伯楽> <人心収攬>

軍神:剣術LV5、雷魔法LV5、風魔法LV5 知神:鑑定魔法LV5、回復魔法LV5 大魔神:黒魔術LV5、精神魔法LV5 鉄人:精神耐性LV5、毒耐性LV5、麻痺耐性LV5 鉄腕:肉体強化LV5 闘将:火魔法LV5、水魔法LV5 智将:詠唱LV5、MP回復LV5、魔力吸収LV5 人心収攬:加護LV5 教養LV5 結界魔法LV5 気配探知LV5 魔力探知LV5 回避LV5 洞察LV5


「う~ん」


目をぎゅっと閉じながら天を仰いでいるのは、アガルタ王リノスだった。彼は、執務室の椅子に腰掛け、腕組みをしながら、先ほどから何やら考え事をしている。机上には、自身のスキルが殴り書きされた紙が載っている。


「何でなんだろうなー」


誰に言うともなく、彼は呟く。眼を開き、足を組みなおして、両手を頭の後ろで組みなおす。


「まあ、考えても分からんものは分らん。しゃーないな」


そんな独り言を言ったかと思うと、彼は机の上の紙を懐にしまって立ち上がった。


その次の日、彼の姿は、帝都の屋敷の庭にあった。傍にはゴンが従っていたが、なぜか彼は大きなため息をついていた。


「どうしても、でありますかー?」


「ああ。ゴン、行きたくなければ、本当に来ないでもいいぞ」


「そうもいかないでありますー。吾輩の姿がなければ、あの変態女官共が、吾輩を呼び出す口実を与えることになるでありますからなー」


その声にリノスは苦笑いを浮かべる。


◆ ◆ ◆


「おお、久しいのう」


機嫌のよさそうな声を出しているのは、おひいさまだ。だが、彼女の様子に反して、その前に座るリノスの表情は強張っている。それもそのはずで、おひいさまはいつもの九尾の狐の姿ではなく、人化した状態だったからだ。


萌えのツボを完全に押さえた姿のおひいさま。ゆらゆらと揺れる九本の尻尾が、そのクオリティーの高さをさらに高めている。


「なんじゃ、どうしたのじゃ?」


「あっ、いえ、その……」


「うふふ、妾の姿に驚いておるな? さもありなん。妾のこの姿……巷の男どもは皆、心を奪われるようじゃからの」


おひいさまは、クックックと笑っている。その様子を見て、傍に控えていた女官の千枝と左枝が、とてもお美しゅうございます、などと追随している。話を聞けば、たまにこの姿で巷に出没して、色んな男たちからナンパされるのを楽しんでいるのだという。ふと後ろに視線を向けると、ゴンがおひいさまを呆然とした表情で眺めている。どうやら、彼もその姿に魂を奪われているようだ。


「で、今日訪ねてきたのは、何の用じゃな?」


おひいさまの声で、我に返る。


「本日は折り入って相談がありまして」


「ほう、相談とな」


「はい。それにつきまして、まずはお土産を……」


「おお! 待ちかねたぞよ!」


目をキラキラ輝かせるおひいさまと女官たち。その様子を見ながら彼は、無限収納から大きな箱を取り出す。ふたを取ると、中には底に緑色の葉っぱが敷き詰められた、透明な寒天のようなものが入っていた。


「これは、何じゃえ?」


「葛を固めたものです」


「くず?」


「はい。百聞は一見如かず。まずは、食べてみてください」


彼はよっという掛け声とともに、箱をひっくり返した。すると、蓋の上に真四角の大きな透明な塊が落ちてきた。彼は葉っぱをきれいに取り払うと、その上から真っ黒い、ドロドロとした液体をかけていく。


「どうぞ、お食べ下さい」


おひいさまは、訝しそうな表情を浮かべながら鼻を近づけて匂いを嗅いでいたが、やがてチラリとリノスの顔を見ると、口を大きく開けて葛にかぶりついた。


「……上品じゃ。程よい甘さじゃ」


「気に入っていただけると、うれしいのですが」


「気に入ったぞよ」


「ありがとうございます」


「この菓子は、妾にこそふさわしい。千枝、左枝、今回は、そなたたちへの下げ渡しは、無しじゃ。すべて妾が食すぞよ」


「そんな、おひいさま……」


「ええい、黙りゃ。ああそち、この葛……を、あと百個ほど持って来るのじゃ」


「百個は……難しいですが、いくつかご用意して、近日中にお供えしましょう」


「たんとじゃ。たんとじゃぞよ」


「承知しました。あ、千枝さん、左枝さん、そんなに気を落とさないでください。ちゃんと、あなた方へのお土産もありますから」


「おおさすがリノス様。わかっておいでじゃ」


リノスは無限収納から、二つの小さい木箱を取り出す。その中には、緑色のゼリーのようなものが入っていた。


「これは、わらび餅と言います。きなこをかけて召し上がってみてください」


彼女らは勧められるままにきなこをかけ、わらび餅を口の中に放り込んだ。


「ほう、餅のような食感ですが……。何とも程よい甘さで……」


「冷たくて、美味しゅうございます」


二人は顔を見合わせながら笑みを交わしている。その様子を、おひいさまが横眼でじっと睨みつけている。


「大丈夫です。おひいさまの分もありますから」


そう言って彼は、木箱をおひいさまに手渡す。彼女は、満足そうな笑みを浮かべながら、それを受け取った。


「で、相談というのは、何じゃえ?」


おひいさまは口をもぐもぐさせながら話しかけてきた。弾力のあるわらび餅をかみ切るのに、少し苦労しているようだ。


「はい、他でもありません。スキルのことです」


「スキルのことじゃと?」


「はい。御存じのとおり、俺はかなり高いスキルを持っています。ただ、最近、そのスキルがうまく使えていない気がするのです」


「どういうことじゃえ?」


「例えば、鑑定スキルですが、今までは、スキルを発動すれば、その人の過去から考えていることまで手に取るように分かったのですが、最近では、人によって、それができない場面が多く見られるようになったのです」


「つまりは、過去や考えが読めぬ、ということかえ?」


「その通りです」


おひいさまは、フムと唸ったかと思うと、手についたきなこをペロペロと舐めながら、何かを考えている素振りを見せた。


「理由は簡単じゃ。そなたの腕が落ちたのじゃ」


「腕が落ちた?」


「考えてもみよ。いくら最強の剣士と言えど、修行も何もせぬでは、その腕は落ちていくであろうが」


「なるほど……。でも、スキルを見ると、相変わらずLV5と表示されているのですが……」


おひいさまはフゥとため息をつくと、まるで、噛んで含めるような言い回しで説明を始めた。


「確かにそなたは、LV5のスキルを持っているのじゃろう。じゃが、そのスキルを上手くいかせておらん、ということじゃ」


「上手く……活かせていない……」


「特に鑑定スキルは、注意深くその者のことを観察することが必要じゃ。そなたが見えぬと言っていた者……鑑定するときに、注意深くその者を鑑定するようにしたかえ?」


「……一瞬発動させただけです」


「それ見よ。それでは、高レベルのマジックアイテムや高位の魔術師にかかってしまえば、見えなくなることもあろう。また、相手のスキルが高ければ高いほど、よくよく注意して見ねば、間違った情報が表示されることも多い。故に、鑑定スキルを発動するときは、よくよく注意して見ることが必要じゃ」


「なるほど……心当りがあります」


「そうじゃろう。今一度、おのれのスキルを見直し、注意深くそれらを使ってみるのじゃ。さすれば、そなたの悩みは解決に向かうであろう」


そこまで言うとおひいさまは、リノスの後ろに隠れていたゴンに向って手招きをする。キョトンとした表情を浮かべながら前に進み出てきた彼に、おひいさまはスッと右手を差し出した。すると、ゴンの身体が黄色い光に包まれた。


「あれ?」


気が付くと、おひいさまたちの姿はそこになかった。その瞬間、部屋の外から男の怒鳴り声が聞こえてきた。


「おひいさま! おひいさま! どこにおいでじゃ! おひいさま!」


ガラリと障子が開かれると、そこにはサンディーユが立っていた。


「ここにおいでか! まだ爺の話は済んでおりませぬぞ。今日はたっぷりと小言を聞いていただく!」


「え? え? ちょっと?」


サンディーユはゴンの腕をつかんだかと思うと、彼を連れて部屋を出ていってしまった。その様子を、リノスは唖然とした顔で見守っていた……。

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― 新着の感想 ―
[良い点] このスキルシステムはステに表示されてないマスクデータがあって、怠けてたら体が劣化するようにスキルにも発現に関わる項目がありそれが基礎値になって増減し、それにスキルレベルによる係数が加算なり…
[一言] 更新有り難う御座います。 ……今日も(!?)被害者はゴン……。
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