第三話 奴隷商
王都に着いた。
王都は高い城壁に守られており、東西南北に設置された関所から出入りするらしい。俺たちは「西門」から王都に入るようで、ひげ面が鎧を着た門番と何やらやり取りしている。
「奴隷商人でございます!証明書はこれですぅ!」
「うむ、では、積み荷を確認する。・・・何だ、子供ばっかりだな。よし、通れ」
西洋風の鎧を着た、金髪イケメンの兵隊だ。何かちょっとイラっとする。
ガタガタと馬車は石畳の王都を進む。外を覗いてみると、そこには多種多様な人々が行き交っていた。そう、いうなれば、コスプレ会場。鎧姿の兵士、貴婦人のようなドレスを着た人、神父、コックのような服を着た人・・・などなど。俺が今着ている硬い生地で作られたシャツとハーフパンツは、かなりみすぼらしい格好のようだ。本当に奴隷なんだな、俺。
どうやらこの世界は西洋風らしい。金髪や銀髪が多い。ちなみに俺はというと、黒髪である。ここだけは前世の特徴を引き継いだらしい。
しばらくすると馬車が止まり、俺たちは外に出された。大きな商会風の建物が見える。どうやらこれが奴隷商の店らしい。店の奥から、小ぎれいな格好をした初老の男性が現れた。どうやらこの人が、この店の店主らしい。
「ガイムよ、帰ったか。ご苦労だった。女の奴隷は汚れを落とし見栄えを良くせねばならん。井戸に連れていけ。入念に磨くのだ。男は・・・。今から儂が市で売る」
「では旦那様、奴隷権を移植させます」
ガイム=ひげ面が俺の腕を取り、何やら呟いた。すると手の甲が一瞬だけ光った。
「これでこのガキは旦那様の所有になりました。じゃあ残りのガキは井戸に連れていきます。おい!グズグズするな!俺についてこい!!」
ゾロゾロと女の子たちは移動していく。不味いメシをあげた少女は、俺の姿を見ることなく、淡々とガイムの後に付いていった。
「では、来なさい」
旦那様、と呼ばれた男性が歩き出す。俺もそのあとを歩いて付いていく。
これはもしかしたら、逃げられるんじゃないだろうか?この人の多さだ。見たところこの旦那は戦闘力は高くなさそうだ。やるだけやってみようか。
旦那は全く俺を振り返らない。これはいけそうだ。少しずつ旦那と距離を取る。いい感じに、距離が開いてきた。チャンスだ、と思った瞬間、俺の体に電流が流れ、激痛が走る。
「ああ、奴隷魔法で縛っているから気を付けるように。儂と一定の距離が空くと痛みが走る。逃げだしたり、殺意を儂に向けたりすると、凄まじい激痛が走ってしばらくは動けなくなる。嘘だと思うなら試してみるといい」
必死で首を振る。あれ以上の痛みが走るのか・・・ありえねぇ。完全に詰んでるじゃねぇか。
旦那から距離が離れないように必死でついていく。旦那は比較的ゆっくりと歩いているようだが、こちらは子供だ。歩幅がまるで違うので、かなり速足で歩かねばならない。マジでキツい。
ちょっとヤバイと思ったその時、旦那の足が止まる。どうやら「市」についたらしい。