表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
結界師への転生  作者: 片岡直太郎
第九章 夢のかけ橋編
263/1135

第二百六十三話 紆余曲折

「……で、どういうわけなんだ?」


リコの産室からダイニングに戻ってきた。椅子に座る俺の目の前には、ローニとドーキが並んで座っている。そして、俺の隣には、おそらくここ数日徹夜続きなのだろう、目を真っ赤に充血させた、チワンの姿があった。


俺は、この二人の話を聞く前に、ポーセハイの長であるチワンも同席してもらった方がいいと考えた。そこで、チワンに念話を飛ばしたところ、即答で伺いますと返事があった。そして、ほどなくして俺の屋敷に転移してきたのだった。


「チワン、大丈夫か? 寝て……ないな?」


「問題ありません。4日ほど寝てないだけです。問題ありませんよ」


「いや、寝ようよ……」


「それより、行方が分からなかった同胞が見つかったのです。こんなにうれしいことはありません。……ドーキ、久しぶりだな」


「はい……お久しぶりです」


席に着くや否や、チワンが口を開く。ドーキは何か後ろめたいことがあるのか、チワンを前にしてオドオドしている。


「ところで、お前は今、何をしている?」


「……」


「お菓子屋をやっていると言っていました」


ローニが憮然とした表情で答える。それを聞いたチワンは、ため息をつきながら言葉を続ける。


「そうか。ちゃんと生きているならそれでいい。実は心配していたんだ。いくら思念で呼びかけても返答がない。だから、安否を確認することもできなかった。それにしても、本当に生きていて、何よりだった」


「……すみません。魔力を一切封印していたのです」


「いや、謝らなくていい。だが、どうして一切の魔力を封印していたんだ? 差し支えがなければ、教えてもらえないだろうか?」


「……一人前になろうと思って」


「一人前?」


「僕は……医学の才能はありません。人の血を見るのが大嫌いですから。鼻が利きすぎるから、薬だって扱えない。だから、別の道で一人前になろうと思ったんです」


「確かにお前は、ちょっとでも刺激のある薬を扱うと、くしゃみが止まらなくなっていたな。うん、それはわかる。で、それがなぜ、お菓子屋なんだ?」


「最初は料理人になろうとしたんです。子供の頃から、母の料理を手伝うのが好きでしたし、自分で何かを作るのも好きでした。だから、ホテルの厨房に入って修業をしていたんです……。しばらくそこに居たのですが、あるとき、兄弟子が自分の国で店を出すことになって、僕も一緒に働かないかと誘われたんです」


「ほう、ならば、それなりにお前は頑張ったんだな。しかし、魔力を封印することもあるまい」


「いいえ。ポーセハイの能力は、医学的なことにも使えますが、人を惑わすこともできます。そういう能力があることは出来るだけ隠したかったのです。……ポーセハイの評判はあまり良くなかったですから。僕は、一人前になるまでは、ポーセハイであることをできるだけ隠しながら、魔力を使わずに、自分の力でやっていきたいと思ったのです」


「なるほどな」


「それで、兄弟子の国に向かおうと旅をしていたんですが、途中で道に迷っちゃって……。必死で山の中をさ迷っていたら、ミーダイ国にたどり着いたんです」


「ミーダイ国?」


「ルルイエ大陸にある国です。ここからだと……船と徒歩で10日ほどかかりますか。周囲を高い山に囲まれた、小さな国です」


「ルルイエ大陸?」


「リノス様、お忘れですか? あのフラディメ国やサンダンジ国がある大陸ですよ。で、ドーキ、お前はそこで、何故お菓子屋に?」


「ミーダイ国の人々はとてもいい人ばかりで、こんな僕を手厚くもてなしてくれました。ただ、その国では、採れるのが大根やニンジンなどの根菜ばかりでして……。正直、あまり美味しくはなかったんです。そこで、僕がお礼に料理をしてあげたら、とても喜ばれて……。で、そこに居ついて料理屋を始めたんです」


「お菓子屋、関係なくないか?」


「ええ。最初は料理屋をやっていたんですけれど、色々と調べていくと、ヤートと呼ばれる大根みたいな作物が、煮詰めると砂糖みたいな粉ができることが分かったんです。ミーダイ国では、あまり甘味のお菓子というものがなかったので、一度作ってみようと思ったのが、お菓子を作るきっかけです。試行錯誤の結果、意外に美味しいお米が採れるのが分かりまして、それにヤートを加えてカチン……こちらではお餅というのですか? それを拵えてみたんです。そうしたら、すごく周りの人に喜んでもらえて……。で、根菜の料理は他の人に任せて、僕はお菓子屋をやってみようと……それで、今に至ります」


「なるほど、じゃあ、きちんと生活は出来ているんだな?」


「はい。それは……。家も持てたので、僕も一人前になったかなと。で、ローニと……」


そこまで言うとドーキは、チラリとローニを見た。しかし彼女はフンとそっぽを向いている。


「そう言えば、お前たちは子供の頃、仲が良かったからな。いい機会じゃないかローニ、結婚しろ」


チワンが真顔で口を開いている。それを聞いてローニの目が吊り上がる。


「イ、ヤ、で、す。大体、結婚云々の話は、5歳の頃の話です。その話を20年以上も覚えているのって、おかしくないですか? リノス様、おかしいですよね?」


ローニが俺をガン見している。俺はオホンと咳払いをして、口を開く。


「まあ、その、何だ。男と女は思考が全然違うのだよ、ローニ」


「どういうことでしょうか?」


「上書き保存と、名前を付けて保存の違いだ」


「え? ウワガキ……?」


「要は、女性の思い出は上塗りされていくと言われている。特に以前付き合った人のことなどはあまり意識せず、今、付き合っている人に集中するらしいな。しかし、男は違う。昔の思い出をいつまでも記憶の片隅に取っておくんだ。たとえ、嫁がいようとも、だ。それをたまに思い出しては、あの時の女の子はどうしているかな……好きって言っていたよな……なんて考えるんだ」


「……気持ち悪いですね」


「……気持ち悪いって言うな。悲しくなるわ。男ってのはそういう生き物だ」


隣でチワンが深く頷いている。そうだろう。チワン、お前は、俺の言っていることはわかるよな?


「だから、ドーキが5歳の約束を持ち出してくるのは、分からんではない。女子からすると気持ち悪いかもしれんが、俺から言わせると、心が純粋なヤツだと思うぞ? ローニは今のところ、好きな人はいないのか?」


「いません」


「なら、付き合っちゃえばいいんじゃないか?」


「えー」


「いや、結婚しろとは言わん。2、3回デートくらいしてやれんか?」


「リノス様、失礼を顧みずに言わせていただきますが、私にも選ぶ権利はあります」


「う~ん。ダメかぁ」


俺は天井を見ながら唸る。ドーキはいいヤツだと思うんだけどなー。いや、これは、男としての勘だ。5歳の、おそらく彼にとっての初恋をずっと忘れずにいた……叶えてやりたい。うん、確かに、女子からはキモイと思われるかもしれない。俺も、マジで? と思う気持ちがないわけではないが、お節介を焼きたい……。


「まあ、族長として、ローニ、お前に無理に結婚しろとは言わん。ただ、いつまでも独身というのもなぁ……まあ、それはいい。ところでドーキ、お前の住まいは確認させてくれ。それに、月に1度は我々の村に顔を出してくれ」


「はあ……それが……」


「どうした?」


「僕はあまり店を空けられないのです」


「どういうことだ?」


「僕がいないと、帝様みかどさまが残念がりますので……」


帝様みかどさまっていうと、王様ってことか? まさこここで王様の名前が出るとは思わなかった。もしかするとドーキは、皇帝の料理番ってやつなのだろうか?


俺は、詳しい話を聞こうと、さらに彼の話に耳を傾ける……。

皆様にお願い:


まだまだキャラクターの名前、募集中です。

男性、女性、都市名……広く募集しています。アイデアあるよ!という方、コメント欄でも結構ですし、

メッセージで直接送っていただいても構いません。よろしくお願いいたします。採用された名前は次章にて使わせていただきます。助けてください。よろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ