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結界師への転生  作者: 片岡直太郎
第一章 ジュカ王国編
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第二十三話  そして僕は途方にくれる

ルノアの森の奥深く、俺は木々の間から見える、真っ青な空を眺めている。


ああ、いい天気だな。絶好の洗濯日和だ。季節は秋。暑からず寒からずという絶好の気候。さわやかな風が森の中を駆け抜ける。ああ、いい風だ。家の中での読書もいいけれど、都会の喧騒を離れ、こうした森林浴も悪くない。何て静寂な空間なのだろう。平和だな・・・。


そんなことを考えている俺の目には、涙が光っている。もう少し、現実逃避の時間が必要なのだ。


いきなり人に襲われた。何もしていないのに、だ。先様が落ち着くまでルノアの森で時間をおこうと思っていたら、森に棲んでいる魔物まで俺から離れていく。どんどん奥に移動していくと、どんどん魔物が逃げていく。しかも、みな全力疾走だ。


俺の周囲には一切の気配がない。静寂そのもの。一切気配のない森の中って、結構怖いんだぜ?いや、本当に。一体俺に何があったのか。とりあえず、ステータスをチェックしてみると、何だかエライことになっていた。


リノス(大魔王・14歳) LV∞

HP:49859

MP:62874

結界魔法 LV5

火魔法  LV5

水魔法  LV5

風魔法  LV5

土魔法  LV4

回復魔法 LV5

生活魔法 LV2

詠唱   LV5

鑑定魔法 LV5

剣術   LV5

MP回復  LV5

気配探知 LV5

魔力探知 LV5

魔力吸収 LV5

肉体強化 LV5

回避   LV5

行儀作法 LV2

教養   LV3

麻痺耐性 LV5

毒耐性  LV5

精神耐性 LV5

黒魔術  LV5

呪い   LV5


軍神・知神・大魔神・鉄人・鉄腕・結界神・闘将・知将・名伯楽


・・・どないなってんねん?「奴隷結界師」が「大魔王」になっとるがな。物騒なスキルが付いているのと、ふざけた称号までついている。いつから俺は野球選手になったのだ?


職業が大魔王になっていたので、思わず自分の姿を確認した。水に映る俺の姿に変化はない。しかし、驚いたのは、自分のステータスを確認しようとしたら、いきなりステータス画面が目の前に現れたことだ。鑑定LV5の影響らしい。その上、俺が知りたいと思うもの全ての情報が表示される。他の探知能力もカンストした影響で、「マップ」も表示されるようになった。


「マップ」は50Km圏内の全ての生物が表示される。敵意を持つものや憎悪を持つ者は赤で表示されるらしく、俺の周囲5Kmは真っ白だが、その外は真っ赤になっている。


物騒なスキルと言えば、呪いLV5である。早速鑑定してみると


「全ての生物から忌諱され、邪悪なるものを引き付ける。ステータス上昇補正500%」


レベルめっちゃ上がるけど、皆に嫌われまっせ~というスキルらしい。どうやら俺に誰も寄ってこないのは、このスキルのためらしい。


俺のスキルは非表示にもできる。つまり、他者からの鑑定を妨害できるのだ。しかしこの「呪い」だけはどうしても隠せなかった。


剣や槍、弓矢などの物理的攻撃や魔法による攻撃は一切通用しないし、毒や麻痺も全く効かない。つまり俺にはどんな攻撃も通じないということになる。


しばし呆然として空を見る。なぜか涙があふれてとまらない。


しばしの現実逃避ののち、一度、心を整理してみる。ちょっと、自分の境遇を考えるのはよそう。別のことを考えてみよう。うん、そうしてみよう。


そこで、バーサーム家の宝物庫にあった品物を鑑定する。こいつがまた、ドえらいものだったのだ。


「無名剣」

少量の魔力を流すことにより、その持ち主に最もふさわしい剣に変形する。持ち主の最も優れた才能を最大限に引き出す。


「プローブルローブ」

着用者を常に清浄な状態にするローブ。呪い、毒、麻痺の攻撃を完全に防御する。着用者が流血している部分を完全に回復する。


このローブ使えんじゃね?


早速プローブルローブを着用してみる。呪いスキル、全く消えず。しかし、着用してわかったのはこのローブ、服や体の汚れを浄化してくれ、常に清潔な状態にしてくれるのだ。つまり、風呂いらず、洗濯いらず。挙句には負傷すると治癒してくれる効果もあるため、病院いらずのローブでもあるのだ。旅のお供の必需品!バーサーム家の初代様は素晴らしい。


せっかくなので、「無名剣」を手に取ってみる。持ち主に最もふさわしい、才能を最大限に引き出してくれる剣になるとのこと。試しに、剣に魔力を送ってみる。


説明には少量とあったが、結構な魔力を持っていかれる。普通の武器屋で売っているような鉄の剣だが、魔力量に応じて発光してくる。そして一瞬カッと光ったかと思うと、俺の手には一振りの日本刀が握られていた。


時代劇でよく見る、黒い鞘に入った日本刀。かなり軽い。注意深くゆっくり引き抜いてみる。


何とそれは、真っ赤な波紋を持つ、見るからに禍々しい刀だった。この刀を鑑定してみると、


「― ― ―」

肉体ではなく、精神を切り裂く剣。斬られた対象は、長時間地獄の苦しみを味わい、最終的に狂死に至る。防御不能


・・・これ、あかんやつですやん。いきなり呪いの剣を作ってしもとるがな。よくよく見ると、


「作成は一回限り。解除は所有者の死亡」


うわぁぁぁ。ダメだダメだ~。少ないチャンスをモノにできてねぇ~。


取りあえず、この剣に名前を付けよう。精神をぶった斬る・・・「鬼切」(おにぎり)でいいや。


刀の名前を考えていたら、腹が減ってきた。刀の銘が食い物の名前になったのは、空腹が原因ではない。たまたまだ。そういえば、昨日の昼を食べてから何にも食べていない。とりあえず、メシを作ることにしようと考えた俺は、その準備を始めるのだった。

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あっ〜普通のseed マイクラようこそ〜
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