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結界師への転生  作者: 片岡直太郎
第一章 ジュカ王国編
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第十六話  14歳の転機

成人から2年、俺は14歳になっていた。


いよいよ俺は、王宮結界師として仕官することになるらしい。現在の王宮結界師が近いうちに引退することになるのだ。


バーサーム家では俄かに慌ただしさが増しつつある。エルザ様が王宮に行くことが増えたのだ。先日など何の連絡もなく5日間も帰らなかった。さすがに心配になって王宮の大手門まで何度も迎えに行き、警備の兵士に笑われたくらいだ。


見かねた兵士が大手門の傍にある小門を開いて見せてくれた。大手門から真っすぐに王宮に向かって広い大きな石でできた橋が掛けられており、橋の遥か先に見える王宮は美しかった。


王宮に入ってしまうと、なかなか外には出られなくなるだろう。そう思った俺は、暇を見つけては西地区に出かけていき、様々な商店を物色している。


色々と珍しい食材や武器や防具があり、なかなか楽しい。黄金鳥で稼いだお金が手付かずであるので、買おうと思えば大抵のものは買える。しかし、今の俺にはほとんど必要ないものばかりだ。ちょっとレストラン風の店で飯を食うくらいだ。


奴隷商も見に行った。店の中は見ることができなかった。気配探知で探ってみたら、20人ほどが中にいるようだが、誰が誰かはわからない。一緒に連れてこられた女の子たちはどうしているだろうか?生きていれば、みんな成人しているはずだ。


一時は疎遠になりつつあった森への狩りも、最近は行くようになった。もちろんエリルも一緒だ。何だかんだで一緒に修行した仲間であり、俺にとっては姉のような人である。王宮に入るとエリルともなかなか会えないだろう。自由な時間があるうちに、思い出を作っておきたかったのだ。


・・・その日は、エルザ様がいつものように王宮に出かける日であった。エルザ様と護衛のファルコ師匠乗った馬車を見送るとエリルが狩りに行きたいと言い出した。


久しぶりに大物でも狩りましょうと、運動がてら、森に行くことにする。ここ数年で俺も馬に乗れるようになった。まだまだエリルの腕には敵わないものの、かなりの腕前になったと自負している。


二人で馬を並べて北門に向かって移動する。門を出て橋を渡るとすぐ森である。馬に乗れないときはよく、エリルの背中にしがみついていたものだが、最近はそれもなくなった。今、後ろに乗せてくれとお願いしたら、エリルは乗せてくれるだろうか?


そんなことを考えながら、気ままに狩りをつづけること数時間、気が付けばお昼だ。


「お腹がすいたわね」


「今日は私が作ります。街で小豆と砂糖を手に入れました。ちゃーんと塩もあります。お嬢様、楽しみにしておいてください」


「は?何を作る気?時間がかかる?いやよ、お弁当を出してよ」


ぜんざいを作ろうと思っていたのだが、拒否られてしまった。仕方なくお弁当を出して食べ始める。


「ぜんざい?甘いの?へぇー美味しそうね。じゃあ早めに出発しましょう。お屋敷に帰って作ってよ!」


せっかく出した小豆らを無限収納に入れていく。この無限収納と千里鏡は狩りの時の必須アイテムだ。すばらしいアイテムである。


お屋敷に帰還するべく、馬に乗って移動する。森の出口付近に来ると不意に馬が立ち止まる。その直後、


「ドーン!」

「ドーーン!!」

「ドーーーン!!!」


何かが爆発する音が聞こえる。エリルと俺は顔を見合わせ、森の出口に急ぐ。森を抜けてすぐ、俺たちの目に飛び込んできたのは、王国軍によって完全に北門が封鎖されている光景だった。


またしても爆発音が起こる。音の方向に目を向けると、そこには、おびただしい数のワイバーンが王宮を襲っている姿が見えた。


「ワイバーン!?何で!?王宮が、王宮が危ない!!」


驚愕の表情を浮かべて絶叫するエリル。王国軍が北門を封鎖しているのはこのためか。しかし、王宮に攻め込まれているのはまずい。


呆然とする俺たちに、北門を封鎖している王国軍の中から一人の兵隊がこちらに向かってくる。


「リノス殿とエリル殿ですね。王宮は我らが占領しました。我が主がお二人をお呼びです」

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