人食い怪鳥
そうわたしにとってセックスとは人と人とをつなぐ愛の絆なのよ、だからわたしはムロイスとは離れ離れになっても愛の絆はあるわ、それはセックスの形をとらなくなって愛し合えるんだから、でも羅針盤のムロイスを失った今わたし達はマラを求めてどっちに行っていいのかわからなくなちゃったわね、だからわたし狼とあてのない彷徨とセックス、きっとセックスをすれば何かお導きがあるはずだわ、だってわたしはマラ王なんですもの、
でもここの所生理の周期が変わってきたのよね、これって妊娠かしら、どこかの産婦人科医に見てもらわないと、ということでわたしは手近の村の産婦人科も目指すことにしたの、そうなったらお腹を労わってセックスは我慢しなくちゃ、お腹に障ったら大変だもの、しかし一体ぜんたいどこで妊娠したのかしら、心当たりが多すぎてわからないわ、普通なら安心頑丈のヘビ皮のコンドームを使っていたのだけれど忘れちゃった時もあったかもしんないし、エドウの国では一応ピル飲んで排卵は止めていたんだけれど、
するとわたしは村に着いたわ、すぐさま産婦人科に駆け込んで見てもらったの、そしたらおめでとうございます妊娠ですって、あらあ、新しい家族が増えたわね、この子も元気に生まれてくれるといいわね、
その村はどうやらあまり発展したという感じじゃなくてどちらかと言うとスローライフな牧歌的なむらだったわ、わたし出産のためにしばらくその村に留まることにしあたの、別に村のみんなは悪い人ではなかったわ、だってよそ者のわたしをあたたかく迎えてくれたんですもの、もしかしあたらまれ人信仰みたいなんのがあるのかしらん、これは折口信夫という民俗学者の村の外からくる人をまれ人と呼んで特別な存在と見ることみたいよ、これは昔のグレニゴから教わったの、
そしてある日、わたしが村を散歩していると広場に人だかりができていたの、何かなって思って見に行ってみたら、中心にはダチョウぐらいの大きさの鳥がいたの、それはみんなの話しぶりから人食い怪鳥って、人食いさんって呼ばれてるらしいわ、なんだか物騒な名前ね、でもそんな人食いさんと村人との関係はこの話し合いぶりを見る限りは悪いものではなさそう、ちゃんと対等に話し合いができてるみたい、ただ夜食堂なんかに行って村のみんなの愚痴を聞き耳を立ててみると畏敬の念は持っているけどここ最近扱いが難しくてちょっとへきえきでているみたいらしいわ、あれ、こんな時こそ愛のセックスマラ王の出番ではなくって! わたしはお行儀が悪いけど食堂の椅子の上に立って叫んだわ、人食い怪鳥との話は聞かせてもらったわ! みなさんの悩みを解決するのはただ一つ、それはマラ王のであるわたしの愛のセックスなのよって、そしたら村人はみんなぽか~んとしていたわ、でもその中からある青年がもし貴女がまれ人だというなら今回の人食いさんを捕まえるのを手伝て欲しいって言ったわ、
それからわたしは村の集会所に集まった村人と人食いさんの捕獲の儀式について教えてもらったわ、どうやらこの村では三年に一度月の笑った夜に人食いさんを捕まえて食べるそうよ、そうしたらまた村に新しい人食いさんが生まれるんですって、その儀式をこの村はず~っとくり返してきたんですって、そこでは村の部外者であるわたしのような人もとても大切な意味があるんですって、だから参加してほしいって、なんだかよくわからないけど伝統って大事だから、わたしもマラ王になるために是非手伝わせてくれって言ったわ、
そしてわたしと村の人々は人食いさんの捕獲の準備を始めることにしたの、どうやら前回の月の笑った日の捕獲は失敗してしまったらしくて少し緊張感があったわ、こんなところにわたしなんかが入っても大丈夫なのかしら、捕まえるのは主に投げ縄らしいわ、それはこの狩りの儀式で血を出してはいけないかららしいの、わたしも縄とか装備の宝飾とかいろんな準備をしたわ、ところでわたし妊婦だけど大丈夫かしら、
そしてとうとう月の笑った夜、人食いさんの捕獲の儀式の日が来たの、日が落ち始めた頃に村の人々が縄を持って集まったわ、そして日が完全に隠れたら狩りが始まったの、わたしも縄を持って森に入って行ったわ、でも全裸のわたしは夜だからっていろんな虫に刺されまくったわ、一応虫よけの薬草は塗っておいたんだけど何故かしら、それに夜の森ってなんか不気味ね、心細いわぁ、なんで他に人は付いてきてくれなかったのかしら、
そんなこと思いながら森の中を進んでいるとガサガサって音がしたわ、なんか野ネズミかなんかでしょうと思ってたらなんと茂みから人食いさんが現れたの! いやびっくりいたわぁ、夜に見ると結構大きいわね、わたしはすかさず縄を投げたわ、そしたらあっさり捕まったのよ、ちょっと拍子抜けしちゃったわ、こんなに簡単に捕まるのって、
そしたら人食いさんがゆっくりとわたしに近づいてきてわたしに言うの、お前血の匂いがするって、ええ、わたし森を歩いてきて葉っぱで切っちゃったのかしら、ついでだからわたし聞いたの、どうやら村人のみんながあなたとの付き合い方に悩んでいるんですって、人食いさんはどうお考えって、そしたらこの村もこれから徐々に中心が変わっていくのかもしれない、その時に中心で無くなったわたしは今の姿ではないどこぞの野鳥と化すであろう、それが大いなる流れなら仕方ない、わたしは人食いさんが何を言ってるんだかわからなかったわ、だからじゃあセックスで分かり合いましょうお腹に負担をかけないでね、わたしと人食いさんはセックスしたわ、ここ最近はセックスしてなかったんだけれどこれはなんかスピリチュアルなセックスだったわ、まるで分身が宿るような変わったセックスよ、別に危ない薬とかやってるわけじゃないからね、わたしマラ王はそうゆうところはクリーンなのよ、
するとわたし破水したの、ええ、こんな時にっ、ってわたしは村人に助けを求めたんだけどだれも助けに来てくれない、わたしは慌てているとわたしに任せろと人食いさんがなんと助産をしてくれたの、ヒーヒーフー、ヒーヒーふー、ヒーヒーふー、ドゥロンって、赤ちゃん生まれたわ、でもまだ小っちゃいみたいこんな早くに生まれるのかしらでもちゃんとおんぎょあって泣いてもくれたしよかったわって思ったら、人食いさんがその子を抱きかかえて温めてくれたわ、私はこの子をヒニマルチョウと名付けようそしてこれからこの子が新しい中心となるのだ、そう言ってわたしの子を抱いて飛んで行ってしまったの、わたしは出産の体力疲れがあったから追いかけられずその場で気絶してしまったわ、
そして気が付いたら村まで運ばれていたの、どうやら昨日の人食いさんの狩りは失敗だったそう、だったら昨日の出産も夢かしらって思ったんだけどお腹に子供はいなかったわ、わたしの赤ちゃんはどこへ行ったの? わたしはマラ王探しと同時に加ちゃん探しもすることになったの、そうして村を出ていくことになったその日に、村にコンビニエンスストアができたそうよお、




