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そっか…
いつの間にか御屋敷に戻っていた彼女は
私は自分の部屋のベランダに立っていた。
「どうして、どうしてですの。」
月を見上げながらそう呟いた。
「もう、あなた様の心は、あの者のものなのですね。」
泣きたいはずなのに、泣けなかった。
「そう、でした。あなた様は泣き虫がお嫌いでしたね。」
私は、いつの間にかあの御方に好かれようと、自分に嘘をつき何十もの仮面を被っていた。
「もう、良いですよね。」
静に息を吐き、三階のベランダの手すりに手をかけた。
「お幸せに。」
fin
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