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楽屋にある小さなソファー。
いつもの様に、並んで座る。
楽屋につくなり、
それぞれはそれぞれの場所で
それぞれの準備をする。
新聞を読みだしたり
コーヒーをいれたり
ヘッドホンでも音楽を聞いたり。
だけどこうして自分たちは
小さなソファーにふたり並んで
他愛のない会話を交わして
出番が来るのを待つ。
見慣れた、いつもの光景だ。
時間調整を伝えに来たスタッフが
ほんと、相変わらず仲良いよね。
いつもの様に笑って言う。
そうだよ、これが俺たちの日常で
これが俺たちの当たり前。
ーみんな、仲良いもんねー
世間から言われるこの言葉。
有難いよ、そう思ってもらえて。
仲良いんだ、実際。
だけど結局は仕事仲間。
どれだけ一緒に行っても、所詮仲間。
それ以上でもそれ以下でもない。
それ以上にもそれ以下にもなれない関係。