9話 海上ダンジョン攻略!!
「まーくん、バリアを張って!セイちゃん、パワーアップしてあげて!」
ユカリはラスボス戦に備えて前準備をする。
魔術師人形は杖を振り上げて全員に体を包むようにバリアを張り、聖女人形は剣士人形と魔術師人形の能力アップの祈りを捧げる。
「わぁ、何か暖かい物に包まれている感じがする!」
「準備は良いか?行くぞ」
「うん」
「分かった」
「大丈夫だよ〜」
四人は転送装置の上に乗ると赤白い光に包まれて消えた。
バシィィッ!
パアアアアンッ!
最下層の転送装置に姿を現した瞬間、頭上から太い雷撃、正面から大きく渦を巻いた水球が飛んできて、バリアが発動した。
フィールドは入り口と同じ宇宙空間。
「ユカリ下だ!頭だけ見えてる!」
男女の痩せた人魚が星の海を泳ぎ、跳ねる。
「アイツラ火が弱点だ!燃やしちまえ!」
シオンが情報を読み、弱点をユカリに伝える。
「まーくん、あのふたりをつかまえて!」
魔術師人形は呪文を唱えながら両手を振り上げる。
海水で出来た両腕が、あちこち逃げるマーマンとマーメイドを追いかける。
風呂の湯をかき混ぜるように波がウネリをあげる。
どのくらい続いただろうか、逃げるので精一杯の二人は次第にスピードを落とし、ついには両腕に捕まり空中に掴み上げられた。
「マーくんはなささないでね!ケンくんヒのザンゲキでふたりをきっちゃえ!」
剣士人形は火をまとった剣を右に大きく振りかぶり、思いきり左に振り抜いた。
「キイイイ!!」
マーメイドとマーマンの二人は金切り声を上げ、手から逃げようして暴れる。
サンッ!
赤く燃える斬撃に上体と足は切り離され、二人は泡となって消えた。
二人を掴んでいた両腕は、何かを持っているらしく両手を開いた。
右手には青い宝箱、左手には赤い宝箱がある。
シオンが情報を読む。
「青はカギ、赤は竜神の剣が入ってるみたいだな、どうする?ワタル」
「カギでいんじゃないかな?今の僕たちには武器は使えないし」
「ユカリもじぶんのぶきとよろいもってるからいらない」
「欲がないね君たち。竜神の剣て勇者の神器の一つでしょ。揃えれば勇者になれるし、売れば高値で取引される物だよ?」
ハルが興味深そうに聞く。
「勇者なんてすでにユカリがいるし、カギを集めて最終的に何が隠されているのか知る方が楽しいだろ?」
シオンが無愛想に答える。
「これで二本目だね。あと何本あって何が隠されているんだろうね?」
三人がアレやコレや議論している姿をハルが微笑ましく見ている。
「ハイ、みんなそろそろ地上に戻ろう。階段が見えてるよ」
そう言って左を指差すハルの言葉に振り向く三人。
「あ、はい。そうですね。帰りましょうか」
「あんなヤツの言う事なんて聞くなよ」
「なんかハルってセンセイみたい」
「実際にセンセイだったからね」
扉の先は海上の魔法陣だった。
皆が入り口だと思っていた陣は入り口ではなく出口だった。
周りは、見たことのない乗り物に乗って突然現れた四人を不思議そうな顔で見合っている。
「ドーンさん!どこへ行っていたんですか!?」
裏地が青、表が深緑のローブを着た初老の魔法使いの男達数人がハルの名前を呼びながら走り寄って来た。
「ナーヴァさん。」
「僕、魔術学園の教師、辞める事にしました!後の手続きよろしくお願いしま〜す!」
オープンカーの運転席に座るハルは右腕を大きく振りながら清々しい笑顔で叫んだ。
「な、何言ってんだアンタ?!そんな事出来る訳ないだろう!!」
ナーヴァ他数人は汗粒流し、息切れしながらギャーギャーと抗議している。
「僕は使命を見つけました!神が創りし魔道具を研究・開発し、人々の生活を発展させたいです!」
「さようなら皆さん!また会いましょう!」
そう言うとワタルに教わった通り黄色いボタンを押す。
両脇に羽根が飛び出し、下向きに風を吹き出しながら浮かび上がった。
「な何だコレは?!」
ナーヴァは左腕で吹き荒れる風を防ぎながら、空中に浮く乗り物を見上げる。
バシュウゥゥ!!
乗り物は凄まじい風を引き起こし、一瞬で姿を消した。
辺りに静寂が広がる。
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