6話 海上ダンジョンの入り口
「はっ、速ぇぇ!落ちっる!」
「シオンうるさい!バリアがあるからおちないよ!」
ワタル、ユカリ、シオンの三人は海上に現れた第二のダンジョンに向かってオープンカー(飛行形態)を飛ばしていた。
荒野を抜けて海上に出た時、目の前に広がっていたのは
「板の残骸?」
「いや、船の残骸だ。各国から来た調査団の船が粉々でどれがどこの国の船か分かんねぇな」
ダンジョンの周りには各国の国旗や大型船の残骸らしきものが浮いて広がっていた。
その中にアレス公国の北東にある国。ロゾリア帝国の大型船が数隻、ダンジョンに挑もうとしていた。
ダンジョンはギリシア神殿の様な構造をしている。
海面に白い石で出来た四角い平地に海へ繋がる階段。
円柱の柱が立ち三角の屋根が乗っている。
その周りを青白い光が神殿を包んでいた。
ロゾリア帝国の大型船が青白い光に触れた瞬間、空にはドス黒い雲が渦を巻き、神殿の左右から海竜が現れた。
左に稲妻を帯びた黄色い雷竜、右には風を帯びた青地に白髪の風竜。
二匹が海をうねらせ大波を作り、風竜が起こした竜巻と雷竜が落とした稲妻で嵐を起こす。
二匹が起こした大嵐に飲まれるロゾリア帝国船。
その時、先頭の船から赤く、丸い光に包まれた一人の女剣士が空に浮かび上がった。
女剣士は銀の甲冑に身を包み、中心に赤い一本線が入った長剣を右手に持ち、赤い宝石が付いた首飾りを首に掛けている。
その首の宝石が眩しく光り、浮かんでいる。
「おお!あの女ロゾリアの女王の双子の妹だ。アンリ!しかも飛行石を持ってやがる!Sランクの魔物が落とすアイテムだったはずだ」
「やっべぇ!こんな所でSランクのアンリの戦いを見れるなんて最高!!」
「シオン、まじうるさい!」
「んな事言うなよユカリ。お前達もアンリの戦いを良く見とけよ。今後の戦闘の参考になるぞ!」
「確かに、あんなのどうやって倒すんだろ?」
「あんなのまーくんのまほうで・・・」
「お!アンリが動くぞ!」
「アアアアア!!」
アンリは長剣を右後ろに振りかぶると、雷竜に向かい力の限り左へ振り抜いた勢いで頭上に掲げ、風竜に向かい下へ振り下ろした。
「ダアアアア!!」
アンリが放った斬撃は雷竜の首を落とし、風竜の体を真っ二つにし、双竜は海に沈んだ。
アンリは長剣を背中の鞘に収めると、船へと降りていった。
ユカリがスマホを操作するが、ワタル達は気付いていない。
ドス黒い渦雲は消え、神殿を覆っていた青白い光も泡となって消えた。
アンリと数人の兵士が神殿に上がると、地面一帯に魔法陣が広がり、アンリ達は消えてしまった。
「僕達も行こうか」
「あ?待て、古代の眠りの魔法陣?一瞬だけ何かみえたぞ?」
シオンは一瞬だけ現れて消えた魔法陣の情報を読んだ。
「眠りの魔法って、中に入る時に眠りの魔法を掛けられるって事?」
「そりゃ誰も戻って来ねぇわな」
「まぁ、いつまで経っても誰も出て来ないって事は未だに目が覚めないか、起きたけど出口が無いかだよね?」
「まーくんにねむくならないまほうかけてもらう?」
三人であれこれ考えていると、またもや神殿の周りを青白い光が覆い、雲がドス黒い渦を巻き出した。
そして先程アンリに倒されたはずの雷竜、風竜が再び波をうねらせて現れた。
「嘘、復活した?!」
ワタルがブレーキを踏む。
風竜が竜巻を起こし、雷竜が稲妻を落とす。
アンリがいないロゾリア帝国の船は稲妻に割られ、竜巻に飛ばされ、渦潮に飲まれ沈んでいった。
「・・・帰ろうか」
「いやだし!おにいちゃん、がけまでもどって!」
ユカリがいつの間にか黒い兜と鎧を身に着け、剣士人形と共にボンネットの上に立つ。
そして黒い一本線が入った短剣を右後ろに振りかぶる。
「危ない!そんな所に立って武器を振り回したらダメ!!」
ユカリの両足を掴みながら叫ぶワタル。
「ヨッシャ!俺が運転するぜ!」
シオンはワタルを押しのけて運転席に移動する。
そして眼鏡の情報を読み、瞬時に理解しバックしてみせる。
「ケンくん!ふたつにうみをわっちゃえ!」
剣士人形は頭上に剣を振り上げ、上体を後ろに反らして反動を付けて下に思いきり振り下ろした。
黒い斬撃は徐々に大きくなり、神殿を中心に海を割ると、神殿は本当の姿を現した。
左右に裂かれた海竜達は互いを求めて鳴いている。
神殿の階段は底まで続いていた。
底にも海上と同じ様にギリシア調の神殿があり、一瞬だけ浮き上がり消えたあの魔法陣が青白く光を発していた。
魔法陣の横に乗り付けたシオンは魔法陣を眼鏡で読んで見た。
「どうやらこっちが本当の入り口みたいだな。海底ダンジョンの入り口。だってよ」
「じゃあ、上の神殿は罠だったって事?」
「ユカリとケンくんのおかげじゃん!すごくない?」
両手を顔に当てて頭を傾けるながら褒めてもらおうと自分の功績を語るユカリ。
「じゃあ、入るぞ。戦闘の準備はいいな?」
「オッケだよ!ユカリもケンくんもまーくんもセイちゃんもジュンビオッケ!」
後部座席で親指を立てドヤるユカリと人形達。
「ヨッシャ!行くぜ!」
「何か嫌な感じがするんだよな・・・」
シオンは魔法陣の中心に飛行機を進ませる。
魔法陣の光が大きくなり、ワタル達を飲み込んだ。
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