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4話 始まりのダンジョン

 宿屋の一階、レストラン部分に降りるとシオンは注目の的だった。


「誰だアレ?あんなヤツいたか?」

「イヤ、ワタル達は二人のはずだせ」

「あと、ワタル達の部屋にいたのは・・・」

「プロラン?」


 まさか、そんなはずはない!火傷はどうした!?あんな顔だったのか!?・・・。と宿泊者達は大騒ぎだった。


 ギッ!とシオンが睨むとみんな顔を反らして黙ってしまった。


 壁際のテーブルに着くと、シオンが昨夜の礼をした。


「昨日は本当に悪かった。俺はお前達の人形を盗ろうとしたんだ。アレがあれば、何も怖くねぇ、俺に蔑んで、罵倒して、攻撃してきた奴らを潰してやる!ダンジョンの宝も根こそぎ奪ってやる!そう考えてた」


 皆、大声で話すシオンの復讐計画をバツが悪そうに聞いている。


「でも、お前達は違った。俺の体の傷を見ても、素性を知っても、罵倒も蔑みの目を向けることもなく、ただ心配して治療までしてくれた。ここのクソみてぇな神官や聖女なんて『その姿はお前の魂の汚れの表れだ、腐っている!』つって蹴り入れて来たぜ!」と言って朝から酒を飲んでいる神官を睨みつける。

「うん。だから僕は何も言わないよ。"許してやれよ'" なんて軽々しく言える人は、本当は何も考えていない人の言葉だよ」

「だから僕は何も言わない」

「・・・・」


 ワタルの言葉に何も言えない大人達。


 宿屋の主人夫婦も注文を聞けずに固まっている。


 そこへ何も知らない娘が両親の静止にも気づかず、謎の美少年が座っているテーブルへと近づく。


「あ、あの。初めましてですよね~。わたし〜、ここの娘でリキシーて言います。お名前聞いてもいいですか?」

「喋んなブス。クセぇんだよ口が。消えろ」

「え?」

「脂ぎった髪、デキモノだらけの顔、据えた体臭、気分が悪ィ。行こぜワタル、ユカリ。そういやさっき朝メシ食ったんだったわ」


 一瞥する事なく席を立つシオン。


 それに続くワタル達。


「え、ひ、」

「止めとけ」


 父親に肩を掴まれ制止される。


 結果から言うと、荒野のダンジョンは三人によってその日の内に攻略された。


 10階層、20階層、30階層と数時間で踏破し、40階層、50階層、60階層・・・。


 シオンの眼鏡で宝箱や魔物の弱点を鑑定し、ユカリの人形達か無双攻撃をする。


 途中ワタルの家で休憩し、日が暮れる頃には最上階に到達した。


 最上階、塔の頂上には薄霧のなか、緑色のドラゴンが丸くなって寝ていた。


 突然バチッ!と目を覚ますと渦巻く炎を吐いて来た。


 剣士人形が前に立ち、盾を構える。


 炎は半円を描きワタル達を避けた。


 緑竜は羽根を広げて飛び上がり、上空から固まっているワタル達を見据えている。


 シオンは緑竜の弱点を探ろうと鑑定する。


「緑竜 アルマ

 精霊セレナーデの使い魔

 炎使い

 水・冷気に弱い」

「だってよ!」

「隠れてるテイマーを探さなきゃ!」

「せいれ、せい、さ」


 鑑定画面が上下前後左右にすごいスピードで動き回るセレナーデ。


「ああああ!イラつく!あちこち飛び回りやがって全然読めねぇよ!」

「まーくん、ていまーのすがたをみせて!」


 魔術師人形が杖を眼前に掲げ、何かを唱えると、衝撃波が辺り一面の霧を薙ぎ払ってしまった。


 パアアアアン!


「きゃっ!?」


 セレナーデの小さな体に衝撃波がぶつかり、壁に激突。姿を現した。


 緑色の長く編まれた髪。切れ長の目が焦りを感じさせる。


 緑竜の炎の爪が空を切り裂き二重三重と飛んでくるが剣士人形の盾がそれを弾く。


「セイちゃん!ケンくんをパワーアップ!まーくんをそくどアップ!」


聖女人形が祈り始めると、二体の人形が赤い光に包まれる。


「まーくん、りゅうとセレナをこうそく!」

「アルス逃げ・・・!」


 魔術師人形が杖を振る。


 青白い檻が現れ緑竜とセレナーデを同時拘束、地面に落下した。


「ガッ!」


 落下の衝撃にセレナーデは小さい悲鳴をあげる。


「ケンくん!りゅうをきっちゃえ!」


 剣士人形は剣を振りかぶりながら緑竜に飛びかかる。


 緑竜は炎をだせずに暴れ、雄叫びをあげた。


「やめて!!」


 檻の隙間から右腕を出し、懇願するセレナーデ。


「もう良いよケンくん!」


 放たれた斬撃が緑竜を避けて地面を削り流れて行った。


 剣士人形がワタルを振り返り、ギリギリで言うなよ。と言う顔で見た。


「ごめん、ケンくん。でも死なせるまではしなくて良いよ。相手はもう、負けを認めているからね」

「いままでのまものはみんなたおしたよ?何でアノりゅうだけいいの?」

「そ、それはそうなんだけど、その・・・」

「難しい線引きだよなぁ」


 魔術師人形が杖を振ると檻が泡となって消えた。


「アルス!」


 セレナーデは緑竜アルスに駆け寄り、怪我がない事に安堵する。


「じゃあ、あの、セレナーデさん。このダンジョンは攻略って事で良いですか?」

「・・・はい。私達の負けです」


 スゥと何も無い空間から青い宝と赤い宝箱が二つ現れた。


「一つはあるものの封印を解くための鍵の、九つある内の一つです」

「もう一つはどんな攻撃をも跳ね返す武具の一つ、兜です」

「どちらを選びますか」

「チートはもうあるしな。鍵でいんじゃね?」

「あるものってなんだろうね?」

「では、鍵をください」


 セレナーデは青い箱を開け、サファイアの耳飾りが入った青い小箱を受け取った。


「ありがとうございます!」

「こちらこそ、アルスを傷つけないでくれてありがとう」


 一瞬、瞬きをしたうちに、三人は塔の外に立っていた。


 それは他の冒険者も同じで、食事にありつこうとした姿で座っていたパーティー、剣や魔法を放とうとしていたパーティーなど大勢が何が起きたのか分からないといった風で辺りを見回していた。


 塔は轟音と砂ぼこりを立て、地中に沈んでいった。


 荒野のダンジョンは無くなってしまった。


「ダンジョンも無くなったし、宝を換金しに行こうぜ」


 と言うシオンの一言に、唖然・呆然としている他の冒険者達を気にする事無く冒険者ギルドへ向かうワタル達。


 そんなワタル達を避ける様に、道が作られた。


皆さんこんにちは、ボアです。

少しでも「面白い!」と思って頂けたら

感想など貰えると今後の活動の参考になります。

よろしくお願いします。

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