36話 ヨルとユカリ
『ヨルの人形契約』
ドアにはそう表示されていた。
中に入ると、大きな円形の広間に出た。
薄暗く、松明が壁に並ぶ多くの人形達の顔を照らしていて、どことなく不気味だ。
中央の台座に淡く文字が浮かび上がる。
『魔法を使う者を示せ』
「魔法を使う者、それはこの俺。ヨル・ドーン」
名前を告げた瞬間、壁の人形達がカッ!と目を見開いた。
『私と契約して!』
『僕がいいよ、役に立つよ』
壁の人形達が一斉にヨルに向けてアピールを始める。
「何だこの魔道具人形達は!」
ヨルは広間を見回す。
「まほうならマーくんたちもつかえるもん!」
ピタッと人形達の声が止む。
リュックから三体の人形を取り出しヨルにみせるユカリ。
「まじゅちゅちのマーくんとけんしのケンくん。せいじょのセイちゃん!」
「どんなつよいてきもたおしちゃうよ!」
『魔法を使う者を示せ』
再び文字が浮かび上がる。
「まほうをつかうのはマーくん!ケンくん!セイちゃん!」
ユカリは腰のおもちゃの剣を抜いて高く掲げる。
三体の人形達は壁の人形達に向かって頭を下げて挨拶をする。
正面のドアの鍵が開いた音がした。
(この部屋のクリア条件は、何だ?)
ドアには 『ヨルの魔道具展示会』とあった。
(俺の魔道具?)
ドアを抜けると一本道だった。
黒い石畳に石の天井。
左右の壁には空間があり、等間隔に並べられた色々な形の人形達を明かりで照らしている。
(どこかで見た事のある物ばかりだ)
中程まで来るとゴーン、ゴーンと鐘が鳴り、一体の兵士人形が動き出してヨルに襲いかかる。
「炎槍」
ヨルの右手に炎の槍が作られ、人形に向かって投げ放たれた。
槍は兵士人形の胸を貫き石畳に突き立つ。
文字が淡く浮かび上がる。
『廃棄 か 保存 か』
「廃棄だ。勝手に動いて人を襲う魔道具など論外だ」
躊躇いもなく廃棄を選択するヨル。
「はいきってなに?」
「捨てると言う事だ」
「すてるの?!これぜんぶ?!」
「当然だ。そこに展示されている魔道具はどれも瘴気に侵されている。見境なく人を襲う魔物同然だ」
「わるいまものならじょうかすればいいよ」
「セイちゃん。ここのおにんぎょうさんたちをじょうかしてあげて」
聖女人形はコクリと頷くと、手を組み祈りの言葉を紡いだ。
展示人形達は温かい光に包まれ、空気が澄んでいくのがヨルにも分かった。
聖女人形がユカリに向かって親指を立ててウインクをする。
「ありがとうセイちゃん!」
「ヨル、わるいおにんぎょうはいいコになったよ」
「これですてなくてよくなったよ!」
ユカリはグッ!とヨルに向かって親指を立てる。
ヨルは信じられないと言った感じで言葉が出ない。
「・・・・そうだな」
「保存だ」
ドアの鍵が開く音がした。
(この通路のクリア条件もよく分からない)
(俺には、分からない)
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