35話 ヨルの舞踏遊戯
ワタル達5人はバロックを訪れ城に招待されていた。
国王や王妃達と挨拶を交わした後に魔族のソーマに対して改めて和解の意を示し、ソーマはそれに感謝した。
そして今はダンジョン攻略についてヨルの執務室に集まり話し合っていた。
「バロックのダンジョン攻略、このソル様も協力してやろう!」
「ごめんなさい。僕達の車は5人乗りなんです」
と言うソルとワタルの会話バトルが何度か繰り返された後、ハルがパンッ!と手を叩き終わらせた。
「え〜と、兄さん達は兄さん達で行けばいいと思うよ」
「僕達はいつもの様にいつものメンバーで行くからさ」
ワタルとソルの間に立つハルが恐る恐る言う。
それを見ていたヨルが口を挟む。
「ハル、お前は外れろ。すでに一度選ばれ排除されているのだから、もう一度入った所で即座に排除される可能性がある」
「え?!なんで!?」
「やはりこの俺が!」
「引率は俺がする」
カタンとペンを置き、ワタル達に顔を向ける。
「今回のダンジョン攻略については俺の指示に従って貰う」
「それが出来ない奴はダンジョンには入れない。許可しない」
「わ、分かりました・・・・」
睨まれたソルは即座に降参した。
「僕もそれでいいです」
ワタルも渋々と言った感じで従った。
「俺はどーでもいい」
シオンが心底どうでもよさそうに答える。
「僕も構いません」
「ユカリねむい」
ユカリは今、非常に困っていた。
封鎖エリアに入った瞬間、ダンジョン内に飛ばされ、側にいたのはヨルだけだったからだ。
空間も悪い。
天井がやたらと低く、しかも迷路の様に入り組んでいる。
ヨルは背を丸めて歩かなければならなかった。
「このオジサンこわいからニガテ」
「聞こえているぞ」
腕を組み、溜息をつくヨル。
「はっ!」
大げさに驚き口に手をあてるユカリ。
リュックからスマホを取り出し、マップを調べる。
『ヨルの舞踏遊戯』
「よるの?」
「貸してみろ」
『俺の、舞踏?』
ユカリが歩き出すと石畳がうねり出し、ヨルはバランスを崩し手を付いてしまう。
「おい、勝手に行くな!」
なんとか追いつきユカリの腕を掴んで横に並ぶ。
すると地面のうねりが戻った。
ヨルが動き出すと再び地面がうねり始め、右に曲がろうとすれば左の道が閉ざされた。
引っ張られるユカリは汗だくになって何度も転びそうになる。
「もう!かってにいかないで!」
ついにキレたユカリが叫ぶ。
スマホを奪ってアプリでおもちゃの白馬を買う。
ユカリは白馬に跨ると、
「ひも、もって」
と、手綱をヨルに差し出す。
「あ、ああ・・・・」
圧に押されて白馬の手綱を掴むヨル。
並んで歩いていると不思議と地面がうねり出す事も、道が消える事も無かった。
そして難なく次の階のドアに辿り着いた。
(どうやらここは"共に並んで歩く事" がクリアの条件だったようだな・・・・)
この先を思うと不安になるヨルだった。
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