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34話 ハルの功罪迷宮

 家に帰るついでにダンジョンの気配のする都市中心部に寄ってみたハル。

 

 封鎖されているエリアに足を踏み入れると、地面がぐらついた感覚に陥いって、瞬間ここにいた。


 ハルはここを法廷の場だと感じた。


 左右から聞こえる大勢のざわめき。


 正面から感じる何か大きな者の存在。


 天井は高く、白い光が均一に降り注いでいる。


 影ができない。


 足元の石畳に、淡い数字が浮かんだ。


「10」


(何だ、この数字は?)


(・・・・評価の数字?)


 +5


(増えた?)


 目の前に二つのドアが現れる。


(ここはもしかして、ダンジョンの中か?)


 ハルは腰のバッグからスマホを取り出しマップを確認する。


 見出しに『ハルの功罪迷宮』とある


「僕の功罪?」


『た・・・・け、て』


 ふと、ざわめきに紛れて微かに声が聞こえる。


「た・・・・け、て?」

「助けて?」


 バチン!


「・・・・」


 ハルが指をパチン!と弾くと、ざわめきが消えた。


『たすけ、て』

『だれかぁ、た、すけ』


 バッ! 


 右のドアを開けると、中には幾重にも絡んだ魔法に縛られたワタルと同じ歳くらいの少女が横たわっていた。


「これは、時間はかかるけど絡まった糸を解くだけだから簡単だ」


 ハルは一時間かけて魔法の糸を解いていった。


 最後の一つが解かれた時、少女は消えた。


 +10


「現在の得点25か」


 左のドアを開け、先に進む。


「うっぐ!」


 中に足を踏み入れた瞬間、意識を失いかけるほどゴッソリと魔力を吸われる感覚があり倒れてしまう。


 気づくと右手に『女神の回復薬』の札が掛かった液体飲み薬を手にしていた。


 蓋を開けて飲もうとした時、目の前に二人の人間が現れた。


 驚いて視線を移すと、そこには青白い顔をして息も浅いワタルが横たわっていた。

 

「わ、ワタルくん?!」


 ハルは這いずってワタルに近づくと『女神の回復薬』の瓶の蓋を開けてワタルに飲ませる。


 +20


 ハッ!と気づくと最初の地に立っていた。


 しかし最初と違い、正面には巨大な天秤が置かれていた。


 左の秤には45の数字。


 右の秤は空だった。


 どこからか女とも男とも取れない声が聞こえる。


「あなたは、合理性を欠いた」

「あなたは、効率を損ねた」

「あなたは、神の資源を浪費した」


「認めますか」


「今までの行動について、と言う事なら」


「僕はそうは思わない」


 瞬間、街を行き交う人々の中にいた。





「と言う事で、よく分かりません!」


「分かるのは三つ」


「一つ、ダンジョンが選ぶ側だと言う事」

「二つ、攻略者個人に合わせたギミックである事」

「三つ、取った行動が不正解だった場合は即座に排除!」


「くらいかな〜?」


 ハルは長男ヨルの執務室のソファーに横たわり、疲れた表情で紅茶を啜っている。


「功罪、か」


「お前は相変わらずだな」


 ヨルは書類にペンを走らせながら呟いた。


「何か言った〜?」


「なんでもない」


「今日は城に泊まって行け。食事の時に父や母達、ソル達にも今までのダンジョンをどう攻略してきたのかを話してやれ。母達など二人で組んでダンジョン巡りをしたいと言って父やソル達を困らせているぞ」


 思い出したようにフッと笑うヨル。


「そうします〜・・・・」


 そう言って眠ってしまったハルを見て、もし入ったのが自分だったらどんなダンジョンになっただろうかと考えるヨルだった。





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