32話 ラスボス メデューサ
そおっとドアを開けて中を覗いて見る。
中は真っ暗で何も見えない。
はぁ、はぁ、と言う息遣いと生温い風が頬を撫でる。
突然、カッ!と大きな目玉が一つ見開かれ、闇の中でワタルを睨みつけた。
ボアッ!
「ギャッ!」
巨大な目玉から発射された青白く鋭い光線を間一髪で避ける。
「ワタル!大丈夫か!」
すっ転んだワタルにシオンが駆け寄る。
「ライトボール」
ハルがドアの隙間から魔法を数回打ち込む。
現れたのは赤い球体に大きな目玉、背面に白蛇が無数に生えている巨大な魔物だった。
「メデューサ、光線を浴びると石になる。魔法に弱い」
シオンが情報を読む。
「じゃあ、盾で光線を弾いて魔法で眠らせようか〜」
「ユカリちゃんの盾はバリア機能があるよね、それ使おう。で、マーくんの魔法で眠らせよう〜」
「ユカリのたて、なんでもはじくよ!」
ふん!と鼻を鳴らして腕に着けている小さな盾を見せつけるユカリ。
「マーくん、このたておおきくして」
魔術師人形が杖を振ると小さな盾はユカリの身長と同じぐらいの大きさに変わった。
ハルがライトを消して闇に戻してから、五人は盾に隠れてメデューサに近づく。
「マーくん、めじゅーさをねむらせて」
ユカリが小声で呟く。
魔術師人形が呪文を唱えながら杖を振る。
メデューサを煙が包みこみ、巨大な目玉がゆっくり閉じて地面に倒れ込んで眠ってしまった。
「ケンくん、ザンゲキ」
ユカリが小声で指示を出す。
剣士人形は両腕を頭上に振り被り、思いきり空を切る。
その剣から繰り出された衝撃波がメデューサを両断した。
「ギアアアアッ!」
メデューサは断末魔を上げて消えた。
「勝ったか?」
シオンが恐る恐る聞く。
「ライトボール」
ハルがライトを打ち上げ、辺りが明るくなる。
目の前には青い宝箱と赤い宝箱があった。
「鍵を選ぶ」
ワタルが答えると青い宝箱が開き、鍵がワタルの手に降りてきた。
ワタルは鍵をソーマに渡した。
「鍵、五本目ですね」
ソーマが微笑む。
正面の壁が扉の様に開き、階段が続いている。
「外に出たらエルフ達に囲まれているかもね〜。逃げられる様に飛行機に乗って行こうか〜」
ハルの提案に四人は賛同する。
大森林中央の草原地帯から西に三キロほどの場所で、巨大樹は止まっていた。
「マクベル隊長。巨大樹の動きが止まりましたね。攻略されたんでしょうか?」
大森林第二騎士隊の隊員が騎士団長マクベルに尋ねる。
「そんなわけあるか、巨大樹が動き出してからまだ一時間と経ってないんだぞ!いくらなんでも早すぎる!」
馬鹿なことを言うなと怒鳴りつける。
「しかし、入ったのはあの、黒の人形使い達ですから」
「ぐっ」
そんな会話をしていると、巨大樹は閉じていた両目をカッ!と見開き、口を大きく開けた。
中から物凄いスピードで何かが飛び出し、空の彼方へと去って行った。
呆然としていると、巨大樹は再び大森林中央の草原地帯へと向かって動き出した。
マクベル達は何が何だが分からず、立ち尽くすしかなかった。
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