30話 脚だけガリガリの奴
「動くダンジョンか」
「じゃあ、コレで行こうか」
ワタルはボディバッグからドアノブを取り出し、地面に突き刺した。
ノブを捻るとドアになり、開けると中には一つ、転送装置があるだけだった。
突然地面に消えたワタル達にエルフの団隊は困惑するしか出来なかった。
木造の室内は意外と狭くハルは体を縮こませている。
「は、早く次の階に行こうよ〜」
ワタル達はギュウギュウになりながら転送装置に乗った。
第二階層は木々がまばらな大草原だった。
あちこちに見たことのない妙な生き物が歩いている。
「へんなワンちゃんがいる!」
捕まえようと駆け寄るユカリ。
突然風船の様に膨らみパアアアアンッ!と割れた。
ユカリは頭をクラクラさせている。
「犬なのか猫なのかさっぱりだな」
「眼鏡の情報でも???しか出ねぇよ」
情報のない生物の存在に意外とはしゃぐシオン。
「僕はあまり、マップを見てると吐きそうになります」
色んなマークが蠢くマップを見てうんざりとした顔をするソーマ。
「確かにコレは嫌だね。それに、転送装置も動いてるし、何十個とあるよ・・・・」
何かいいの無いかなぁとスマホアプリを探るワタル。
「コレはどうかな?動くものを整列させるハンドベル」
「ちょっとやってみようか」
ポンッ!と出て来たベルを箱から出してガランガランと振るワタル。
「転送装置、集まれー!」
そう叫ぶと、筋骨隆々な手足が生えた転送装置達がワタルの前に集まった。
その数三十個。
「気持ち悪ぃなコイツラ」
嫌そうに顔を歪ませて眼鏡で情報を読むシオン。
「アイツだ。あの脚だけ異様に細い奴」
確かに腕は筋肉がついてるのに脚だけが異様にガリガリな転送装置が一つだけある。
「よし!捕まえろユカリ」
「マーくん、アイツつかまえて!」
脚ガリは危機を感じ取ったのかすぐさま逃走しようとする。
しかし魔術師人形の魔法のロープで脚を縛られ身動きが取れないでいる。
「ヨッシャ!お前ら飛び乗れ!」
シオンの掛け声と共にサッサと乗って次の階へと進む。
後はいつものような石壁の通路ダンジョンが続く。
ソーマのマップとシオンの眼鏡で宝箱を漁る。
三十階層に出た時、今までの慢心が出た。
気づいたら水の中だった。
(な、なんだこれ!息ができな、くない?)
上も下も分からずもがいていると、何かに包まれ息ができる様になった。
良く見ると水の玉のようなものに包まれている。
ユカリ達もそうだった。
水の玉は地上に降り立つとパチンッ!と消えた。
「皆、大丈夫!! 怪我は無い!?」
ハルがびしょ濡れになってソーマを抱えて岸に縋り付いている。
女神アローナの加護が発動したようだ。
「大丈夫だよ。ありがとうハル」
「女神に感謝だな」
「ありがとうございます。ハルさん」
「ハルえらい!」
みんな口々に言い、ハルに風魔法をかけて貰い衣服を乾かした。
「はぁ・・・・。コレからどうしようか」
ワタルが見上げた先には、幾つもの噴火した火山が見えている。
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