28話 感情の無い顔でこちらを見ていた。
「ギルド寄っていいか。今まで集めた宝の換金をしたい」
街を見下ろすシオンが尋ねる。
「もう少し行った先にギルドがあります」
「じゃあ、寄って行こうか。タイタンもどうにかしたいし」
「さすがにハルに預ける訳にもいかないしな」
白い石壁で作られたギルドは各国の冒険者で溢れていて、ダンジョンが攻略された事はすでに広まっていた。
大勢の視線がワタル達を捉えている。
受付の獣人達は誰が対応するかで揉めている。
「すみません。宝とドロップ品の換金をお願いしたいのですが」
「は、はい!ではコチラにお出し下さい」
豚の受付嬢が恐る恐るトレーを差し出す。
シオンがボディバッグから宝や武器、防具を溢れるほどカウンターに落とす。
その量に圧倒される受付嬢と冒険者達。
「あと、コレを預かって貰えませんか?どうしたらいいか分からなくて」
ワタルはボディバッグからタイタンんが入った瓶を取り出しカウンターに差し出す。
「コレは、タイタン?ですか?」
受付嬢達が瓶を囲んで何やら話し込んでいる。
「ダンジョン攻略の時に捕まえました」
「つ、捕まえた?!」
「あの!ギルドマスターがお呼びです!」
「タイタンは硬かっただろ。さすがの黒の人形使いでもタイタンには勝てなかったか。はっは」
ホワイトタイガー種のギルドマスターはそう笑った。
「宝石に武器に防具ほか、素材などドロップ品、魔物の肉と」
「締めて金貨1258枚だな」
ドンッ!と幾つも積み上がる大きな麻袋に圧倒されるわたる達。
「どうも!」
シオンが急いで袋をボディバッグに詰め込む。
「それと、タイタンの瓶だが、コレはうちでは引き取れねぇ。国に管理して貰う事になる」
バッ!とシオンが瓶を取り返す。
「やっぱやめとくわ!コレはこっちで管理する!」
面倒臭ぇのはゴメンだ。とワタルに耳打ちするシオン。
ワタルはタイタンを永久にボディバッグに封印する事にした。
グリンバル獣王国首都、グランベルは水の街。
中央には噴水とそれを囲む花壇の花が涼しげに咲いていて、各国の観光客達は食に景色にと楽しんでいる。
「魔大国もいずれは、こんなふうに色んな種族の観光客が賑わう国にしたいです」
ソーマが呟く。
しかし観光客達は、ソーマの姿を見ると恐れを出した顔で足早に去って行く。
「・・・・行こうか」
「はい」
その時、近くの屋台から喧嘩の声が聞こえた。
串焼き屋の主人とボロボロのフードを身に着けた男が言い争っていて、同じくボロボロのフードを身に着けた男女が彼等を諫めている。
「アレはイタチの獣人と、魔族の冒険者?」
「あ!ソーマ」
ソーマが彼等に駆け寄る。
「あの、どうしました?何かありましたか」
「ぁあ!また魔族かよ。俺ぁ魔族は嫌いなんだ!サッサと消えろ!」
「んな言い方ねぇだろ!」
「やめなって!しょうがないよ」
「私達は、負けたんだから・・・」
「畜生が」
イタチがボソッと呟いた。
その呟きを聞いた魔族の男がキレた。
ギッとイタチを睨みつけ、振り向きざまに火球を投げつける。
ズオッ!
「ヒィッ!」
イタチは両腕で頭を庇う。
ソーマが駆け寄り両腕を広げてイタチの前に立ち庇う。
「マーくん、まほうをすっちゃえ!」
ユカリが魔術師人形に命令する。
火球が魔術師人形の杖に吸い込まれて跡形もなく消えた。
「なるべく、争ってはダメです。武力で対抗しても武力でしか返って来ません!」
「皆、同じなんです。みんな、魔族も、他の種族達も、互いが互いを恐れてる」
「閉ざさないで下さい!少しでいいのです!少しだけ受け入れて・・・」
ガッ!っとソーマの頭に石が投げられ、傷を負う。
「ソーマ様!」
魔族の冒険者達がソーマに駆け寄る。
「魔族は帰れ!」
「消えろ!」
「魔族なんざ滅んじまえ!」
露天の店主達や観光客がソーマを庇う魔族達を囲み、石を投げつける。体からは黒いオーラが溢れている。
「うっ、ふっ、ぐ」
ソーマは魔族の女冒険者の腕に庇われながら涙を流す。
「セイちゃん、じょうか」
聖女人形は祈りを捧げる。
人々は緑色の光に包まれ、清々しい表情へと変わっていく。
「アレ?俺何をやってるんだ」
「さあさあ、フルーツジュースはいかがぁ!」
「コカリスクの唐揚げは美味いよ!」
人々は日常に戻っていく。
「魔族さん。さっきは酷い事言って悪かったね。これオーク肉の串焼き。詫びとして貰ってくれないか。本当に済まなかったね」
イタチが本当に申し訳なさそうに串焼きを四本差し出す。
「え、あ、ああ。」
「こっちも済まなかった。怪我はないか?」
喧嘩をしていた男が謝罪する。
その光景を驚きの表情で見ているソーマ達三人の体を緑色の光が包みこむと、途端に傷が癒えて行く。
ワタル達が感情の無い顔でこちらを見ていた。
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