24話 リモート8カ国会議
凄い事になった。
魔大国の王妃様の呼び掛けで、世界八カ国会議がワタル達の家で行われる事になったのだ。
昨日と今日の朝は客人達を迎える為の準備で大忙しだった。
人数は各国二人までにして貰った。
今、各国七人の王達。
ロゾリア帝国 女王 アメリ・サバン
グリンバル獣王国 国王バリンガム・グリンバル(猫型)
エリンピット大森林 エルフの族長キース・グリス
バロック魔術大国 国王グレイ・ドーン
エンバード竜王国 国王エレン・ダーク
ロックフェル王国 ドワーフの女王 マリベル・チアーズ
マリーベル王国 精霊王 グラベル・ハーマン
そして魔大国の王妃ゼシカさんの八カ国の王が席に着いている。
八人の視線の先にはテレビモニターが置いてある。
ノートパソコンと繋いでリモートで魔王様の姿を映したら、一体どんな魔道具だ!と一瞬騒ぎになり、魔術大国のグレイ・ドーン国王は席を立ち上がり、ハルと一緒にあれこれ触り倒していたが、テレビもパソコンもハルが開発した魔道具と言う事で誤魔化した。
さぁ、会議が始まるぞ!とドキドキしていたらハルに、
「ここからは大人の話し合いだから子どもは外で遊んでおいで」
と、シオンとユカリの三人で外に追い出されてしまった。
「俺達の家だぜ!俺達も会議に参加する権利があるはずだ!抗議しようぜ!」
「した所でドアは開かないよ。図書室で本でも読んで待ってよ」
と、シオンは激怒していたが、ワタルは仕方がないとたしなめて図書室で本でも読んで待つ事にした。
昼が近づき、今日の昼は何にしようかと話していた時、ハルが図書室にやって来た。
「ワタル君、ちょっといいかな」
「うん。何か問題でも起きた?」
「問題というか、まぁ予想はついてた事なんだけどね。王様達が家中の魔道具に興味津々でさぁ」
「それで、コレは魔大国協力の元で作られた魔道具ですから魔王復活、及び国交再開に反対の方には売れませんて言ってやったの」
「そしたら全員その場で即サイン!」
手の平を書類に見立ててサインの仕草をするハル。
「ま、本当は皆魔王の反省も、人間側にも責任があったこと
は分かっていたし、再開のキッカケを探してたみたいだね。で、今回の魔道具騒動は良いキッカケになったみたい」
「だから今回だけ試作品て事で、パソコンとプリンターだけお土産に持たせたいんだけど、良いかな?全て手書きで書類仕事って物凄く大変なんだぁ〜」
合掌してワタルを拝むハル。
「買い物もほかの機能もない、ただ文字を打ち込んで印刷するだけでいいなら」
「それで十分!」
「お、やっっと会議終わった見てぇだな」
本を枕に寝ていたシオンが家から王達が出てくるのを見つけた。
ユカリは絵本に夢中になって周りが見えていない。
図書室の窓から見えた王達の表情は皆、晴れやかだった。
家に帰るとゼシカの目が涙で赤く腫れていた。
「よう、ソーマ、会議はどうなった?何の話をしたんだ?」
シオンが陽気に尋ねる。
「あ、はい。あの、二百年前の戦いについて謝罪して、反省の意思を示し、魔大国の現状をお話しして他の国との交易再開をお願いしたんです。二百年も前の話である事、お父様が誠意を込めて謝罪した事。人間側にも責任があったと、認めてもらえました」
笑顔でソーマが説明する。
「ただ、その後、議録を作るためにハルさんが使用していた、パソコン?とプリンター?という魔道具について怒涛の質問を受けまして、女性陣はお風呂がどうとか言ってましたが、魔大国ではこんな便利な魔道具を使っているのか!と」
「自分達にもこの魔道具を譲って欲しいと聞かなくて」
「遠くにいるはずの者の姿を鮮明に映すだけでなく、会話も途切れる事なくスムーズに出来る魔道具。手書きで書いていた大量の文書を一瞬で書き出す魔道具。こんな便利な物を隠していたのかと攻められました」
ゼシカは予想外の攻め込みに頭痛を感じているらしい。
「予想外の事もあったが、私の言葉に誠意を感じてくれた事は素直に嬉しく思う」
モニター越しの魔王の言葉に全員が頷く。
「それにこんな便利な魔道具。私だって欲しいぞ!」
はははははっ!と笑い合い、その後みんなでお茶を飲んで一休みした後、王妃ゼシカは魔大国へと帰国した。
「でも、これで魔族の人も堂々と色んな国を歩けるね」
ワタルが笑って言った。
「安全に、とは限らないけどな」
シオンが頬杖をつきながら言った。
「はい、国交が再開しても国民感情は甘くないです。当時対峙した勇者様、現国王様達の中にはお父様の攻撃を受けて武器を持てなくなった方もいます。お父様の責任ではないと仰ってくださいましたが、それが印象を悪くしているのは確かです」
「こればかりは地道にやっていくしかないね〜」
ハルがソーマの肩に手を置いて言う。
それから数日後、魔大国と各国の国交が再開した事と、今度はグリンバル獣王国の砂漠地帯にダンジョンが出現したというニュースが世界中に流れた。
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