14話 雪山ダンジョン攻略!でも漏れた。
「このホットストンのネックレスあったかいね」
「ああ、首は暖かいな」
雪山ダンジョンがある湖の周りには、冒険者たちの野営テントで埋まっている。
「ロックバードの串焼きにオーク肉のサイコロステーキいかが!」
「ホットストーン、ホットローブ。防寒にいかが!」
「この串焼き冷めてんじゃねぇかよ!」
冷めて硬い串焼きに齧り付きながら1階層への階段を下るワタル一行。
女神により寒さ耐性はあるが、何も感じない訳ではないので
防寒対策は必要だ。
ワタルはフード付きフェイスウォーマー、白のダウン、黒のジーンズ、白のボアブーツ。
シオンはフェイスウォーマー、水色のダウン、青いジーンズ、黒のスノーブーツ、腰にミスリル剣。
ユカリは白地に赤の炎模様の兜に鎧。
ハルは白のセーターに白のコート、白のジーンズに白のスノーブーツ。
「このダウンてローブ暖かいね〜」
「白すぎて目が痛ぇな」
「君も全身青で目がチカチカするね〜」
「うるせぇよ!」
1階層は金銀、宝石の鉱脈だった。
大勢の人がツルハシを振り下ろしている。
10階層はスライム、20階層はゴブリン、30階層は一角ウサギ、40階層はオーク、50階層は・・・とユカリ自身とワタルでも倒せる低レベルモンスターばかりで、人形達の出番はなかった。
「これでBランクっておかしくね?ちゃんと調査したのかよ」
「危険度は魔物だけで決まる物じゃないからね、見えない何かがあるのかも知れないから気を抜かないでね〜」
50階層は部屋の中心に次階への転送装置があれだけの部屋だった。
「おにいちゃん。ユカリおなかすいたぁ」
くぅぅ〜、とユカリの腹の虫が騒いでいる。
スマホを見ると昼を過ぎていた。
周りを見ると大勢の冒険者が食事をしたり、休憩を取ったりしている。
「僕たちもお昼にしようか」
ワタルはボディバッグからドアノブを取り出して壁に刺し、ノブを下げて引くと、ワタル達の家と繋がっていた。
「はぁ〜。流石に疲れたな」
「低レベルのモンスターとはいえ、数が多かったからね〜」
「ユカリタラコパスタがいい!」
好物を食べ終わり、今日はこのぐらいにして続きは明日にする事にした。
その日の深夜。シオンはのどが渇いて目が覚めた。
暗いリビングで飲むヨーグルトを飲み一息つくと、誰かがドアをノックした。
ドアを少しだけ開けて、中を覗く様にして誰かがこちらを見ている。
何かがおかしい。
目が、縦に並んでる?
「何してるん?」
「え」
「今、何してるん?」
汗が吹き出し、心臓が早鐘を打ち、脳が逃げろと命令する。
人形達は動かない。
「い、家に入ろうとする奴を倒す薬を作ってる」
「毒だぜ!」
「・・・・」
バタン
何者かは何も言わずに出て行った。
シオンは一目散にドアに駆け寄り、鍵が閉まっている事を確かめて部屋に走り戻り、布団を被って眠れずに朝を迎えた。
朝食を終え、攻略に向かおうとドアを開けると、広間には誰一人いなかった。
「ぁあ?他の奴らはどうした。誰も居ねぇなぁ?」
「一人も居ないのは変だね〜?しかも荷物を残してなんて」
「・・・・」
シオンはあの目玉を思い出していた。
60階層、70階層、80階層、90階層も似たような低レベルモンスターが出てくるだけだった。
ただ、途中で誰一人としてすれ違う事がなく、その不気味さが四人の口数を減らした。
たった二時間ほどで99階層に着いた。
「ラスボス出ねぇな。今までとは違うのか?」
「じゃあ、どうしたらこうりゃくなるの?きのうもきょうもケンくんたちでばんない」
100階層、ラスボスの部屋に着いたが何も起こらなかった。
仕方がないので何か起こるまで休憩する事にした。
ハルがコーヒーを飲みながら研究ノートを開いていると一瞬ゾッとするような気配を感じた。
玄関を見ると少しだけ開いたドアの隙間から、縦に並んだ目玉が覗いていた。
ドガアァァ!!
ハルは右手にファイアーボールを作り、鬼の形相で目玉に向かって打ち込むが、ドアが閉められ魔法は弾け飛ぶ。
人形達は動かない。
大爆音にも関わらす、子ども達は魔法に掛かった様に眠っている。
ドアの向こうにはもう誰の気配もしなかった。
夕食時、ハルは先程の話を子ども達に話し、誰が来てもドアを空けないように注意した。
シオンも同じ体験をしたと聞き、ワタルは青ざめ震えた。
「・・・・。誰もいないよね」
ワタルは夜中にどうしてもトイレに行きたくなり、怖かったが漏らしたくなかったので勇気を振り絞った。
バッ!とトイレから飛び出し、自分の部屋のドアノブに手を掛けようとした時、縦に並んだ目玉と目があった。
「っ!!?」
「何してるん?」
「は・・・、あ、」
「今、何してるん?」
「あ・・、な、何、も・・・」
「じゃあ、遊ぼうや。ええか?」
「う、う、」
「ナゾナゾやで、簡単や。答えられたらいいもんやるわ」
血走った目玉がワタルを見上げる。
「答えられなかったら?」
「喰う」
「!!」
「じゃ、行くで」
「あ、あ、え?」
「あぎょうさん、さぎょうご。これなあに?」
「え?あぎょうさん、さぎょうご?」
「ちっ、ちっ、ちっ、ちっ。あと3秒」
「3」
「2」
「え!!と」
「1」
「うそ!!」
「正解」
シュッ!
ワタルの目の前に二つの宝箱が現れた。
「青い箱には何かの鍵、赤い箱にはどんな攻撃をも跳ね返す鎧。さあどっちや?」
「あ、鍵・・・」
カツン!
銀色の鍵が落ちる音が響き、ドアの向こうの目玉も消えていた。
少し漏れた。
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