13話 雪山ダンジョン解禁と引っ越し
『正午のニュースをお伝えします。』
『ロゾリア帝国北部、ラナイア湖に出現した雪のダンジョンについて、ロゾリア王室広報部は来月頭からのダンジョン解禁を宣言しました』
『ただしBランク以上のみの入場に制限し・・・』
「ついこの間、海上ダンジョンが解禁になって調査団がいなくなって静かになったと思ったら各国の奴らが大勢来て公国もギルド街も更地にされてそれぞれの国の街ができて・・」
「忙しいなこの島は」
「囲まれちゃったね、僕たちの村」
荒野でしかなかった世界の中心にある島アレスは、わずか数週間で今や世界の縮図のような観光島になっていた。
ワタル達の村の周囲にも乱雑に街が作られ、ワタル達は退去を求められている。
ドン!ドン!ドン!ドン!
この日も激しくドアを叩かれる。
「チッ!毎日毎日マジうぜぇ!」
「うるせぇ!俺達はここが荒野の時から住んでんだ!お前らが出て行け!」
昼夜問わずやって来る退去要請にシオンも切れて叫ぶ。
「んだとこのガキ!下手に出りゃ調子に乗りやがって!」
「お前らこんな家ぶっ壊しちまえ!」
バリバリバリバリ!!
「「おあ"あ"あ"あ"!!」」
「アホが!」
ふん!と口角をあげるシオン。
「でも、流石にうるさいよ。僕は静かな所に住みたい」
「確かにな。他所から来た子どもとブランコ取り合ってケンカになるのはユカリも可哀想だし」
ユカリは不機嫌な顔で頬を膨らまして勝手にブランコを乗り回している子どもを睨んでいる。
「ハルもどことなく不機嫌なんだよね」
「知るかよ。アイツは自分で何とかするだろ」
「しょうがない、引っ越すしかないよ。問題はどこに引っ越すかだよ」
玄関ドアに張ってある世界地図を眺めるワタルとシオン。
「俺はどこの国にも属さない自由な所がいい。移住手続きとか面倒臭ぇ」
「もう、自分だけの国が欲しいよね」
「国はできないけど、島の主にはなれるよ」
「ぅわっ!イキナリ現れんなよ!」
突然の声に体がビクつくシオン。
「中立地帯であるこのアレス島付近にできた、新しい島の所有者になればいいんだよ。」
「島の所有権は第一発見者にあるから、近くに島をつくっちゃお!調査が入るけど、身分証も作れるよ」
「そんな魔道具は無いかなぁ?」
顔の横で手を組んで、甘えるようにワタルに尋ねるハル。
「ドラえもんかな、僕は」
はぁ、と溜息をつきながらスマホを操作する。
アプリ"おもちゃ箱"で創世セットを見つけ、購入。
A4用紙サイズの箱を開けると、世界地図模した薄い水槽に入ったジオラマが出て来た。
海を模した水が入っているが、ひっくり返しても溢れる事は無い。
「この粘土で島を作って色を付けて置けばいいだけだね」
「今はまだやらない方がいいな、見つかる。夜になって静かになってからの方がいい」
「これ、うごかせる?」
目の前の島に手を延ばし外そうとするユカリ。
「島は動かしたらダメだよ!みんなビックリしちゃうからね!」
慌ててユカリの手を掴み、止めるハル。
「僕と一緒にどんな島にするか考えよ〜!」
「うん!」
部屋にお絵かき帳と色鉛筆を取りに行くユカリ。
「夜になるまでコレは僕が預かっておくね。何かの拍子に動いちゃったら世界中大騒ぎだからね」
ジオラマを取り上げ、自室に入るハル。
「チッ!世界を動かして大混乱に陥れてやろうと思ったのに」
シオンが大きく舌打ちしながらハルの部屋のドアを睨む。
「そんなだから持って行かれたんだよ・・・」
気がついたらテーブルに伏していて、シオンに激しく揺り起こされた。
「おい、起きろ!島に引っ越すぞ!」
シオンは白目を向いて寝ているユカリを背負ってワタルの顔を覗きこんでいる。
「あっ!そうだった。引っ越しだ」
ワタルは慌てて外に出て家や他の建物をボディバッグに片付けていき、静かに飛行機の助手席に乗り込む。
「島は南の方に作ったんだ。アトリエと図書館、ブランコと砂場は作って島を木で囲んだよ。後は家を置くだけだよ〜」
「じゃあ、出発〜」
静音の魔法が掛かっているのか、静かに浮上して南に旋回、物凄いスピードで夜空を駆けて行った。
アレス島から数百メートル南に海面からそびえ立つ8の字型の平地があった。端からアレス島が見下ろせる。
地表は平らになっており、左側の平地の東側は岩山の壁となっており、岩場を抜かした全体を8の字型に沿って木々で埋め、木々の間に岩を置き、その内側に落下防止の柵を置いた。
壁を背にワタル達の家、すこし先の左側にハルのアトリエとシオンの訓練場。右側に図書館と小さな公園。
更に右側の小さな平地にはワタルの畑を作った。
「ん~~!!はぁ・・・」
「みんなお疲れ様。さあもぉ遅いし早く寝よ〜」
大口開けてあくびする四人。
翌朝、ワタルは激しい言い争いの声で目が覚めた。
「おいおいおいおい!ここは俺さまが、」
「うるさい〜」
が、ハルが何かしたのか、一瞬で静かになったのでまた寝た。
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