10話 崩壊
世界の中心にある島。アレス公国から南にある荒野にワタル達の家はあった。
北にはアレス公国、南には元ギルド村がある。
海上ダンジョン攻略後、3日とたたずに今度はアレスの北東にあるロゾリア帝国の、北にある雪山にダンジョンが出現した。
各国は立て続けに出現するダンジョンに調査団を派遣するが、ロゾリアは他国の調査団を入国させなかったため、一度アレス公国に拠点を作り、冒険者として入国させる事にした。
しかし、アレスは今や人口流出により崩壊寸前。
どこの国も相手にしない。
そこで元ギルド村の跡地を使い、拠点とした。
そんなある日の午後。
「ユカリこうえんであそびたい」
「俺もドロップ品の換金してぇな」
「じゃあ、1回アレスに行こうか。ギルドで換金してから近くの公園に行って見よう」
「僕は留守番してるよ。今手続きしても後が面倒そうだし」
手を振り笑顔で三人を送り出すハル。
黄色いオープンカーに乗り、走る事数時間。
「おい、衛兵!サッサと手続きしろ!」
シオンが口に手を当てて窓に向かって叫ぶが、音沙汰がない。
門は開いているが衛兵がいない。
「チッ!遂に兵まで逃げ出したかな」
頭を掻きながらシオンが愚痴る。
「兵が逃げ出したって、門の向こうはどうなってるの?」
運転席からワタルが心配そうに聞く。
「王も政治も腐ってて、人口流出が激しくていずれ国は崩壊するって言われてたけど、こんな早く来るとは思ってなかったなぁ。ギルド開いてっかな」
「そんなヤバいのこの国。中どうなってるか見てみたいな」
「・・・入っちまおうぜ」
辺りを見回し人目が無いのを確認した後、アクセルを踏み込むワタル。
「こうして見ると本当に小せぇ国だな」
「人気が全く無いどころかほとんどの建物がボロボロなんだけど」
「人が住まない家はすぐ崩れるからな、脱出する時に物資を狙って店とか襲われて、また逃げようとして他の家を襲ってとかじゃねえの」
各ギルドを尋ねるも、明らかに廃墟と化しており、公園も人は無く、荒れ放題となっていた。
教会には行けば遺体が乱雑に放り込まれ山となっている。
ユカリには見せられないと慌てて外に出る。
「これ、王様は何してるの?」
「さあ、こんな状態で贅沢出来るとは思えねぇけど、ちょっと見に行ってみるか?」
オープンカーに乗り込み城に向かう。
上空から見ると瓦礫や割れた窓ガラスの残骸だらけで、人が住んでいるとは思えなかった。
廊下に降りて車を走らせる。
どの部屋もカーテンはボロボロ。
荷物を持ち出されたのか、がらんとしていて何も無い。
使用人もメイドも、兵も誰もいない。
「・・・・・」
ユカリは聖女人形を抱きしめ口を開かない。
その内、元は金張りだったのだろう、真っ二つに割れた木製ドアを避けて中に入ると、先が米粒に見えるほど大きい広間にでた。
「ここ、玉座の間、か?」
信じられないと言う顔で大口開けて見回すシオン。
「ねぇ、先に誰かいるよ・・・」
「あ、れは」
それはボロボロの貴族服やドレスに身に纏い、何かに座ってボーっと薄笑いを浮かべている、やせ細った骨と皮だけの男女と、女の膝に頭を預けている白い貴族服を着ている、同じく痩せた男。
アレス国王夫妻と息子、カミーユ王子だった。
「あれ国王夫妻とバカ息子だ!」
「え?!アレが王子!!」
目を見開き驚愕する二人。
「tpjnw.tjagp8556やなはらまた!!」
突然、王子が立ち上がり二人に指を指して何かを叫び出し、憤怒の表情で睨み、四つん這いで這い寄って来た。
「ぎやあああ!!」
あまりの怖さにユカリが泣き出す。
ギャリぃぃ!!
泣き声に我に返ったシオンが、助手席からハンドルを回して窓ガラスに突っ込む。
バリぃぃン!!
黄色のボタンを押し、羽根をだす。
飛行機形態に変えて一目散に逃げ出す。
ガンッ!!
「わっ!!」
バタバタバタバタッ
「ぅあアアアン!!」
「えっ?!な、何?どうしたの?!」
テーブルに座って書き物をしていたハルは、驚きで右手に持っていたコーヒーを落としてしまい、慌てて拭き取ろうとして袖で拭いてしまい、大きな溜息を吐いた。
「あれはヤベぇ!アレスは終わってる!」
「僕たちがここに来て一カ月経ってないよ!何があったの、あれ!」
「う、、グッ、ずずっ」
「君たちは知らなくていい事だよ。でもそんなにヤバかったんだ?」
ユカリの涙を拭いてやりながらハルが答えた。
「狂ってたぞアイツラ!」
「何かを叫びながら追いかけられた!街は崩壊してて教会は人の」
「いいよもう。少し落ち着こう。ホットミルクいれてあげる。テーブルに座って」
ユカリ、ワタル、シオンの順で座る三人はミルクを飲みながら息を整えた。
そして、シオンがとんでもない事を言い出した。
「なぁ、あの国。俺達が貰っちまおうぜ」
いい事思いついた!と言う様な顔で明るく言い放った。
「「はあ?」」
ハルとワタルの、何言ってるんだとばかりの顔が面白かったのか、「ふっ」とユカリが笑った。




