オタク、アフィリエイトのデメリットを知る。
「そういえば・・・部室でアフィリエイトのメリットは聞いたけれど、デメリットは聞かなかったな」
どんなものにもメリットもあればデメリットもある。メリットだけでデメリットがないものなんて、そんな美味い話は世の中に存在しない。
メリットは
・低リスク
・無料でスタートできる
・権利収入
・収入は青天井(制限無し)
・趣味と実益を兼ねる
だったか。
デメリットか。ライバルが多い、報酬が発生するまで時間がかかる、あたりだろうか。
本屋で副業コーナーを覗く。アフィリエイトの指南書もたくさん並んでいた。
勉強でも資格試験でも図書館で借りるときもボクの本を選ぶ基準は変わらない。サクッと一読できること。わかりやすいことだ。
具体的には文字が大きく、行間が空いていること。挿絵や図があると尚可。本格的な小説よりもラノベみたいなものがすこだ。
一冊を読み終わるのに時間をかけすぎては学びの効果が薄くなる。読み終えたときには最初のほうを忘れてしまうからだ。
まず全体像を把握する。そのためには文字が大きく、わかりやすく、イラストや挿絵が多いものがいい。
まあ人間は忘れるもの。忘れたらまた覚えればいい。反復継続。繰り返しは勉強の基本だしね。
本を手にとってペラペラとめくる。棚に戻す。また本を手にとる動作を五分ほど繰り返したボク。
これにするか。一冊の本を手にボクはレジに向かった。
「あ、お兄ちゃんだ。お兄ちゃん!!」
ここはオタクの聖地、秋葉原。オタク・タワーで日課の美少女フィギュア売り場とサンプル展示のチェックをすます。
その後、四階下の書店でアフィリエイトの本「ゆるふわアフィリエイトのはじめかた」を買った。タワーを出たところで横から声をかけられたのだ。
同時にいきなり右腕に抱きつかれた。
ギュッ。ムニッ。なにか柔らかいような、それでいて芯のあるものが当たる。
「こより、当たってるんだが・・・」
「だってお兄ちゃんに会えて嬉しいんだもん。あと、当ててんのよ♡」
(ちっ、アキバはいちゃつくところじゃねーぞ)
(リア充、爆発しろ)
(氏ね、マコト氏ね)
周囲の視線が痛い。そりゃそうだ。はたから見ればセーラー服の美少女(中学三年生)が秋葉原の駅前で男子高校生に抱きついているのだから。
すーはーすーはー。
気がつくとこよりはボクの制服の匂いをかいでウットリとした顔をしていた。
「こより、そこまでにしろ。帰るぞ」
ハッと我にかえるこより。ほんと、こいつは可愛いなあ。両親は遺伝子の良いところすべてをこよりに渡したのだろう。
「うん!お兄ちゃん」
並んで自宅まで歩く。小さい頃からこよりは甘えん坊で、外に出るときはボクの手をつないで離さなかった。それは今でも変わらない。
「あのさ、こより」
「なぁに、お兄ちゃん」
「手をつなぐのはいい」
「うん」
「なぜ恋人繋ぎなんだ?」
「うふふふ」
ギュッ。こよりの左手に力がこもった。地味に痛い。兄のボクより握力が強そうだ。
子供の頃、はずかしくて手を振りほどこうとしたことがある。もちろん無理だった。握力もそうだが、往来でギャン泣きされた。
それから無駄な抵抗はしないようにした。家族を泣かせたくないしね。
だが、こよりが中学生になってから手の繋ぎ方が恋人どうしのするものに変化した。なぜだろう。
オタクは鈍感力には自信がある。考えても無駄と悟る。
そうして帰宅するまで、こよりとのバカップルムーブは続いた。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
帰宅したボクは自室にこもる。買ったアフィリエイトの指南書は一時間ほどで読み終えた。
「なるほど。やはりデメリットもあるのか」
イスに寄りかかり、ぐいーっと伸びをする。
アフィリエイトの本に書かれていたデメリットは
・報酬発生まで時間がかかる
・アクセスが検索エンジンに左右されやすい
・無料ブログは危険
くらいだった。
アフィリエイトブログは銀行の預金と同じだ。銀行にたくさんお金を預けると利息がたくさんつくように、たくさん読者に有益な記事のあるブログからはたくさんのアクセス数と報酬が発生する。
そのためには手間と時間をかけて記事を書かなければならない。
文字数の量よりも情報の質を大切にしたい。どんなに文字数が多くても質問や疑問に対する回答がなければ無意味だろう。
巷ではAIを使って「記事を書かない」アフィリエイトが流行しているけれど、ボクは魅力を感じない。
そもそもみんながAIを使って記事を書いたらどうなる。ザコばかりの宇宙世紀だからガソダスでも余裕で勝てた。ライバルがみんなガソダスに乗ったら優位性はなくなる。
だいたいアフィリエイトは低コストでスタートできることが魅力。なのにソフトや塾に何十万円と先行投資する必要がどこにあるのか。
AIアフィリエイトのことはもういい。ボクはボクの情報と質で勝負するだけだ。
「お兄ちゃーーん。お母さんがお風呂入れってー」
「わかったー!!」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「このあとの展開は予想できますよね」
湯船でお湯に首までつかりながら独り言をいうボク。
「お兄ちゃーん!こよりも入る!!」
ガラッ。返事をする間もなく、こよりが風呂に乱入してきた。
もろちん、いやもちろんバスタオルを体に巻いていた。とっても健全。だからアニメ化しても大丈夫ですよ。
こよりのスタイルはスレンダー系。ティーン対象のファッション雑誌の読者モデルみたいだ。
胸はまぁ・・・残念だったね。
やはり可愛い。家族でなければ。義理の妹なら迷うことなく結婚していただろう。どこかのアニメみたいに。
ジーッ。
こよりの顔から足のつま先まで視線を送る。
「ちょっ、お兄ちゃん恥ずかしいよぅ」
ジーッ。
「あぅう・・」
ジーッ。
こよりの顔が真っ赤になっていく。
「悪い、悪い」
「ほんとだよぅ。お兄ちゃんのえっち」
本当に両親は遺伝子の良いところだけをすべてこよりに渡した。でも父さん、"ソレ"だけは余分だったよ。
見上げるとこよりのこよりはデンジャラスなサイズに変化していた。ボクのボクより大きい。
ボクとこよりは兄弟。そう、男どうし。
「早く大人になって手術して、心だけでなく体も戸籍も娘になるんだ」
シャワーで体を流しながら将来の夢を口にするこより。男どうしだから謎の光線もはいらない。
そうか女性になりたいのか、こより。
ではなぜ、ボクをみてこよりのこよりはこよりではなくなったんだ。
「でも・・その前に兄さんのハジメテが欲しいな」
(全力で見逃せ!!)
脳の中でアラートが鳴り響く。聞こえてはいたが全力で無視をした。ギアスに抗え。
ボクはノーマルだ。やる方はともかく、やられる方は考えたくもない。
ほんと現実なんてクソゲーだ。
はい異世界シニアです。
また嘘をつきました。だってアフィリエイトのデメリットを説明してなかったから。
あと学校モノとはいえ、ずっと舞台が部室ではつまらない。そこで自宅が浮かびました。
自宅といえば家族。家族といえば妹。わたしに妹はいませんが、妄想の中でなら何人でも産み出すことができる。デュフフ。
ただのデレた妹に興味はありません!!
そこで弟をぶっ込みました。ヤンデレかつ兄ラブなヤヴァい奴を。しかも狙うのは兄のハジメテ。アーッ。
さて次回は舞台を学校に戻します。今度こそアフィリエイトの設計図に入れますように。入れたらいいよね。
んがぐぐ・・・。