オタク、ライバルを丸裸にする。
「なぜ人はアフィリエイトをするのか。はい、オタクくん!!」
ここは都立商業高校の副業部。一年生でアフィリエイターのスパッツ元気女子ことオナチューがボクを指名する。
「儲かる。低リスク。そして財産になる」
「ピンポーン!!スゴイね、正解だよ!」
「副業もビジネスだ。ゆえにリスクはある」
部長でもあるパイセンだ。
「セドリなら仕入れても売れないリスクね」
合法ロリこと副部長の上級生さんが続く。
「そうっす!でもアフィリエイトはそのリスクが極端に少ないっす!!」
「さらにストック型のビジネスだから、記事を書けば書くほどキミの財産が積み上がっていく」
「仕入れなし!在庫をもたない!収入は青天井!」
「セドリなら仕入れをやめれば収入は止まる。しかしアフィリエイトは更新を止めても収入が入ってくる」
「寝ている間にもチャリーンとお金が入ってくるのは魅力よね」
なるほど。アフィリエイトとはインターネットという世界に自分の自販機を設置するようなものか。完全に理解した。
「さあ後輩。キミも広大なネットの世界にダイブするんだ」
「なんか電脳機動警察みたいですね」
このひとのノリを気にしたら負けだ。
「エソタングル!!」
「月はでているか!?」
「姫!まだ昼なので月は出ていません!」
あいかわらず唐突にアニメのセリフをぶっこむ副業部の部長パイセン。律儀に突っ込む同級生のスパッツことオナチュー。
そのやり取りを優しい目で見守る副部長で合法ロリ上級生さん。もちろんボクは生温かい目だけどね。
ボクは都立商業の一年生男子。副業を検証し実践する副業部の新入部員。
美少女フィギュアが大好きなボクがアフィリエイトブログを作ることになった。今日はライバルブログを丸裸にするための集まりだ。
丸裸にする。マッパにするとも言う。
具体的にはライバルの良いところ、悪いところを研究して、戦わずに勝てるところで勝つのだ。
「なに?まっぱになった!?」
「これはこの作品がラノベ化したあかつきには、あの先生に挿絵を描いていただくしかないな!」
「おもいっくそえちえちなヤツで!」
「わたしは"履いてない"キャラクターにしてほしいぞ!!」
パイセンやめて!ほんとそれアウトだから!!
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「ではライバルの分析をはじめよう」
ホワイトボードにパイセンが文字を書く。ライバルと描いたところでこちらを振り向く。
「強敵とかいて、"とも"と読む!」
「いいから進めてください」
被せ気味に抑揚のないセリフで先を促す。パイセンはつまらなそうに顔を前に戻した。
チッ。
あ、今このひと舌打ちしたぞ。だんだん痛い本性をさらけ出してないか。
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ホワイトボードには三つの有名な美少女フィギュアブログの名前と良い点、悪い点が挙げられた。
『フィギュア・スピード』
良い点 情報量、情報の速度がハンパない
悪い点 ライブ感が少ない
『プレミア化する美少女フィギュアを教えます』
良い点 更新回数が多い、宣伝が上手い
悪い点 信用の積み重ねができていない
『フィギュア手帳』
良い点 レビューが強い。ブログ、ヒヨッター、動画のヨーチューブなど連携している
悪い点 ベタベタと広告がウザい
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なるほど。確かにどこもなんらかの強みをもっている。情報量しかり、伝達速度しかり、レビューしかり。
しかし分析してみると悪い点、できていないところがみつかるものだ。
「じゃあ、オタクくんがライバルに勝てるところを挙げるよー!」
・情報量
・情報の質と正確性
・商売の心構えができている
・立地が活かせる
スパッツことオナチューが声にだしながらホワイトボードに書いた。
「ふむ、やはり情報の質と量か」
「立地、最強っす!」
「商売の心構えができているからブレもないでしょう」
情報の質と量はわかる。心構えも学んだ。
(立地ってなんぞ??)
「なんだ、まだわからないのか」
「姫、近くにいるからこそ気づかないのよ」
「それ知ってます!ブルーバードっすよね!」
さいごのは青い鳥ね。それだと国産自動車だから。
「やっちゃえ、オッサン」
またボクの心を読んでパイセンがつぶやく。いいかげん話を進めよう。
「後輩、この学校はどこに存在する。そして美少女フィギュアの聖地はどこだ」
「あ、秋葉原」
「ピンポンピンポンピンポーン!」
「聖地だから最新情報に困らないわ。物販なら仕入れに困らないのは、大大大大メリットなのよ」
新商品の入荷、サンプルの展示、イベントの開催。毎日どこかで新鮮な情報が転がるオタクの聖地、秋葉原。
リアルタイムの情報発信は三大ライバルブログもしていない。ほとんどが二次情報ばかり。つまりボクが勝てる。ずばり一次情報源となれる。
たとえば展示サンプルを撮影すれば、買わなくてもそこそこのレビューができる。品薄な美少女フィギュアの店頭在庫をヒヨッターでつぶやくことも可能だ。
品薄で入手困難なフィギュアの情報もボクならわかる。そう読者が喜ぶ、読者が求める情報を提供できる。これは強い。
ちなみに一次情報とはリアルで体験した人のオリジナルな声。二次情報は一次情報の又聞き。三次情報になると出自も不明だ。
情報は速くて新しくて正確なことが求められる。一次情報源であることは最大のメリットなのだ。
どこかのインプレゾンビみたいに公式のツブヤキから画像を盗用して、さも自分がツブヤいたような顔をするのはバレると読者の信用を失くす。
信用を失うといえば、中の人でもないのに完売宣言を繰り返したり、受注生産を予約開始当日から急いで予約しよう!なんてのもブラックだ。
アフィリエイト報酬が発生しないからと、わざと公式の特典付きを読者に教えないなんてもってのほか。
読者にバレたらシャレにならない。
インプレゾンビも狼少年も受注生産なのにお早めに!と予約を煽るのも、わたしは金のためならなんでもやります。そう宣言している行為だ。
キンコーンカンコーン。
下校の時間だ。今日も秋葉原のオタク・タワーに寄って美少女フィギュア成分を補給して帰ろう。
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部室を出ようとするとパイセンに声をかけられた。
「後輩、明日はブログの設計図を作る。ブログのタイトルをいくつか考えておくように」
「わかりました。やはり美少女フィギュアは必須ですよね」
「もろちん、いやもちろんだ。キーワードは絶対に入れろ」
「はい。ではまた明日」
「ああ、グッバイ世界だ」
パイセン、ブイチューバーとかやってませんよね。
どうも異世界シニアです。お待たせしました。
更新が遅れました。じつは旅行に行ったり、資格の更新講座を受講していました。
そういえばなぜ副業にアフィリエイトをするかも説明していませんでした。前書きで一気に説明完了。
でも低リスクといってもビジネスはビジネス。アフィリエイトも「楽ちん」ではありません。報酬もすぐには発生しません。
銀行に一万円預けている人と一億円預けている人。どちらが一年間に多くの利息をもらえるでしょう。後者ですよね。
つまりアフィリエイトブログは、読者にたいして有益な記事をどれだけたくさん書けるか、書いたかが重要です。
それではサイドジョブ。次回「アフィリエイトブログの設計図をつくろう」。
ほんとのことさ〜。