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ベーコンレタス・コスプレ撮影会

腐女子にとっての幸福ってなんだと思う。これは永遠のテーマかもしれないけれど、わたしは推しが目の前に存在することだと思う。


しかも二人。さらにこの二人の兄弟は自分の理想を具現化したキャラクターだったとしたら。アナタならどうする。二人に何をしてもらう。


わたしはTVアニメ"ベーコンレタス"の原作者の野獣やじゅう野薔薇のばら。BL界隈では野獣先輩と呼ばれている。本名は白百合しらゆりだ。


わたしはいま、人生における幸せの絶頂にいた。


「お兄さん!弟にアゴクイして!」

「こよりちゃん、お兄さんに壁ドン!」

「椅子に座ったお兄さんの股間に頭を置いて!」

「こよりちゃん、お兄さんを後から抱きしめて!」


カシャカシャカシャカシャカシャカシャ。この二人なら何枚でも撮影できてしまう。幸せだ。幸せすぎて怖くなるくらい。


この兄弟に出会ったのは偶然。たまたま即売会のサークル内でイチャコラする二人をみかけたのだ。


運命を感じた。


自分の描いたキャラクターが現実化したと錯覚をするくらい理想的な兄弟だった。黒縁メガネの目の奥にある総受け体質の兄。誰にも憚ることなくメス顔を兄に晒す弟。


しかも弟は芸能人アイドルクラスの美少年。一般人ノーマルなら彼を美少女と間違えるだろう。わたしレベルになるとホンモノか贋作フェイカーか一目で看破できる。


その後、彼らのベーコンレタス・コスプレ写真集が発売される。速攻で十冊購入した。観賞用、保存用、布教用だ。常に持ち歩いて暇さえあれば眺めている。愛車の跳ねフェラーチにももちろん積んでいる。


そして妹のおかげでわたしは兄弟と感動の対面を果たす。ライムを交換したわたしはさっそく兄弟にモデルのオファーを出した。


日当は一人五万円。ヌードは追加で一人十万円。兄弟は快諾してくれた。


やはり金。金はすべてを解決すりゅ。



「お疲れ様です。着衣の撮影はここまでです」


いったいどれだけ二人を撮影しただろう。二人は本当によくやってくれている。とくに弟がノリノリでキスさえも平気でリクエストに応えてくれた。


少しの休憩をはさんでいよいよヌードに移る。ドキドキする。初めてみる父親以外の男性の裸。


あ、食事をとるとお腹がポコンしちゃうから昼食は撮影後と伝えてある。特上の寿司をごちそうするつもり。


まずは軽くシャツの前をはだけてもらう。


「フォッ」


ここからは撮影NG。彼らの姿態はわたしの目に焼き付けるしかない。


次は定番の上だけ脱いでもらおう。シュル


「ブッチッパ」


いかんいかん。ヨダレが出てしまった。しっかりしろ白百合、全集中ホモの呼吸だ。さあ、いよいよズボンを脱いでいただこう。いただくのよ白百合。ストン


「チュパラッチ」


これが夢にまでみた男性の裸。逞しさはないが若者の瑞々しさにあふれている。なんか興奮しすぎて頭がクラクラしてきた。


さあラストよ白百合。最後の一枚をとっていただくの。楽園はすぐ近くにある。パサッ


「え。コルトパイソンとマグナム44??」

「お兄ちゃん、なんでスタンダップしてるのさ!」

「お前こそサイズチェンジしてるじゃないか!」


どうやら兄弟は撮影しているうちに興奮が最高潮に達してしまったらしい。男の人ってこんな巨大なの。これはもはや凶器かもしれない。


「凄い・・・」

「シロ先生、近いよぅ」

「あ、ごめんなさい。つい」


興奮して思わず顔を近づけてマジマジと見てしまった。これが男性器。こんなのが入るの。


ヤオイ穴すごすぎる。


触ってみたい。握ってみたい。できれば味わってみたい。作品のクオリティを上げるためならこれは仕方ないことなのだ。


「お二人ともお願いがあります」

「少し触らせてください」

「「ええっ」」

「下心はありません!本当に作品のクオリティを上げるためなんです!!」


お兄さんが決心した顔で答える。


「わかりました。好きにしてください」

「ボクも目を瞑ってるよぅ」


二人は手を後ろに回し、目を瞑ってくれた。おそらくわたしの人生でこんな機会は二度と訪れないだろう。


息がかかるくらいの近くまで顔を寄せ、マジマジと彼らのコルトパイソンとマグナム44を観察する。


なるほど。兄弟といっても色も形も大きさも異なる。個性があるのね。次は感触を確かめたい。


にぎっ


右手でマグナムを。左手でコルトパイソンを優しく掴む。女性の胸だって鷲掴みされたら痛いからね。そーっと柔らかく握る。


二人の体に緊張が走る。ごめんなさい。もうすぐ終わるから。さあラストよ白百合。あとはマグナムの味を確かめるだけ。


口を大きく開けて礼儀正しく宣言した。


「いただきまぁす」


そのときだった。リビングのドアが勢いよく開く。


「お姉ちゃん!もう撮影は終わったかしら!?」

「え」

「え」

「え」


姉が二人を撮影すると聞いて様子を見に来た妹、百合はみた。


姉が全裸の二人の前に跪き、両手で二人のコルトパイソンとマグナムを握ったうえ、こよりちゃんのマグナムを咥えようとするところを。


「なにやってんの!お姉ちゃん!!」

「ち、ちが」

「まずその手を離して!!」

「百合ちゃん、これは違うんだよ」

「そうだよ、作品のためなんだから」

「二人してスタンダップさせて何を言ってるの!」


その後、三人は正座で仲良く百合の説教を聞くことになるのであった。


はい異世界シニアです。


まったくひどいお話ですね。やりたくてやった反省はしていません。


さてここまで続けてきたサイドジョブ。一度完結させようと思います。はじめは副業メインの学園モノを考えていました。


ところがこより、百合ちゃん、店長、白百合姉さんの登場でBL路線まっしぐらに突き進んでしまいました。


これはこれで書いていて楽しかったのは本当です。


ただ主人公のオタクくんが自分の心に誰がいるか気付いてしまいました。ダラダラとイベントを消化するのは本意ではありません。


次回サイドジョブ。最終回。二人で歩む道。



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