オタク、アフィリエイトの闇を知る。
とある商業高校の副業部。学校一の美少女三人のいる部活でハーレム無双をするボク。
今日も胸の大きな部長のパイセンが猫のようにスリスリと甘えてくる。ほんと部活って最高だな!!
「前書きでオタクの妄想を垂れ流すのはそこまでだ!!」
「アフィリエイトを検証すると言ったな。あれは嘘だ」
のっけからエピソードタイトルを否定するヒロインはいかがなものか。ふふんっとドヤ顔でボクのツッコミを待つパイセンは無視することにした。
ここは都立商業高校の副業部。副業を検証・実践する部活だ。
たまに痛いセリフを吐くのが三年生の部長。学校一の美少女で胸も大きく、スカートとニーソの絶対領域が素敵なパイセンだ。ま、そんな人間、現実にいるわけがないんだけどね。
「おいこら、いきなりなろう小説を否定するな。さて部活動を始めよう」
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「あー、これ典型的なニワカハメだね!」
ボクのスマホ画面をみるなり、同じ中学出身のショートヘアで元気娘のオナチューが断言する。
副業部でアフィリエイトを検証する彼女。アフィリエイトとはブログなどで商品を紹介して、売れたら紹介料として報酬がもらえる副業の一つ。
オナチューはとにかく元気印でアクションが大きい。だからピョンピョン飛び跳ねるたびにスカートの裾から黒いスパッツがコンニチワする。(スパッツさん、ちわーっす)
「キミは女性の下半身に挨拶するクセでもあるのか」
パイセンの冷たい視線にゾクゾクする。もちろんパイセンの絶対領域にも挨拶は欠かさない。なんて礼儀正しいんだろボク。
「スパッツちゃん、ニワカハメってなんなの」
二年生で見た目は小学生でも通るであろうようじょかつ合法ロリの上級生さんが聞く。それボクも知りたい。
「ニワカをハメる悪質な輩のことっすー!」
どうやらオナチューいわく、ニワカは素人のこと。ハメるは騙すことだそうだ。
ボクはそのとき完全に理解した。だからあの人のブログやヒヨッターに違和感を感じていたのだと。
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少し前に話を戻そう。戻すと言っても前回のお話だ。
美少女フィギュアが大好きなボクは部長のパイセンにセドリを教わる。そのフィギュアは人気があり品薄で、定価を超えるプレミア価格になっていた。
そしてプレミア化する美少女フィギュアを教えますというブログを運営するインフルエンサーのキングスロードさんが「アムアム通販で完売!!」とヒヨッターで断言もしていた。
完売とは、ヒヨッターのAIパートナーのクロックさんに質問したところ、商品などが完全に売り切れること。在庫が復活しないことだと回答をいただいている。
けれど完売したハズのそのフィギュアが大量に在庫復活したのだ。
「完全に嘘じゃん!!」
スパッツちゃんことオナチューが怒りを隠さずに口にした。
「そもそもこの人、キングスロードさんだっけ。アムアム通販の中の人なの?」
「それはないだろう。ならば公式のブログで情報発信するだろうし、プロフィールにも明記するはずだ」
「つまり・・・外部の人間が勝手に断言してるんですよ。アムアム完売って」
じっさいに完売と断言された物が在庫復活している時点で彼の信用は地に落ちているのだががが。
彼のヒヨッターのタイムラインを覗く。あれから何度も完売と在庫復活の投稿を繰り返していた。
「まるで焼畑農業だな」
「そうね、確信犯だわ」
「イヤっすねー」
焼畑農業は畑を焼き、焼け跡を農地として使う。土地が痩せたら放置して移動。また別の土地を焼く。そしてまた移動を繰り返す農法のこと。
アフィリエイトなら素人を騙すだけ騙し、また新たなカモを探して騙すの繰り返しになる。
「でも、そんな不実な人間ならヒヨッターに何万人もフォロワーがいるのっておかしくありませんか」
パイセンが悲しそうな顔をしてボクを見る。
「後輩。ヒヨッター フォロワー 金で買うでググールしてみろ」
まさか。そう思いながらもスマホの検索エンジンのググールで調べてみた。
「そうだ。SNSのフォロワーは金で買えるんだよ」
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「こいつも要注意だな」
ボクのスマホでヒヨッターのタイムラインをチェックするパイセン。まあ美少女フィギュア関連しかフォローしていませんけど何か。
「見ろ、このタイムラインを。同じ内容のツブヤキだが気づくことはないか」
見るとメーカー公式の新作発表のツブヤキだった。しかし、その後に同じ内容のツブヤキが個人アカウントから投稿されていた。
「ふつうなら公式のツブヤキをリツイートする。だがこいつは公式から画像をパクり、さも自分でつぶやいた顔をしているだろう」
「インプレゾンビっすね!」
聞いたことがある。ヒヨッターには赤バッヂ制度なるものがあり、ツブヤキが見られれば見られるほど、アクセス数を増やせば増やすほどお金が支払われるらしい。
アクセス数ことインプレッションを増やすためにルール無視、マナー違反な行為をする輩がインプレゾンビと呼ばれていることは知っていた。
「後輩。残念だけどこれがアフィリエイトの闇だ」
どうも異世界シニアです。前回からスマホでこの作品を書いています。
長文をスマホで書くのは大変かなーなんて思っていたのですが、やってみるとなかなかアリ。
考えながら書くのでちょうどいいペースが維持できています。
さて次回はアフィリエイト編ですがプレミアの基本も語ります。どうぞお楽しみに!!
キミは生き延びることができるか。