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オタク、セドリのメリットとデメリットを知る。

舞台はとある都立商業高校の部室。


サイドジョブこと副業部には、三美姫さんびきと呼ばれる三人の美少女部員がいる。


胸が大きく絶対領域ニーソのパイセン。

合法ロリの上級生さん。

同じ中学出身のオナチュー。


ある日、部長のパイセンにスカウトされて半ば強制入部させられた美少女フィギュアオタクのボク。


入部初日から熱い議論が飛び交うのか。


第三話、三美姫が斬るっ(嘘だぞー)

「問おう。あなたがわたしの後輩か」


唐突に胸の戦闘力が残念なハラペコ騎士王みたいなことを言い出したよ。この人は。


なんだ・・・ノリが悪いな。つまらなそうにパイセンがつぶやく。そんな大波のネタに乗れませんて、アム○○○バーじゃあるまいし。ゲットライド。


ここは都立商業高校副業部の部室。部員四人の自己紹介が終わり、さっそく部活動を開始した。


「ではセドリについて検証をはじめる。取り扱う商品は美少女フィギュアとする」


まってました!ボクの両目が円を書くようにうるっと輝く。戦車で敵になった姉と戦うアニメのヒロインみたいに。


「オタク、それかわいくない!」


隣に座る同じ一年生のオナチューが元気に突っ込んでくれた。うん、ありがとう。礼は心のなかで言う。


「じゃあ、まずメリットとデメリットを挙げていきましょう」


ボクの右斜め前に座るツインテールの合法ロリ・・いやゲフンゲフン。二年生で副部長の上級生さんが話を進めてくれる。


ホワイトボードの前に立つ三年生で部長のパイセンの視線が冷たいことに途中で気づいてよかった。


いや合法ロリって最高の褒め言葉なんですよ。なんたって合法なんだから。


合法ロリ最高。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


セドリのメリット

・売れる可能性の高い商品を扱う

・人気があるからすぐに売れやすい

・趣味と実益を兼ねている

・即金性がある


セドリのデメリット

・労働収入なこと

・必ず商品がみつかるとは限らない


美少女フィギュアの場合、再販や在庫復活のリスクがある。


・ ・ ・ ・ ・ ・


ホワイトボードに皆の意見がまとめられた。


さすが学年トップの成績優秀者パイセン。まるでパソコンのゴシック体のような綺麗な文字だ。


そこ、じっさいにそうジャンとか言わない。


「美少女フィギュアが大好きな後輩くんにとっては趣味と実益を兼ねている副業だろうな」

「ただしキミが動くことを止めたら収入も止まる」

「あとは毎日オタク・タワーに通っても必ず利益のとれる商品があるとは限らない」


確かにパイセンの言う通りだ。学校の下校ついでに秋葉原のオタク・タワーに寄ることができる三年間はいい。情報収集にもなる。


なによりもたくさんの美少女フィギュアを愛でることができる。だがビジネスにするなら話は別だ。


そして美少女フィギュアのセドリには最大のリスクがある。ホビー全般に存在するリスク。それが再販(再生産や増産)と在庫復活だ。


これは美少女フィギュアせどりに一生つきまとうリスクだろう。


相場よりも高く売れる商品の基本は、品薄であること。希少性ともいえる。いつでもどこでも誰にでも買えるモノの価値はとても低い。


あなたは道端に転がる石ころに金を払うだろうか。払わないよね。でも世の中にはロレックスの時計やスーパーカーのランボルギーニにフェラーリ、ダイヤモンドの指輪、金の延べ棒に何百万、何千万、何億円と喜んで払う人たちがいる。


いま挙げた誰もが知っているブランド商品には共通点がある。


それは商品そのものに価値があること。価値を感じる人がたくさんいること。そして人気があるのに入手が困難なこと。


話を美少女フィギュアに戻そう。美少女フィギュアのセドリで困るのは在庫復活。文字通り在庫が復活して、市場になだれ込んでくる。


いつでも

どこでも

誰にでも


買えるようになってしまう。すると価格はどうなるだろう。


実は今朝、音音クミの限定モデルが正規販売店のアムアム通販で在庫復活した。


しかも大量に。いつもなら五分で瞬殺しゅんころされるのに、なんと四時間半も売り切れなかった。


そこからのフリマアプリの相場は悲惨だった。定価でも売れなくなった。定価で売れても手数料と送料を引いたら完全に赤字だ。


グッズの買取専門店「アキバのオセッセ」のインターネット支店の買取価格も定価以下になっていた。


「出品は走って。仕入れは歩いて」

誰の言葉だったかな・・・パイセンは目をつむり一休さんのポーズをした。ポクポクチーン。


「ダメだ、思い出せん。とにかくリスクがある以上、さっさと売るのが一番だ」


在庫が罪庫ざいこになってしまいますからね。上級生さんがフォローする。


ピキーン。


ボクの脳みそにアイデアが閃いた。新たなタイプの人類のように。


「ノーリスクな無在庫転売はどうでしょう!」


無在庫転売とは、売れてから商品を仕入れる方法のひとつ。具体的にはフリマアプリのアポカリに出品されている商品を大手ネット通販のコノザマで価格を上乗せして出品。コノザマで売れたらアポカリで仕入れて購入者に送る。


バン!!


パイセンがホワイトボードを平手で叩いた。


「売っていいのは、自分で買ってる奴だけだ!!」


怒っていた。ガチだった。あの常に冷静なパイセンが本気で怒っていた。ルル怖い。


ハッと我に返ったパイセン。


「すまん、大きな声をだした。大人げなかった」

「だが無在庫転売はいかん。そしてノーリスクでもなんでもない。あれは単なる迷惑行為でしかないぞ」


確かに。ここ数年のコノザマは無在庫転売屋が量産したノーブランドなる商品ページのせいで本物の商品ページが埋もれてしまっている。


「いいか後輩。副業でもビジネスは身銭を切るから本気になるし面白い。たとえ失敗しても失敗から学ぶことができる」


「無在庫転売にはそれがない。矜持も覚悟もないんだ。ノーリスクなんて耳障りの良いだけの単語にだまされるな」


「わかりました。確かにいまの彼らはコノザマの寄生虫にしか見えませんし」


ここで下校のチャイムが聞こえた。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


それにしても不思議なことがある。


ネットには親切な人がたくさんいて、プレミア化する美少女フィギュアを教えます!なるブログが存在する。


そのブログ運営者のキングスロードさんは、ヒヨッターのフォロワーが何万人もいる。いわば美少女フィギュア界のインフルエンサーの一人だ。


その彼がヒヨッターで「音音クミ、アムアム完売!!」と宣言していた。ボクはその発言を信じた。


けれど音音クミの限定フィギュアは在庫復活した。それも大量に。


完売かんばいって完全に売り切れることだよなぁ。在庫復活したら完売じゃないよね。


「ならば明日は美少女フィギュアのアフィリエイトについて検証しよう」


またパイセンがボクの心を読んだ。


R15って美味しいの?異世界シニアです。第三話はいかがでしたでしょうか。


連載開始時、なにもわからないままR15設定を付けたのは本当です。


ビジネスをテーマにする以上、さすがに15歳以下はまだ早いのではないか・・・。そう思ったこともあります。


けれど自分の書いた二話までを何度も読み返しましたが、これR15にする必要ある??とも思い始めました。


まあとくに問題があるわけでもなさそうなので、当分はこのままで行きます。


次回は美少女フィギュアのアフィリエイトで稼ぐ方法にズームイン!!


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