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秋葉原心中

「ごめんね、キミとは付き合えない」


ここはボクの部屋。家の前でボクの帰りを待っていた、かつての幼なじみに話しかける。


彼女は五年ぶりにこの街に戻ってきた。


再会するなり、お嫁さんになるとハグをしてボクのセカンドキスを奪ったかわいい女の子。


百合ゆりちゃんは泣きそうな顔をした。彼女がボクに本気なのは、恋愛に鈍感な兄でさえわかる。


本当に心が綺麗で真っ直ぐなひと。そんなところに小学生のボクも惹かれたのだろう。あの夏の事故さえなかったら、いつかボクたちは結婚していたかもしれない。


だからこそ引き伸ばしてはいけない。本気には本気で返すのが礼儀だから。子供の頃の約束とはいえ、結婚の約束を破ったのはボクだ。


「本当にごめん。殴ってくれてかまわない」

「そんなにお兄さんが好きなの」

「好きだ」


まっすぐに百合ちゃんの目を見て答える。


「はぁ・・・」


百合ちゃんは諦めてくれたようだ。でも、これで許されるとはボクも思っていない。


百合ちゃんは目にいっぱい涙をためて堪えていた。覚悟したようにキッとボクを睨む。


「嘘つき!!」


彼女の右手が大きく上がる。何発殴られてもかまわない。ボクはそれだけのことをしたのだから。


けれど兄への気持ちを隠して。自分に嘘をついて彼女と付き合うくらいなら殴られたほうがいい。目を閉じて彼女のビンタが炸裂するのを待った。


ちゅっ


痛さとは別の感覚がボクの唇に残る。これはサード・インパクト、いや三度目のキスか。


「バカね。こよりちゃんを殴るなんてできないよ。わたしよりかわいい顔してるのに」

「百合ちゃん・・でもボクは・・」

「うん。こよりちゃんはそのままでいい。わたしはわたしの好きなようにする」

「ボク、大人になったら性転換するよ」

「あら、いいじゃない。こよりちゃんならきっと素敵なレディになるわ」

「百合ちゃん・・・ごめん」

「もう謝らないで。そんなアナタだから好きになったのよ、わたし」


わたしと同じ中学校の制服が見える。


遠目にもわかるすらりとした長い足に小さな顔。肩にかかる栗色の髪が歩くたびに揺れる。


芸能人といわれたら信じてしまうだろう。それほど"彼"は美しかった。女である自分が負けたと思うくらいに。


留守のあいだに彼の近況はお母様から聞いていた。にわかには信じられなかった。四年前、彼は海で溺れて死にかけたという。


そして中学に入学すると女子の制服で通うようになった。


「いやあ、そこらの娘さんより可愛いからねえ。他人に迷惑をかけないで本人がやりたいことなら文句はないよ!ガハハ」


じっさいティーンのファッション雑誌で読者モデルをしているとのこと。友達と原宿を歩いていたらスカウトされたらしい。


お母様がこよりちゃんの掲載された雑誌を見せてくれた。そこには神様に愛されたとしか形容できない美少女がいた。


それでも中身は男だ。いくら見た目が美少女とはいえ。なんておおらかなお母様だろう。


けれど実物の彼をみて納得した。


彼は恋していた。全力で。世間の目も声も気にしている暇なんてない。本当に自分をみてほしい一人のためだけに生きていた。


「ほんとバカ」


なによ、わたしといる時でもあんなメス顔しなかったじゃない。


純粋で真っ直ぐなひと。わたしが彼を好きになったのは間違いではなかった。


そして確信した。


彼のとなりにいるお兄さん。黒縁メガネ野郎がわたしの生涯の仇敵てきだと。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


「そこはこの公式を代入するといいよ」

「あ、そうか。さすが百合ちゃん、頭いい」

「そ、そんなことないよぅ、えへへ」


ここは秋葉原のカフェ。コーヒー一杯で二時間くらいは文句も言われずに勉強できる穴場的なお店。


受験生のわたしたちは遊んでなんていられない。え?なんで自宅や図書館に行かないでカフェなんかで勉強してるかって。


それはあの鬼畜眼鏡野郎が下校後に秋葉原へ来るからよ。


「あ、もうこんな時間だ。百合ちゃん行こう」

「ほんとだ。待ってこよりちゃん」

「「ごちそうさまでした!」」

「またおいで」


初老のマスターが孫娘を愛でる顔と声で彼らを見送った。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


ざわざわ。


ここは秋葉原オタク・タワー。たくさんの人が集まる場所。美少女フィギュアの聖地だ。


美少女フィギュアが大好きなボク。オタク・タワーを巡回するのが日課だ。


うん?やけにオタク・タワーの前に人だかりができているな。なにかイベントでもやってるのかな。


「オー、ベリーキュート」

「百合てえてえ」

「レベル高いわー」

「双子なのかな」


どうやら芸能人でも来ているらしい。


ま、オタクのボクには関係ないね!と華麗にランニング・ショットを決める。待っていてね、ボクのお嫁さん(美少女フィギュア)たち。


「遅い!!」

「お兄ちゃん!!」


もしかしてボクか。こよりの声だよな。振り返ると制服姿でこよりと百合ちゃんが手をつないで立っていた。


エピソード16に戻る。



はい異世界シニアです。


エピソード11から、サイドジョブ?なにそれ美味しい?の状態になっていますね。


自覚しております。安心してください!戻りますよ!おそらく。


実は今回でアフィリエイトに話を戻すつもりでした。


ところがこよりちゃんと百合ちゃんが勝手に動き出しました。


ついカッとなってやった。後悔はしていない。


そういえば、なろうにはアクセス解析があります。一日のアクセス数とかみれます。もっとも気になるのは一番読まれているエピソードでした。


ホモが嫌いな女子なんていません。


でした。


もうやだ。


次回こそアフィリエイトに話を戻せたらいいなって。


城之内、死す。


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