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ファースト・ラブ

ボクは一度、死んだ。


夏になると思いだす。小学生の夏の海の出来事を。もともとお兄ちゃん子だったボク。その日も家族で海水浴にきていた。


一つ上のお兄ちゃん。その頃の兄は運動も得意で、どんどん沖に泳いでいく。ボクは浮き輪がなければ泳げなかったけれど、置いていかれるのが嫌で一生懸命に兄の後を追った。


その時、大きな波がボクを飲み込んだ。


浮き輪も流され、暗い海中にボクの体はゆっくりと沈んでいく。息もできない。苦しいよ。


おに・・い・・ちゃ・・


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「こより!」

「こより!戻ってこい!!」

「こより!!」


遠くから声が聞こえた。兄の声だ。

「う・・」

目を開けると兄が顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。


(ああ、またこのひとにあえた)


病院で後から聞いた話によると、溺れたボクを岸まで運んだ兄はずっと人工呼吸をしてくれたそうだ。


兄はボクの胸を圧迫し、唇から肺に空気を送り込み、声をかけ続けた。その行動をあきらめずに続けたから、この世界にボクは帰ってこれたんだ。


胸が熱い。なによりも唇が熱かった。もちろん助けてもらった感謝もある。それ以上にこの湧き出してくる感情はなんだろう。すぐに気がついた。


(ボクは兄が好きだ)


これは恋だ。そして、あれは誰がなんと言おうとボクのファーストキス。


そして終わらない初恋の始まり。


「三番テーブルさん、焼きそば大盛り二つだ!」

「五番テーブルさん、カレーライス大盛りいっちょ!!」

「六番テーブルさん、かき氷ふたつ!ブルーハワイとイチゴでお願いします!!」

「お兄ちゃん。一番テーブルさん、ビール大ジョッキ三つ!!キンキンに冷えたの!!」


「はーい!喜んで!!」


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


ここはとある海水浴場。


夏休み、ボクたち副業部は部長であるパイセンのお姉さんが経営する海の家でアルバイトをしていた。


学校の許可をもらって弟のこよりも参加している。


だって、泊まりで海の家でアルバイトなんて話しをしたら、連れて行くまで離れないと言われたら・・・ねえ。


トイレ。とくに個室とかどうするんだよ。


四人の美少女が働く海の家は大繁盛。カップルで来店した男性が三美姫さんびきもとい四美姫よんびきに見惚れ、彼女にビンタされる場面をみたのは一度や二度ではなかった。


でも、なんで店員の制服がメイド風ビキニの水着なんだろう。黒いビキニの上下にフリフリの白いエプロン。白いカチューシャと腕輪があざとかわいさをアップしているけどさ。


「そりゃあ、アタシの趣味さね!」


さすがパイセンのお姉さんだ。ボクの心のなかを読んで突っ込んでくれた。お姉さんの年は二十五歳。旦那さんは病気で早逝して未亡人とのこと。子供もいないそうだ。


黙っていれば美人。さすがパイセンと同じ血をひくだけはある。


「お兄ちゃんが他の女のこと考えてる・・」


ビクっ。こよりさん、気配を消して後に立つのはやめて。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


「本日の営業は終了!あとはみんなで好きに遊んでおいで!!」


時刻は午後三時。さすがにいまから海に来るお客さんもいない。なによりも大繁盛で食材がなくなり、メインの料理も作れなくなった。


「よく働いたら、よく遊べ!ただ働いて金を貯めても楽しくないぞ!」

「勉強がいくらできても体を動かせなければ社会では役立たずだ」

「忙しさのなかで身につくこともある」

「人生に無駄はない。経験を積め、若者たちよ」


マシンガンのように格言のようなハッパをかけるお姉さん。


大人の女性って凄いなあ。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


「お兄ちゃん、眠いの?」


黄色いヒマワリみたいなビキニの水着で腰にパレオを巻いたこよりが声をかけてきた。


「うん、朝早かったしね。調理もずっと立ちっぱなしで疲れたかも・・・」


海の家から借りたパラソルの下にバスタオルを敷いて寝転ぶボク。すぐに意識を失った。


モゾモゾ

ゴソゴソ

むぎゅ


なんだろう。柔らかいものがボクの両腕や両足に当たる。


人間は三十分くらい昼寝をすると午後からの仕事の能率があがるらしい。ボクも集中して寝たせいか、頭がスッキリしていた。


むぎゅうう。


またこよりか。この暑いのによくひっついていられるな。なんだかいつもより質量が重い気もするけれど、とりあえず引き剥がそう。


「こより、離れろ」


ムニっ。


なんだこの感触は。弟のこよりでは絶対にありえない柔らかさだ。


「うーん、お兄ちゃん。まだ眠いよぅ」


え??こよりの声が逆からするぞ。驚いて反対側をボクは確認した。


そこにはボクに寄り添うように昼寝をしているパイセンの姿があった。


ちなみにボクの右手だけど、パイセンのパイに埋もれていた。

ギャグよりストーリー漫画のほうが連載は楽。


どうも異世界シニアです。たしかどこかの漫画家さんがおっしやっていたと記憶しています。


ぶっちゃけます。パイセンの唐突セリフのネタづくりがキツいのは本当です。


いわゆるネタ切れかもしれません。


小説を書いて実感するのは、どんな経験も無駄ではないこと。たとえアニメを見ることさえも・・です。


なによりもインプットしなければアウトプットもできません。


これまでの五十年という経験があるから、いまこの作品が書けています。きっと五年前ならこの作品は書けませんでした。


さて次回も海水浴場での合宿ネタになります。


パイセンのパイに触れてしまったオタクくん。君は生き延びることができるか。


シュウ!!

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