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オタク、SNSを始める。

「んく・・んく、ごく、ごくん・・ゔっ」


その液体を飲み込んだとたん、パイセンが咳こんだ。ゴホッ・・ゲホッ。


「大丈夫ですか、パイセン」

「ああ大丈夫だ。しかし、これは本当にキツい」

「無理して飲まなくても・・・」

「なに、勢いと量に驚いただけだ。なによりもわたしが飲みたかったからな。それにしてもすごい濃さだ」

「そりゃそうですよ、秋葉原名物の瓶コーラなんですから!!」


ここは美少女フィギュアの聖地、秋葉原にあるオタク・タワーの七階だ。前回、パイセンがごちそうしてくれると約束したキンキンに冷えた瓶コーラを二人で飲みに来たのだ。 


味も濃くて炭酸も最強。まったく瓶コーラは最高だぜっ。


「なーんか、やらしい」


声のほうを振りむくと、こよりが立っていた。


「お兄ちゃん!今日も会えたね!」


すかさずボクに抱きついてくる。その勢いで右手にもっていた瓶コーラがこよりにかかる。


「きゃっ、お兄ちゃんのが顔にかかった!」

(言い方・・・)

「悪い悪い。ほらハンカチで顔をふけ」

「むーっ」

怒る顔も可愛いが、そもそもお前が抱きついてこなければコーラも噴き出すことはなかったんだぞ。


ハンカチを受け取りながら、口元に飛んだコーラの液体をペロリと赤い舌で舐め取るこより。


「お兄ちゃんの美味しい」

(コーラね!)


「君たちは本当にやましいことをしていないんだろうな」

「してませんよ!!」


「この部活の名前だけど、SNS団なんてどうだろう」

「はい却下」


副業部の部室に入ってくるなり部長のパイセンが唐突に言い出した。


なんですか、ここは世界をネットで面白くする団なんですか。パイセンの名字はS宮だったりするんですか。


「ツッコミに磨きがかかったな。嬉しいぞ」

「ボクはまったく嬉しくありません」


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


「今日はちょっと皆さんにSNSをしてもらいます」


なんだろう。部長が言うと無人島でバトルロイヤルさせられる生徒の気分になる。


「具体的にはヒヨッターね」

「ヒヨッターはブログと超・相性がいいっすから!」


確かにブログの弱点は、アクセスを集める方法が検索エンジンに依存することだ。


いわば待ちの姿勢になる。


でもヒヨッターなら自分から情報を発信できる。たとえ検索エンジンに嫌われてもアクセスを集めることが可能になる。 


ヒヨッターは短文投稿サイト。およそ140文字をつぶやくことができる。画像や動画も投稿可能だ。リアルタイムに情報を受け取ることもできるし、こちらから情報発信もできる無料のサービスになる。


「はいはーい!じゃあヒヨッターの検証をはっじめっるよー!!」


今回もアフィリエイト担当のオナチューが司会をする。


「ヒヨッターもブログも基本三原則は同じ!!」

「読者ファースト、嘘をつかない、強みを持て、だったかしら」

「ピンポンピンポンピンポーン!副部長、大正解!!」

「読者ファースト。読者が秋葉原で求める情報か。同じオタクとして、入荷と在庫情報、サンプル展示だと思います。」

「よし、まずはアカウント名だな」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


四人の部員がそれぞれホワイトボードに考えたアカウント名を書いていく。


ボク『秋葉原・美少女フィギュア情報局』


副部長『美少女フィギュア秋葉原通信』 


オナチュー『フィギュオタ!』


部長『秋葉原で美少女にぶっかける外道』


ぶるぅああああああ〜(若本ボイス)


「まあ落ち着け。軽いジョークだ」

「スパッツちゃん、ぶっかけってナニ?」

「あー、お蕎麦屋さんっすね!」


ほら見ろ。スパッツことオナチューが上級生で合法ロリ副部長の質問に困ってる。


「なら、美少女に無理やり飲ませて咳き込ませる鬼畜眼鏡はどうだ」

「あんたが勝手にコーラ飲んで咳き込んだだろおおお!!」


「男なら小さいことを気にするな」

「小さくないよ!誤解が特大すぎてワーキングですよ!!」

しかたないなぁ・・・そう言いながらホワイトボードに書き込むパイセン。


『美少女フィギュア情報(秋葉原)』


シンプルだからこそ伝わるよいアカウント名だ。(やればできるじゃないか部長)


「当たり前だ。部長だぞ」

またボクの心を読んだパイセンがドヤ顔をする。


キーンコーンカーンコーン。


「よし、本日は解散!!」


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 


「あ、オタクくん!」


部室を出ようとしたボクに同級生でもあるオナチューが声をかけてきた。珍しい。


「ブログもヒヨッターもそうだけど、えちえちな画像はアップしないようにね!」

「もろちん、いやもちろんわかってるよ」


オナチューが顔を近づけてヒソヒソ声で話す。

「肌色率が高いとか・・・ね」


およ、なんか赤面してるぞ、こいつ。そんなの気にしないタイプだと思ってたのに。


「ヒヨッターはとくに凍結されやすいから!」

「あとSNSで売り込みは絶対にしないこと!」

「うん、ヒヨッターの指南書も本屋で買っておくよ」

「それなら、いまから本屋いこ!選んであげる!」

ちょっとやらしい雰囲気にしてきます。


どうも異世界シニアです。本日は第二種電気工事士の筆記試験がありました。なのに前日まで小説を書いていたのは本当です。


速報で自己採点をしたところ、なんとか合格していました。あとは七月の実技試験に向けて頑張ります。


今回はアフィリエイトブログに続いてヒヨッターのお話しです。


パイセン、こよりにフラグを立てたので、今度はオナチューにも立ててみようと考えていますがどうなるでしょう。


次回「事件は部室で起きてるんじゃない。本屋で起きてるんだ」


なんとかしてくださいムロイさん。


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