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隣の席の無愛想美少女の正体が天才プロゲーマーだと知っているのはクラスで俺だけ  作者: 駄作ハル


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第34話 海(2)

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「岬お前上半身の筋肉凄いな〜!」


「まあ剣道やってればこうなる。これでもだいぶ落ちたんだが、これのおかげで傷も浅く済んだらしいから筋トレってのも侮れないな」


 俺は海パンにアロハシャツ一枚、健人に至っては海パン一丁という格好だ。


「……そのシャツの下に傷が?」


「まあな。……見るか?」


「お、おう……」


 俺はシャツを捲って左肩を出して見せる。


「ほ〜、綺麗に塞がるんだな〜」


「治りは良い方らしいぞ。若いからな」




 そんな話をしていると女性陣も着替えを終えて出てきた。


「おお〜! 似合ってるぞ〜桜花〜!」


「ふん! 私がここまでしてるんだから私だけ見てなさいよ? 他の女なんか見てたら砂浜に埋めて頭をかち割るわよ」


 桜花がそう豪語するのも納得の水着だった。

 元から大人びた風貌の彼女だが、露出度の高いこの水着を着ればその辺のモデルと比べても見劣りしないレベルのスタイルだ。




「岬くん……私……変じゃないかな……?」


「ううん。似合ってるよ夜宵さん」


「やった……」


 夜宵さんは桜花とは逆に露出度を抑えた、黒のレースをあしらったドレススタイルの水着を着ていた。

 それでもドレスから出る白く細い四肢や浮かび上がるボディラインなどは、思わず目を逸らしてしまいたくなるほど魅力的に映った。




「ほら早くパラソル立てなさい。まだ日焼け止め塗ってないから日焼けしちゃうじゃない」


「はいはい行きますよ〜」


 健人も健人で大荷物を早く下ろしたかったらしく、手早くビーチパラソルとレジャーシートを設営する。


「いい感じね。それじゃ私と夜宵ちゃんは日焼けの塗りあいっこしてるから、男どもは先に遊んでなさい」


「え〜桜花、俺が塗るよ〜!」


「蹴られないうちにどっか行きなさい」


「へ〜い」




 俺と健人は桜花に追いやられて海へ入る。


「フォ〜! 海の中は冷たくて気持ちいいな〜!」


「おい健人! 上着に水を飛ばすな!」


 健人は海に飛び込みバシャバシャ泳ぎ始める。


「は〜お前、せっかく海まで来てるのにそんなつまらないこと言うなよ〜! ほらお前もこっちの深い所まで来て潜ってみろよ!」


「やだよ髪ベトベトになるし」


「はは〜ん、さてはお前泳げないな?」


「いや別に泳げるが……」


「それじゃあ、相撲するぞ!」


「何がどうしてそれじゃあなんだよ……」




 それから半ば強制的に健人と取っ組み合いが始まった。


「ぐぬぬぬ〜!」


「うおおぉぉぉ!」


 健人も健人でなかなかの筋肉ダルマだ。入院からの引き込もり生活でなまっている今の俺では勝ち目が薄い。

 そこで俺は禁断の手を使うことにした。


「痛てて……」


「あっ……ごめ……大丈夫か岬──」


「おりゃァ!」


 健人が手を緩めた瞬間を逃さず、俺は彼を海の中へ盛大に投げ飛ばした。


「卑怯だぞお前!」


「髪は絶対に死守す──」


「オラァ〜!」


「うわッ!」


 健人は海の中から俺の足を引っ張り倒した。


「ははは〜! これが策士策に溺れるってやつだな〜!」




「楽しそうね!」


 俺も健人もびしょ濡れになったところへ桜花と夜宵さんがやってきた。

 桜花の手には百均のビーチボールがある。


「それ使って皆で遊ぶか〜!」


 去年は部活とバイトばかりで友達と海で遊ぶなんてことはなかったし、それ以前も家族とちょっと景色を眺めるぐらいだった。

 こんな風に皆と遊ぶのは初めてだったが、とても楽しいものだと知った。


 俺たちは時間を忘れて遊んだ。




「ごめん……、私少し休むね……」


 水の中で動くのは体力が持ってかれる。元から体力のない夜宵さんには堪えるだろう。


 そんな夜宵さんの様子を見て健人は水の下で俺の脇腹に肘打ちをした。そしてそっと俺に耳打ちする。


「お前も行けよ」


「お、おう……。──そんじゃあ俺も休もうかな!」


「行こ……岬くん……」


「うん……」




 俺は完全に水没した上着を脱いで絞り、夜宵と共にパラソルの方へ向かった。


「ふう……。疲れたね夜宵さん。今日もかなり暑いけど大丈夫?」


「ん……、うん……」


 彼女は体育座りをするように身をかがめる。


「どうしたの?」


「その傷……」


「……何度も言うけど、本当にもう大丈夫だよ」


 俺がそう言おうと、彼女自身のトラウマもあるだろう。それは簡単に乗り越えられるものじゃない。


「触っても……いいですか……」


「えっ……!」


 その申し出はあまりにも唐突で意外過ぎるものだった。

 しかし、それが彼女なりの事件との向き合い方なのだとしたら、俺もそれに協力してあげたいと思った。


「いいよ」


「……ん」


 彼女の小さな手が俺の左胸に重なる。

 そして彼女はじっと手術の跡を見つめ、その細い指先で傷をなぞった。


 真剣な顔の彼女とは裏腹に、前屈みになった彼女の胸元に俺の視線が吸い込まれ、俺は息を乱してしまう。

 この鼓動が彼女にバレてしまうのではないかと思い、俺は咄嗟にその場を離れた。


「と、トイレ行ってくるわ!」


「う、うん……」

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