表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣の席の無愛想美少女の正体が天才プロゲーマーだと知っているのはクラスで俺だけ  作者: 駄作ハル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/57

第26話 暴走(1)

いつもありがとうございます!

本作品はネット小説大賞に応募中です!是非評価、感想、レビューでの応援お願いします!

『──ん……。あーあー……、今日も配信よろしくお願いします。久しぶりなのに沢山集まってくれてありがとう……。それでは早速、今日は──』


「配信ありがとうございます! 今日はいつもより元気そうですね!」




 学校へ行き、部活やバイトをして帰る。それが無い日は夜宵さんと一緒に料理をして過ごす。週末は彼女の気まぐれで始まる配信を見て楽しむ。

 そんな日々だった。


 しかし学生というものは悲しいことに、遊んで暮らせる身分ではない。遂にやって来てしまったのだ。毎年恒例のあの季節が。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆





「よっす岬! おは〜!」


「おはよう健人」


「私にはアンタから挨拶してきなさいよ」


「あはは……。おはよう桜花」


「はい、おはよう」


 席が離れてから桜花は少し早く来て健人たちがたむろっている黒板前に立っていることが多くなった。ああ見えて健気な奴だ。

 ……それともただの目付役か?




「おはよう夜宵さん」


「ん……おはよ……」


 俺の席の隣では、珍しく夜宵さんが教科書を広げていた。


「昨日は配信遅くまでお疲れ様」


「ん……一昨日作った肉じゃがあったから……頑張れた……」


「……そっか」




「よーし、お前ら席に着けー! 朝の連絡始めるぞー。……お前たちに悲しいお知らせがあるー。もうすぐ期末テストだー!」


「嫌だぁぁぁ〜!」


「俺も嫌なんだぞー。テスト作って採点して成績出してってのをそれを全学年分も……ってのは置いといてだなー。このテストでよっぽど点数が悪かった奴らには夏休みが訪れないー。つまり夏休みに補習になるぞー」


「うぎゃぁぁぁ〜!」


 そういえば健人は去年数学と英語が赤点だったか。それで夏休みが数日潰れ、桜花との旅行がご破算になりめちゃくちゃ責められていた記憶がある。


「俺もクソ暑い中補習なんてやりたくないからなー。ちゃんと勉強しとけよー」


「ひぃぃぃ〜!」




「それで夜宵さんは朝から勉強してたんだ。偉いね」

「ん……、勉強しないと……やばい……!」


 彼女は例の事情により満足に課題に取り組めなかったりする。更に最近は改善されつつあるが、毎日お眠なご様子であり授業も半分ぐらいは聞いてない。

 よって彼女は少々成績の方が残念なことになっているのは言うまでもない。中間の小テストの点数を見た時は驚いたものだ。







「岬ぃ! 数学のノート見せてくれ〜!」


「私のを見せてあげるから岬に迷惑かけるんじゃないわよ」


 昼休み、いつものように健人と桜花がやって来る。


「どうしてお前はバイトも部活もやってるのにそんなに成績がいいんだよ〜!」


 自慢じゃないが去年はクラスで片手には入る成績だった。


「俺は常に何かしてるのが好きなんだよ。でもバイトは未成年だから遅くまでできないし、寝る直前まで勉強してるからな」


「俺はそんな真面目に生きていけねぇよ〜!」


 健人は桜花手作りの愛妻弁当を食べながらボロボロ涙を流した。




「見て……これ作ってみた……」


「おお、上手にできたね」


 最近は夜宵さんもおにぎりとおかず数品とはいえ、なんと手作り弁当を持ってくるようになった。


 生徒がここまで頑張っているのに俺が購買に甘んじる訳にもいかず、俺も頑張って作っている。

 レシピが同じだからか、似たような色の卵焼きに似たような切り方のタコさんウインナーなんかを見ると少しこそばゆい気持ちになる。


「夜宵ちゃん、アナタ浮かれているようだけど、期末テストの勉強は大丈夫なの?」


「だ、大丈夫じゃないです……」


「おい桜花、そんなキツい言い方する必要ないだろ……?」


 桜花はまあまあと手で俺を制した。その自信ありげな表情は、何か考えがあるらしい。


「なら岬に教えてもらったらどう?」


「え……」


「桜花! 岬は俺に〜──」


「アンタはこれ食ってなさい!」


「ふごっ!? うがご……ぼごご……」


 健人は桜花特製の巨大おにぎりを口に突っ込まれ、じたばたともがいている。




「岬って頭いいのよ」


「はい……知ってます……」


「こっちの馬鹿は私が面倒見るから、アナタは岬に勉強を教えてもらいなさい」


 桜花は俺の意思など関係なく勝手に夜宵さんにそう提案する。

 夜宵さんは俺の顔を見て本当にそれでいいのか無言の問いを投げかけてきた。その表情はズルい。俺が断れる訳ないじゃないか。


「分かった、大丈夫だよ。今度の週末、近くの図書館にでも行って一緒に勉強しようか」


「……! ん……、よろしくお願いします……」




「待てよ岬〜! いつもお前に数学を──」


「ほらもう一個あるわよ?」


「ぼががががが!」


 結果的に桜花のナイスアシストのおかげで、俺と夜宵さんは勉強会という名の図書館デートへ出掛けることとなったのだった。

お読みくださりありがとうございます!

完結まで毎日投稿実施中!

少しでも面白いと思った方は是非お気軽に評価をお願いします!感想、レビューもお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ