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隣の席の無愛想美少女の正体が天才プロゲーマーだと知っているのはクラスで俺だけ  作者: 駄作ハル


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第24話 進展(1)

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「よっす岬ぃ! いや〜このトロフィー見ると気分がいいな!」


「おはよう健人……。お前は元気だな……」


 俺はあの日全力を出しすぎたせいか筋肉痛が長引き土日全く動けなくなっていた。せっかくバイトも休みにしてもらったのに打ち上げなんかも行けなくて絶望していた。

 どうして健人はあんなに元気なのだろうか。




「おはよう夜宵さん……」


「ん……、おはよ……」


 夜宵さんは少し疲れが残っているような顔をしているが、朝はしっかり起きれていてよかった。


「体育祭も終わったし、これからは放課後も時間ができるね。また配信もやってく感じ?」


「うーん……。私がやってるゲームの大会は……全日本が秋にある……。次に出る予定のそれまでまだあるから……ゆっくりやっていくつもり……」


 この手の話題を話す時、彼女は限りなく小さな声で話そうとする。そのためマスクを下ろし、かつ俺のすぐ近くまで顔を寄せてくるのだ。

 本当は身バレのリスク的に学校では話すべきではないと俺も分かっているのだが、これが見たくてつい夜─YORU─さんの話を振ってしまう。




「岬くんは……時間……ある……?」


「え? うんまあ。先月からちょっとバイト減らしてもらったからね」


「じ、じゃあ……前言ってた料理……お願いできますか……」


「……! もちろんだよ! 帰ったらバイトのシフト表と部活の予定表の写真撮って送るね。空いてる日で都合のいい日があればいつでも!」


「ん……分かった……!」


 やはり学校行事というものはいい。自然と人と人との距離を近づけてくれる。




「いててて……。よーしお前らー、朝の連絡していくぞー」


「おいおい! なんではまやんが筋肉痛になるんだよ〜!」


 教室がどっと笑いに包まれる。


「張り切りすぎたのともう歳だ……。っと、朝の連絡だが、体育祭も終わって一区切りついたところで、そろそろ席替えやるぞー」


「そんな急に……!」


 はまやんのことだから、いつやるか分からないのは覚悟していた。しかしこんなタイミングで席替えとは……。

 遂に授業中眠る、重たい前髪の向こうに見える彼女の美しい横顔を、こっそりと眺めることもできなくなるのか……。細く長い指の間からペンが落ちた音でびっくりして起きる彼女も、俺の肩を叩いて今どこまで授業が進んだか聞いてくる彼女も、もう見ることができなくなるのだ。


 そしてなにより授業でペアワークなどができなくなるのは、俺がただ悲しい以上に、彼女にとっては他の人と基本的にやれないというのが問題だ。

 桜花やせめて健人ぐらいになればいいのだが……などと、自分の席ではなく彼女の心配ばかりしていた。




「流石に連続で俺が勝手に決めるのもあれだと思ってクジ作ってきたぞー。引いていけー」


 はまやんが数字を書いた割り箸をビニール袋に入れただけの簡単なクジを持って回る。


「私は16ね」


「おっ、俺は15だ! じゃあ桜花の一個前だな〜! 岬、お前は?」


「俺は24だ。夜宵さんは……?」


 ドキドキしながら番号を尋ねる。教室の座席は縦が五人の横八列だ。つまり彼女が19か29なら隣で、29ならペアワークのペアである。

 だが返ってきた答えは、そのどちらにも掠らない数字だった。


「私は……1……」


 俺は愕然とした。いや、むしろ二連続ペアになる確率など1/1521である。ならない確率の方が高くて当たり前なのだ。




「ははー! 一喜一憂しているなー! ……だが、俺がそんな簡単に席を決めると思うなよー」


 はまやんはそう言って四十個の四角を黒板に書いていく。そしてその四角の中に適当に数字を書いていったのだ。


「ちょいちょいちょい! 分かりずらいって〜! 二度手間じゃんか〜!」


「うるさいぞ小澤ー! さてはお前一番前だろー?」


「げぇ〜! なんだよも〜!」




 はまやんは1番を左下隅、つまり廊下側の一番後ろの席に書いた。俺が彼女の隣になるためにはその一つ隣の席に29番が書かれればいい。

 はまやんの数字を書くスピードがやたらと遅く感じた。だがその時はやってくる。


「よっしゃ……!」


「岬くん……また隣……よろしく……」


「おう……!」




 これは帰ってから気づいたのだが、はまやんは俺たちがどの数字を引いたか見ている。つまりクジを引かせてまるでランダムに決めているかのように見せかけて、実は恣意的に座席を決めることができるのだ。

 もし狙ってそれをやっているとしたら、ああ見えて相当な策士である。




「おいずるいぞそこ〜! 俺なんか周りにバスケ部もいないし、ぼっちで一番前なのに〜!」


「私は今の夜宵ちゃんの席ね。離れちゃったけど、まあ一番後ろの列だからコイツよりはマシ」


「はいはい! そんじゃあこの席でまた俺が飽きるまでやってくから早く引越ししろー」




 俺たちは荷物だけ持って新たな席へ移動する。


 新しい場所から見える新しい景色は新鮮で、心が入れ替わるような気がした。


「ふふ……やった……」


「ん、今なんか言った?」


「ん……いや、なにも……?」


 今度は髪をピンで留めている側から夜宵さんを見ることができ、より一層、笑顔な彼女の横顔を楽しむことができた。

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