表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣の席の無愛想美少女の正体が天才プロゲーマーだと知っているのはクラスで俺だけ  作者: 駄作ハル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/57

第17話 プレゼント(1)

いつもありがとうございます!

本作品はネット小説大賞に応募中です!是非評価、感想、レビューでの応援お願いします!

「それで、今日のこの後の予定聞いていい?」


「ん……、もう少しここで休んでからこの後ご飯食べて……買い物しよ……」


「おっけー。それじゃあ本当に前話した通り全部任せて大丈夫なんだね」


「うん……。バッチリ……」


 彼女は小さな手を突き出し、親指をピンと立てた。


「そっか、楽しみにしてる」


「ん……。ちゃんとお礼……する……」




「そういえば、よる……、夜宵さんは活動の方、これからどうするの?」


「名前……」


「ああごめん、つい……。外ではその名前で呼ばないように気を付けるよ」


「いや……名前……あの時……呼び捨てで……」


「あ──」


 そう言われて思い出す。あられもない彼女の姿と、それに向かって「夜宵! 夜宵!」と叫ぶ俺。


「ごめん! あの時は必死で……」


「別に……で……のに……」


「え? ごめん聞こえなかった」


「ん……、なんでもない……」


 いつもか細い声で話す彼女の声は、うるさい店内の雑音にかき消されてよく聞き取れなかった。




「活動は……今日から再開する……」


「そうだったんだ! ……あれ、今日ってよ……さんの誕生日……? ってことは……」


「うん……」


 そこまで考えが全く及んでいなかった。活動休止してからそれほど経っていないから、夜─YORU─さんの活動はまだまだ先のことだと思って考えていなかったのだ。


「えー! おめでとう! ……じゃあお祝い、しないとね」


「でも今日はお礼……」


「もうお礼は受け取ったよ!」


 俺はコーヒーを傾けてみせる。


「プレゼント、贈らせて!」


「……! ん……ありがと……」


 夜─YORU─さんともなれば事務所にファンたちからプレゼントも大量に届くだろう。しかし、確実に本人に渡せるのは今だけだ。






 それから俺たちはカフェで時間を潰し、デパート近くの自分では絶対入らないようなちょっとお高いレストランで彼女のご馳走になった。

 きっと今日は彼女も自分の誕生日に少し特別なプランを考えていたのだろう。


 そんなことつゆ知らず、いつもよりちょっと気合いが入った程度の服装の俺はレストランで若干浮いていたように感じた。有名プロゲーマーである彼女の財力を舐めていた。

 支払いの時、レジ前で彼女の横に立っているのがこんな自分などで申し訳なく感じるぐらいだった。




「美味しかった……」


「ご馳走様でした。……なんか女の子に奢られるのって変な罪悪感があるな……」


 俺は冗談のつもりで笑って行ったのだが、彼女は真剣な表情で俺の袖を掴んだ。


「楽しく……ない……?」


「そんなこと……! ……そんなことないよ。こうして夜宵さんと一緒にいれて嬉しいし、楽しい」


「そっか……。よかった……」


 昔から人付き合いが苦手だと言う彼女にとって、俺の一挙手一投足がそのメンタルに大きな影響を与えてしまう。

 あまりにいたいけなその様子を見て、彼女には隠し事をせず、まっすぐ向き合おうと思った。




「次……買い物……」


「うん。それじゃあ行こうか」


 俺たちはまたデパートに戻る。


「ここ……見よ……」


 そう言って夜宵さんは少しでも気に入った店に遠慮なく次々と立ち寄る。俺みたいな小心者は買うものがない店に気軽に入るのも躊躇ってしまうので、このようなところは見習いたいと思った。


「これ……可愛い……」


「そうだね。それじゃあそれをプレゼンぐふぅ!?」


「え……?」


 思わず変な声が漏れた。

 彼女が手に取ったネックレスについた値札には四万と書かれている。頑張れば俺でも無理ではないが、こんな軽々と払える額じゃない。


「これください……」


「かしこまりました。お支払いはどうされますか?」


「カードで……」


 そう言って取り出した彼女のカードが黒に見えたのはそう、きっと店内が薄暗いからだ。

 とはいえ、PC周りに百万以上かけている夜─YORU─さんにとっては驚くような買い物でもないのだろう。


「着けていかれますか?」


「はい……」


 店員のお姉さんが彼女の細い首にネックレスをかける。




「どう……?」


「似合ってるよ……」


「そう……。よかった……」


 マスクを下ろして笑う彼女は、後ろの姿見鏡に映る俺の姿とは不釣り合いなほど美しかった。

お読みくださりありがとうございます!

完結まで毎日投稿実施中!

少しでも面白いと思った方は是非お気軽に評価をお願いします!感想、レビューもお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ