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悪役令嬢に転生したおっさんだけれど、やっぱり王子より女の子の方がいいよね  作者: 於田縫紀
第7章 逆恨みの戦塵

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第77話 正教会事案・その後

「お姉さま、今回も大活躍だったようですわね」


 だからリリア、お姉さまは夜の間だけだ。皆さんいるから訂正出来ないけれど。


 現在地はクーザニ迷宮(ダンジョン)第38階層。いつもの放課後迷宮(ダンジョン)活動中。この皆さんと一緒の時間が私にとっての癒やしであり救いだ。


 何せ午後は授業免除で講習会の講師なんてしていたりする。私は一介の生徒に過ぎないのに。しかもその受講生にお偉方が結構いたりする。おかげで精神的疲労は溜まる一方。


 それに加えて今回、サクラエ教官が余分な功績を私に寄越してきた訳だ。もう泣きたい。泣いてどうにかなる訳じゃないけれど。


「中央教会の件については、私は何もしていません。攻撃を防いだのはナタリアの魔法で、敵を捕まえたのはナージャ。事案の調査に働いたのは王室調査部隊で交渉を行ったのはサクラエ教官です。私はただ当事者として付き合わされただけですわ」


 本当にそれだけなのだ。私は何もしていないのだ。ただの被害者Aなのだ。今回に限ってはそれが間違いなく事実なのだ。本当だ。


「でもナタリアの魔法もナージャの魔法も元はと言えばアンが作ったものだろう。それらの魔法が不自由なく使えるのもアンと始めたこの活動のおかげだ。更にアンのそんな実力が中央教会に危機感を持たせた結果、この事件が起こった。


 更に言うとサクラエ教官こと特級冒険者カンナミは腕こそ確かだがなかなか依頼を受けない事でも有名だ。それがこれだけ動いてくれたというのはアンの魅力だろう。そう国王陛下(ちち)も言っていた」

 

 やめてくれ殿下。もうフラグは沢山だ。私はただのんびり諸国漫遊をして、気が向いたら勧善懲悪なんてして気ままに生きたいだけなんだ。どこぞの自称越後のちりめん問屋隠居のように。それだけなんだ。


 晴れない分の鬱憤は魔物にぶつけるしかない。すまんオーク君達。私のうっぷん晴らしの為に死んでくれ。無詠唱で自爆型ドローン(ハロップ)魔法を3つ起動。


 通路の見えない場所で爆発音と大きいものが倒れる音がした。多分罪の無いオーク君3頭が息絶える。うん、少しだけ落ち着いたぞ。

 

 落ち着きついでに思い出した。得たのはいらない功績とか危険なフラグだけではない。ほんの少しだがプラスもあったのだ。


 そのほとんどはサクラエ教官が本や論文、メモ等で教えてくれたものである。例えば誓いの水晶玉の知られていない使い方や遠隔移動(ワープ)魔法の使用方法詳細などだ。


 まだ私の遠隔移動(ワープ)魔法はまだ完全ではない。しかもこの魔法についてはサクラエ教官から『他言無用』と注意された。つまりリリア達に教える事も出来ない訳だ。


 更にこの魔法、起動にかなりの魔力が必要だ。だから迷宮(ダンジョン)活動前に練習する事が出来ない。迷宮(ダンジョン)で魔力不足になったら悲しいだけでなく命に係わる。リュネットに回復してもらうにしても何故それだけ魔力を使ったか上手く説明する自信が無い。結果、ほとんど練習する機会が無かったりする。


 それでも何とか物を移動させる程度の事は出来るようになった。だからある程度本気でやれば成功させる自信はある。練習不足なのをわかっているし万が一の事もあるから試さないけれど。


 逆にすぐ使えるものとしては冒険者証の機能を使用した偽名の名乗り方なんてものがある。これは水晶玉の機能の応用だ。長い名前を冒険者証におぼえさせて、状況にあわせてその一部を省略する事によって実現するという方法で可能になる。


 たとえばサクラエ教官自身は本名は『オヌキ・ゴウト』。だが登録は『カンナミ・オヌキ・サクラエ・ゴウト』で行っている。そこで特級冒険者としては通常『カンナミ・ゴウト』、研究者としては『オヌキ・サクラエ』として名乗っているそうだ。


「使用方法は簡単。水晶玉の前で冒険者証を提示する際、使用したい名前を意識しながら提示すればいい。これだけで登録名の一部だけを使用することが出来る。他国へ行った際、素性を隠すには都合がいい。特級冒険者でさえ大陸を放浪している国無しが数名いる位だ。だから知らない名前だからと詮索されるような事はない」


 いいことを聞いた。私も早速登録名を『アンフィーサ・レナルド・フルイチ』から、『アンフィーサ・アンブロシア・レナルド・フルイチ・ミカルレラ』に変更。

 これからは冒険者としては『アンブロシア・ミカルレラ』で通すつもりだ。通称はアンで変わらない。次に冒険者証を提示する時に忘れないようにしよう。

 

 冒険者証といえば私、ついに冒険者としてもB級に昇級となった。これにもサクラエ教官が噛んでいる。


「今回の件等も考えるとアンフィーサ君の冒険者レベルがC級のままというのはどう考えてもおかしい。本来はA級にするところだが、年齢や冒険者としての年歴を考えて取り敢えずB級に上げておく」


 上げておくとの断定口調に疑問を感じた。


「上げておくって、冒険者レベルの判定にも口出し出来るんですか」


「特級冒険者は他の冒険者を自らの判断で特級以外の冒険者レベルに認定する事が出来る。方法は簡単、誓いの水晶玉にその事を告げればいい。次にアンフィーサ君が冒険者ギルドに行った際はB級に昇級している筈だ」


 なんでもありだな、サクラエ教官(こいつ)にかかれば。


 そういう訳で今や私はB級冒険者のアンブロシア・ミカルレラだ。ただその後、クーザニ迷宮(ダンジョン)受付以外で冒険者証を提示していない。だから実際にはまだ誰にも名乗っていないけれど。


 それにしてもだ。昨今の私の取り扱いをみるに、どうも色々やりすぎたよなと思わざるを得ない。このままでは逃げられない立場へと追い込まれる。


 いざ逃走という時に備えて準備をしておいた方がいいだろう。ポーション類や非常食等も買い揃えて自在袋にストックしておこう。

 どうしようもなくなる前に逃げ出せるように。


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