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悪役令嬢に転生したおっさんだけれど、やっぱり王子より女の子の方がいいよね  作者: 於田縫紀
第4章 新学期の学校生活

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第48話 国立図書館探索とその後と

 本日は涙を呑んで放課後の迷宮(ダンジョン)行きを中止した。国立図書館に籠もる為である。どうせ新しい魔法を入手できるなら早い方がいい。


 ゲームではリュネットとエンリコ殿下が向かってそれぞれ強力な魔法を入手するのだが、今回行くのは私一人だけである。理由は簡単。魔法を独り占めする為だ。


 魔法は入手した後、場合によってはリュネットやリリアに教えるつもりはある。でもその辺の吟味もあって、とりあえずは私一人で行くことにした訳だ。


 なおパーティの皆さんはクーザニ迷宮(ダンジョン)へ行っている。久しぶりに行くから第1階層からもう一度攻めてこの迷宮(ダンジョン)での勘を取り戻すそうだ。


 パーティメンバーの中に何食わぬ顔をしてエンリコ殿下が交じっているのは正直気に喰わない。このパーティは私専用のハーレムなのだ。私の個人的な見解だけれども。

 でも戦力のバランスを考えると殿下が入っている方が残念ながら安心できる、ああ悔しい、でも仕方ない。


 さて、国立図書館では早速特権パスを使って未公開書庫へ。ゲームで何処にどんな魔法書があるかはだいたいわかっている。


 まずは『完全治療回復(アルテ・ヒール)』。中央教会が秘匿しているものと同等の最上位回復魔法だ。少しでも息があるのなら完全回復して怪我病気の治療もしてしまう。

 RPG的に言えばHPが1でも残っていれば状態異常も含め回復し、MPも満タンにしてくれる魔法だ。


 本来はリュネットが入手する呪文。だがここではその前に私がいただく。ふふふふふ。無論後でリュネットには教えてやるけれど。


 この呪文は確か3階の2番の部屋、一番奥の棚の上から2番目、左3番目と。おっと、ゲームで見覚えのある茶色い表紙発見。手に取ってページを開く。うん、大体この辺に……あった。


 持ってきたノートに呪文と術式、他参考になりそうな事をメモする。なお此処では実際に唱えたりはしない。

 私の属性では起動できても魔力をかなり消費してしまうだろう。十中八九魔力不足で倒れる。これは本来は聖属性魔法の必要魔力低減能力があるリュネット用だから。


 さて、次は4番の部屋にある魔法だ。これはゲームではやはりリュネットが使う魔法でその名も完全睡眠(アルテ・スリープ)。最強の睡眠魔法だ。


 ゲームではリュネットがこれを入手しないとベターエンドにはなるがベストエンドにならない。この違いは、『最後に立ち塞がる悪役令嬢アンフィーサを倒さず無力化出来るか出来ないか』の違い。完全睡眠(アルテ・スリープ)が無いと戦闘で倒す=殺さなければならないので、ベストに進めないのだ。


 ちなみにベストエンドの場合アンフィーサは睡眠魔法で無力化されその場は生きながらえるが、結局は刑場の露と消える。どっちにしろ死ぬなら同じじゃないかと当人としては言いたい。この現実では死なないけれど。死んでたまるか。


 あとはゲームでエンリコ殿下が使う雷神の裁き(トールハンマー)風神の恩寵(スピードスター)も頂く。これは両方ともそのまま私が使用可能な呪文だ。後でリリアに雷神の裁き(トールハンマー)、ナタリアとナージャに風神の恩寵(スピードスター)を教えておくと便利だろう。


 そんな感じで魔法の呪文と術式をメモする。適性があれば呪文だけで、適性がなくとも術式を解読すれば劣化バージョンにはなるが似たような魔法が使えるようになる筈だ。

 この辺をほとんど使えるようになれば冒険者としてもかなり余裕を持てるだろう。自由へまた一歩近づけた筈だ。


 確かゲームで取れる有用な魔法はこれだけだった筈だ。確かWeb上の攻略ページにはそう載っていた。公式の攻略ページでは無いが一応完全攻略と銘打っていたし、掲示板等の情報でも一番詳しく頼りになるサイトだとなっていた。だからおそらくこの通りなのだろう。


 勿論ゲームとは関係なく私向きの魔法が眠っている可能性はある。だが私は実際に中に入ってみて、この中を探索することは諦めた。書庫がいくつもあって本が多い。この蔵書の中からヒント無しで探すのは不可能だろう。ゲームみたいに1動作で本棚全てを確認できる訳では無いのだ。


 勿論図書館だから分類番号は一応各書籍に振ってはある。でもここではあまり役に立たない。何せ蔵書の5割は魔法の本。ゲームではリュネットが神のお告げを聞いて本を探し当てるのだが私はそんな魔法を使えないし。


 私は図書館から撤退する。なお探すことに固執せずにさっさと撤退したのには勿論意味がある。私なりに重要な意味が。


 4時半の半鐘が鳴る。そろそろだな。私は図書館の出口近く、外からはギリギリ見えない場所に立って自分の魔力を隠蔽しつつ全力で魔力検知をかける。予定通りの反応を確認。まさにこちらに向かっている最中だ。

 タイミングを計って、そして私は歩き出す。


「あ、アン。今帰りなのだにゃ?」


 ナージャが私を発見してくれた。そう。ここ国立図書館はクーザニ迷宮(ダンジョン)と学校の間にある。だからタイミングさえあえばこうやって出会うことになるのだ。


「ええ、取り敢えず本日のところは図書館作業はここまでですわ。迷宮(ダンジョン)の方はどうでした?」

「ミセン迷宮(ダンジョン)と比べれば楽勝なのだにゃ」

「そうだな。こんなに狭くて敵が弱かったのかと驚くほどだ」


 殿下お前には聞いていない。でもそう感じたという事はパーティ全員がレベルアップした証拠だろう。


「それでは明日から私も迷宮(ダンジョン)攻略に参加いたします。深層に入れる許可証もいただいてきましたから、明日は今日よりは手ごたえのある敵と戦えると思いますわ」


「楽しみですわ」

「それではお風呂で今日の戦果をお聞きいたしましょうか。私の方も若干の発見がありましたのでお話しいたしますわ」


 そう、これこそが図書館作業をこの時間で切り上げ、このパーティと合流した最大の理由だ。一緒にお風呂、これだけは外すわけにはいかない。


「ここのお風呂にもユーダルの別荘みたいな施設があるといいんだけれどな」

「父上に御願いしたけれど駄目だそうだ。そう言う癖に王宮の風呂にはちゃっかりユーダルの別荘と全く同じものを作ってしまったようだけれどさ」

「陛下、ずるいのにゃ」

「ああまったくだ。僕もそう思う」


 そんな話をしながら学校へと帰っていく。私の頭の中はもう今日のお風呂の事でいっぱいだ。今日はまず誰を攻めようか。リリアを最初にしないと拗ねるかな。なら最初はリリアで、次は……


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