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悪役令嬢に転生したおっさんだけれど、やっぱり王子より女の子の方がいいよね  作者: 於田縫紀
第2章 夏休みの有意義? な過ごし方 ~夏休みその1~

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第26話 ミセン迷宮攻略開始

 この辺の建物はログハウス風に丸太を使ったものが多い。この迷宮(ダンジョン)施設もそんな造りだ。頑丈そうな丸太でしっかり作られたそこそこ大きな建物があって、そこが入口になっている。


「こちらで冒険者ギルドの事務とミセン迷宮(ダンジョン)の管理双方をやっていますわ。そこまで大きくはない町ですから」


 確かにどちらも冒険者ギルドの業務範囲だし合理的だ。私達は中へ入りミセン迷宮(ダンジョン)受付と書かれたカウンターへ。


「本日は第1階層から順に第5階層まで行って、その先はそこまでの様子を確認してから決める予定です」

 そう受付のお姉さんに言って冒険者証を提示する。


「わかりました。失礼ですがこちらのギルドや迷宮(ダンジョン)ははじめてでしょうか」


「はいそうです」


「それでは今までの実績を確認しますので少々お待ち下さい」

 お姉さんは冒険者証を受け取って中へ。


 もしここがカワルマタの冒険者ギルド本部だったら柄が悪い冒険者に囲まれかねない。でも幸いここは冒険者ギルド併設だけれどもそんな心配は無さそうだ。朝一番の依頼探し時間が終わって人数が少ない事もあるだろう。

 待合室にいる冒険者は2組、合計8人。だがそれぞれそんなに柄の悪い感じでは無い。


 ここでなら迷宮(ダンジョン)だけでなく一般的な依頼を見てみてもいいかもしれないな、そんな風に感じる。まあ領主の娘がいるからお願い系はパス、討伐系のみにした方が無難だろうけれども。


 受付のお姉さんが奥から戻ってきた。

「実績確認させていただきました。ミセン迷宮(ダンジョン)に入るには問題無いと認めさせていただきます。次回からは冒険者証を提示していただければすぐに入れるようになります」


「わかりました。ありがとうございます」

「それではお気をつけて」


 冒険者証を受け取り奥へ。


 一般的な迷宮(ダンジョン)は国際的な組織である冒険者ギルドによって整備されている。だから入口の造りは概ね共通だ。


 ここミセン迷宮(ダンジョン)もクーザニ迷宮(ダンジョン)と同じ。入った場所に転移陣の部屋があり、その更に奥に第一階層への階段がある。転移陣を確認すると5階層ごとに50階層まである。どうやら本気になればかなり魔物が強そうな場所まで行けそうだ。勿論安全第一で、今日は第1階層から行くけれど。


「それでは装備するかにゃ」

「そうですね。まずは軽装の方でいいでしょう」


 授業でも使用している革鎧を服の上から装着する。この鎧はそこそこ頑丈だし何より軽くて体力を使わないのがいい。

 全員が装備を身につけた事を確認。


「それではいつも通り、私とナージャが先頭で行きますわ」


 階段へと踏み出す。


 ここミセン迷宮(ダンジョン)はクーザニ迷宮(ダンジョン)と違い洞窟状の空間だった。つまり上下左右が土というか岩。ただ触れてみたが崩れるような気配は無い。かなり頑丈なようだ。


 もっとも迷宮(ダンジョン)はどんな強力な攻撃魔法でも壊れないらしい。無論最奥の層にいる迷宮(ダンジョン)支配者(マスター)を倒せば話は別。でもそうでもしない限り崩れる事も崩壊する事もない。だから自分に被害がなければどんなに強力な魔法を使っても問題ない。そう本で読んだ。


 さて、クーザニ迷宮(ダンジョン)と違い第1階層でもかなり広い。私の魔力感知で何とか全体が見える程度。そして魔物の気配も結構ある。中には明らかに群れがいる場所も……

 どういうルートで行くべきだろう。迷った際は相談だ。


「皆さんは魔物をとにかく倒しまくるのと、魔物少なめでさっさと次の階層へ行くのとどっちがいいでしょうか」


「最初だからガンガン倒して行くにゃ」


 ナージャは獣人らしく戦闘的な意見。


「そうだね。私もそっちかな。経験値をある程度稼いだ方がいいしここでの戦い方にも慣れるしね。私自身はあまり戦闘そのものに関与出来ないけれど」

「確かに慣れるのが重要でしょうね。ですから私も同意見ですわ」

「同じくです」


 よし、ガンガン行くとするか。


「でしたら最初はコボルト3頭です。通路の途中で遭遇するようにペースを考えて行きます。まずはリリア、見つけ次第お願いしますわ」

「わかりましたわ」


 まずはまっすぐ歩いて、次の曲がり角を右と。更に次の角も右へとまがり10腕(20m)程度歩いて立ち止まる。


「まもなく後ろ方向から出てきます。リリアの魔法だけで倒せる筈ですから隊列はこのままで。出てくるまで待ちでお願いしますわ」


「わかりました。もう魔力感知の中に入ってきましたわ。5、4、3、2、1、間違いなくコボルトですわね。それでは過冷却(アンダクル)!」


 既にリリアも正式な詠唱無しで攻撃魔法を使える状態だ。あっさりとコボルトの動きが止まり、倒れて凍り付く。


「それでは魔石を取りますね」


 ナタリアが近づいていって熱線魔法を無詠唱でかけた。コボルトの頭部が熱で灰になり、灰色の魔石だけが残る。これに冷却魔法をかけて手で持てる状態にしてから自在袋に収納。


「それでは次に行きましょう。次もコボルトで2頭ですわ。仲間を呼ばれると面倒なので、今度もリリアの魔法で倒しましょう」


 コボルトはゴブリンより動きが速く、またすぐ仲間を呼ぶ。仲間を呼ばれて前後に挟み撃ちされたら面倒だ。

 勿論コボルトだけなら挟み撃ちにされても私達なら何とかなる。だが中にメイジコボルトやエルダーコボルトがいれば厄介だ。だから出来るだけ各個撃破するように心がける。


 他にリリアの魔力を上げたいというのもある。リリアの魔法は強力なものが多い分、魔力消費が大きい。だが魔力というか最大MPは普通の生徒より少しだけ大きい程度だ。だから出来るだけ魔力を使って貰ってレベルアップ時に最大MPが増えるようにしたい。


 少し歩いたところでリリアがコボルトの魔力に気づいた。


「感知できましたわ。それではここで待って、目視でコボルトと確認出来た時点で殲滅します」

「リュネット、このコボルトが終わったらリリアの魔力補充を頼みますわ」

「わかったよ」


「コボルトと確認しましたわ。それでは今度は高速加熱(ヒトブスト)!」


 出てきたと同時にコボルトが高熱で灰になり、魔石だけが残される。

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