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悪役令嬢に転生したおっさんだけれど、やっぱり王子より女の子の方がいいよね  作者: 於田縫紀
第2章 夏休みの有意義? な過ごし方 ~夏休みその1~

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第24話 健全な朝

 私は本来、朝はあまり強くない。でも今日はすっきりと目覚める。ベッドの中、私の隣には温かい小さな塊。うん愛い奴だ。昨晩思い切り可愛がって2人で色々な扉を開いてしまった。

 取り敢えずベッドを出て服を着る。ちょっと汗をかいた分は清拭魔法できれいに。これは私とリリア両方にかけておく。


 改めてリリアをみるとやっぱり可愛い。

「ん……あ……、あっ」

 夢でもみているのだろうか。寝顔と聞こえる吐息が可愛い。でもそろそろ皆さん起きてくる。

 だから睡眠解除効果もある状態異常解除の魔法をリリアにかけて、更に唇に軽くキスをする。


「ん……ああ……あっ。あれっ、アン様?」


 ちょっと寝ぼけているようだ。


「おはよう、リリア。本当はもっとこうやって一緒にいたいけれど御免なさいね。そろそろ皆さんが起きだす時間ですから」


「あ、お姉さま。ありがとうございます」


 慌てて起き出してネグリジェを着る。うん、裸もやっぱり可愛い。今すぐ抱きしめて色々やりたいがそこは我慢だ。


 ああ、出来ればリリア以外にリュネットやナージャとも、あとナタリアもと妄想が膨らむ。でも貴族令嬢を傷物にするする訳にもいかない。ただ膜くらいなら治療魔法の応用で再生できるから問題ない。だったら大丈夫か、女の子同士だし何をしても……


「それではお姉さま、本日もよろしくお願いします」

「ありがとう。リリアもよろしくね」

「はい、それでは失礼します」


 リリアが静かに扉を開け、足音を押し殺して出ていく。


 その姿を見送った後、普段と先程までとは口調が違うよなと改めて思う。普段のリリアは伯爵令嬢という役割を演じているが故のあの口調なのだろう。

 その辺使い分けられるのはナタリアの存在が大きいのかもしれない。親友が誰もいなかったりすると私のように貴族令嬢風の話し方がデフォルト状態になってしまうだろうから。


 それにしても昨晩のリリアは可愛かった。ビデオにして永久保存しておきたかった。以前のおっさんならそれで何発も抜ける自信がある。いやどうせなら次は……


 カーン、カーン……

 外から鐘の音が聞こえた。5回。標準的な起床時間だ。妄想でうへへとしている間に結構時間が経ってしまったらしい。


 この時間って日本とかの太陽時にして何時頃なのだろう。そう思いつつ着替え、鏡の前で髪や服装を整える。多分24時間制の太陽時にすると5時頃だろう。この世界は朝が早い。夜も早いけれど。


 階段を下りてリビングへ。既にリビングの処にはナタリア、リュネット、そしてリリアがいた。紅茶のいい香りがする。朝の一杯を楽しんでいるようだ。


「皆様おはようございます。いい朝ですわね」

「おはようございます」


 私がテーブルにつくとさっと奥からカーチャが出てきて紅茶を注いでくれる。いい香りだ。流石伯爵家のご令嬢。私は侯爵家令嬢だが実家ではこんないい香りの紅茶をいただいた事は無いぞ。


「ナージャもそろそろ起こしてきた方がいいかな」


「猫の獣人は朝に弱いそうです。午前中は予定を入れないという方すらいると聞いていますわ。ですから朝食ぎりぎりまで寝せておいた方がいいでしょう」


 リリアの口調は元に戻っている。


「今日はいよいよミセン迷宮(ダンジョン)挑戦ですね。楽しみですわ」


「ですが申し訳ありませんが、父が皆様に是非ご挨拶をしたいと申しておるそうですの。ですから午後の4の鐘には一度こちらに戻る形で宜しいでしょうか」


「ええ。こちらこそご挨拶しなければならないので良かったですわ。こんないい場所にお招きいただけたのですから」


 この辺はまあ、お約束という奴だ。ユーダルはミタニの中心近くで領都ミマタからもそう遠くない。馬車なら1時間程度で行き来出来る。だから午後4の鐘なんて活動時間としては遅い時間でも大丈夫なのだろう。


「あと、本日から早速湯船の増設作業を始めるそうです。ですから今日はお風呂に入れるのは作業が終わった5の鐘以降になりますわ」


「どれくらいで出来るのでしょうか?」


「本日の様子を見てから判断という事ですが、おそらく明日くらいには出来るかと」


「楽しみですよね。お風呂が更に快適になるのは」


「本当ですわ」


 誰よりも楽しみなのが私だという自信がある。


 おと、階上から扉の音と足音が聞こえた。ナージャが起きたようだ。すぐに階段を下りてくる足音が近づいてくる。


「おはようごにゃいます。いい香りだにゃ」


 さっとカーチャが出てきてナージャ分の紅茶を入れてくれる。


「それではそろそろ朝食をお持ちして宜しいでしょうか」


 既に準備は出来ていたようだ。まあ匂いである程度わかったけれど。


「お願いしますわ」


 リリアのその台詞でニナとワレリー含めて3人が朝食を持ってくる。

 白いパン、ハム、炒り卵、レタスとキュウリとジャガイモのサラダ、スープというメニューだ。あとはドリンクとして紅茶と牛乳もある。定番だが美味しそうだ。


「それではいただきましょう」


 ホストであるリリアの台詞で朝食開始。


「このハム、こくがあって美味しいにゃ」


「昨日食べたのと同じ特産オークをハムにしたもので、2年ほど熟成させたものになりますわ」


 なるほど、学校で食べるのとはモノが違う訳だ。確かに美味しい。旨みが濃いというのだろうか。熟成させた年月の味とでもいうものが出ている気がする。


「あとこのサラダに使っているオイル、さらさらだよね」

「これも特産で、エゴマの油ですわ。生でしか使えないのが欠点ですが、食べ続けると健康になると言われていますの」


 うーむ、特産品推しな食事という訳か。

 こういうのはまあ、何処の領地でもそうだ。こうやって特産品を客人に振る舞い宣伝も兼ねるというのは。


 勿論特産品の癖に大した事がないなんてのも往々にしてありがちだと聞いている。でもここの特産品はどれもなかなか美味しい。お土産に買って帰りたいなくらいには。


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