相談
ティエリー君から連絡が来た。
折り入って相談したい事があるから、時間を作って貰いたいという物だ。
どうやら急ぎの用事の様だが、さて、どうしたものか。
今日は時間があるにはあるのだが、それは無理して作った時間だ。
シュゼと食事に行く約束をしたから。
最近シュゼは機嫌が悪い。
ずっと外出禁止にしているせいか、ストレスが溜まっているんだろう。
流石にお仕置きにしてはやり過ぎたかと、今日は一緒に出掛ける約束をして納得して貰った。
これで約束を破ろうものなら、シュゼは怒って実家へ帰ってしまうだろう。
シュゼを怒らせず、ティエリー君の話を聞くにはどうすれば良いか。
仕方ない、彼女にも一肌脱いで貰おう。
〜〜〜〜〜
家へシュゼを迎えに行くと、よっぽど嬉しかったのか、目を輝かせて出迎えてくれた。
今日のドレスはクリーム色の胸元が開いた、腰を太めのリボンで絞ったデザインで、シュゼのスタイルの良さが目立つドレスだ。
シュゼは自分の事を「ありふれた髪と瞳の色で全然美人じゃない」と嘆くが、一緒にいたエリーゼ嬢が特別なだけで、充分美人である事に気付いていない。
だけど敢えてその事は教えないつもりだ。
僕だけが独占出来る僕だけのシュゼだからね。
「シュゼ、今日のドレスは君に良く似合ってる。でも少し胸元が開き過ぎだから、人の多い場所に行く時は着ては駄目だよ」
「まあ!どうしてですの?」
「君の肌を誰にも見せたくないからね。僕以外には見せては駄目だ」
「まっ!!」
シュゼは赤くなり頰に手を当て照れている。
僕はこの隙を逃さない。
すかさずシュゼを抱き上げると、馬車に乗り込み膝に乗せた。
最近機嫌が悪くてキスは愚か、触れさせてもくれなかったからね。
目的地に到着するまで、じっくりシュゼを堪能させて貰おう。
「ちょっ!フランツ様、何をなさいますの!」
シュゼの額や頬や首筋にキスを繰り返し
「決まってるだろ?シュゼを愛してる」
と平然と言ってのけると、シュゼは真っ赤になって僕の胸元へ顔を埋めて隠そうとする。
僕はこの仕草がたまらなく好きで、わざとシュゼの恥ずかしがる事をやってのける。
「2人きりなんだから恥ずかしがっては駄目だよ」
耳元にキスを落としながら囁くと、シュゼはビクッとして僕を見上げる。
耳元が弱いのは確認済みだ。
目を潤ませながら
「もう!」
と言って困った顔をするが逆効果だ。
僕は調子に乗ってシュゼのドレスの開いた胸元に唇を這わせると、流石にシュゼに怒られた。
胸元に印を付けてしまったからだ。
「やり過ぎですわ!フランツ様」
「ここの所シュゼが足りていなかったからね。もう外出禁止は止めだ。その代わり絶対危ない事はしないと約束してくれるかい?」
「本当ですか!ええ勿論、危ない事に首は突っ込みませんわ!ああフランツ様愛していますわ!」
「それじゃあ約束だね。君からキスをして」
シュゼは満面の笑みを浮かべ、いつもより情熱的に唇を重ねてくれた。
目的地に到着すると、家主とその婚約者が出迎えてくれた。
ユリテーヌ邸の夕食に招待して貰ったからだ。
エリーゼ嬢に会えばシュゼの機嫌も治るし、ティエリー君の話も聞ける。
僕は彼女、エリーゼ嬢に連絡をして、一肌脱いで貰ったのだ。
結局僕はシュゼとの約束を断れないのだから、仕方がない。
さて、ティエリー君はどんな相談があるというのだろう?
シュゼが余計な事に首を突っ込まなければ良いのだが‥‥
いつもありがとうございます。




