大人女子トーク
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シュザンヌ様から手紙が来て、私は今ジュール邸に向かっています。
あれから5日経ちましたが、シュザンヌ様はまだ外出禁止をフランツ様からキツく言い渡されているそうで、私が出向く事になりました。
今回の事件は公にはされず、新聞には指名手配犯逮捕とだけ書かれておりました。
ジュール邸に着くと、シュザンヌ様と一緒にフランツ様のご両親も出迎えてくれました。
こういう時自分が上位貴族である事を実感します。
ご両親はとても丁寧に挨拶をして下さいましたが、かえって恐縮してしまいます。
お世話になっているのはこちらですから。
フランツ様にもシュザンヌ様にも沢山お世話になって、私達はやっと2人で歩んで行ける決意が出来たのですもの。
フランツ様のお母様はとても快活な方で、なんとなくシュザンヌ様に印象が似ています。
「ユリテーヌ様、シュザンヌは意地悪な息子の所為で外にも出して貰えませんの。どうか話し相手になって頂けませんか?」
「もちろんですわ。私の事はどうかエリーゼと呼んで下さい」
「そんな恐れ多いですわ」
「いいえ、シュザンヌ様とは一生お友達ですもの。遠慮なくお願いします」
「ではエリーゼ様、これからもシュザンヌと仲良くしてやって下さいね」
「私からも頼みます」
フランツ様のお父様も入ってきました。
「こちらこそよろしくお願いします」
ご両親との挨拶を終えて、シュザンヌ様の使っているお部屋へやって来ました。
「シュザンヌ様ってば、フランツ様だけでなくご両親にも大切にされていますのね」
「そうなんですの。お義父様もお義母様も本当に良くして下さいますのよ。私こんな無鉄砲ですのに」
ええと、シュザンヌ様自覚はありましたのね。
でもそこは敢えてスルーしておきましょう。
「失礼します。若奥様お茶をお持ち致しました」
メイドさんが入って来ましたが、わ、若奥様!?
「ありがとう。後は私がやるわ。積もる話もあるから、暫く2人にしてくれる?」
「はい。御用の際は呼び鈴を鳴らして下さい」
「ええ。退がっていいわ」
メイドさんは静かに退出していきました。
シュザンヌ様はお茶を入れて私の前に置きます。
「ちょ、ちょっとシュザンヌ様、若奥様って呼ばれてますの?」
「ええ。あ!そうですわ!お話しなけれはいけないんでしたわ!私達結婚を早める事になりましたの」
「ええっ!それはまた急ですわね。何かありましたの?」
シュザンヌ様は少し赤くなりました。
「ちょっと大人の事情ですの。全面的にフランツ様の事情といいますか、同意の上といいますか‥」
「??」
「ま、まあとにかく早めましたの。せっかくだからエリーゼ様と一緒に式を挙げたいと言ったのですが、それはやっぱり時間が足りなくて叶わなかったのですわ。ですからエリーゼ様の2ヶ月後に挙げる事になりましたの」
「おめでたいですわ!!フランツ様は1日でも早くシュザンヌ様を妻にしたかったのですね!」
「その点ではランドゥール様には負けますわ。エリーゼ様を手に入れる為に、作戦まで練られて。ホホホ!」
「そ、それは忘れてあげて下さいな。お互いに色々誤解がありましたし」
「女狐も捕まりましたし一安心ですわね」
「そういえばこの前聞けませんでしたが、どうやってあの部屋を突き止めたのです?」
「ああ!あの時私邸の周りを探っていたと言いましたでしょう?一周してみたらあの部屋のカーテンだけ分厚く、他の部屋は薄いレースのカーテンが引いてあったのですわ。いかにも隠れていますと言わんばかり。それで近くに落ちていた石を投げてガラスを割ったのです。あれだけ分厚いカーテンなら破片も飛び散らないと思いまして」
「ほーっ!流石ですわシュザンヌ様!でもシュザンヌ様がやってはダメですわ!危険ですもの。あの時フランツ様が現れたから良かったようなものの、一歩間違えば怪我をしていたかもしれないんですから」
「それは本当に反省していますわ。フランツ様にコッテリ絞られましたもの」
「でもフランツ様って情熱的ですのね。溺愛されてますわシュザンヌ様」
「そ、それならエリーゼ様だって!」
「まあ、それは置いといて、あの時何か約束されていましたけど、何の約束ですの?」
「い、言えませんわ!2人だけの秘密ですもの!」
シュザンヌ様は真っ赤になりました。
「え〜!親友の私にも教えて下さらないの?なんだかフランツ様にシュザンヌ様を取られてしまったみたいで寂しいですわ!」
「そんな事を仰っても言えませんわ!は、恥ずかしい事なんです」
「ベッドを共にとか?それで挙式を早めたのですか?」
「エリーゼ様ったらもう!そんな堂々と!ベッドは済ませましたわ。式を早めたのは想像通りです。でも約束はもっと恥ずかしい事なんです。ですから言えませんわ」
「貴族の令嬢にとって一番大切な仕事は跡継ぎを産む事ですわ。ですから恥ずかしがらないで教えて下さいな。私もベッドは済ませたどころか、今は寝室も一緒ですもの。参考までに、ねっ?」
エマの受け売りですが。
「‥‥入浴を‥一緒にしましたの」
「‥入浴って‥‥ええっ!!大胆ですわね!」
「私が言い出したんではありませんわ!フランツ様がベッドを共にしてから毎日言い続けて、ずっと断っていたんですが、あの時怒っていらしたでしょ?ですからやむなく‥‥ですわ」
「フ、フランツ様って‥本当にシュザンヌ様を溺愛していらっしゃるわ。もうお腹いっぱいですわ」
女子トークもオトナ女子トークに変化してきた私達です。
時間が経つのはあっという間でした。
今日はティエリーが帰りに寄って私を迎えに来てくれるのです。
そろそろ時間なので、玄関ホールで待っていようと2人で降りて来ました。
表が騒がしくなり、お迎えが来たのかと思ったら、フランツ様とティエリーが一緒に現れました。
「今日はティエリー君の所に用があって、聞いたら迎えに行くって言うから一緒に帰って来たんだよ。エリーゼ嬢今日はシュゼの相手をありがとう。シュゼ、いい子にしてた?」
「していましたわ。すごく楽しかったです。エリーゼ様今日はありがとうございます」
フランツ様はシュザンヌ様の腰を引き寄せ、ピッタリくっついています。
なぜかティエリーも私の腰を抱き、ピッタリくっつきました。
「シュザンヌ嬢改めてお礼を言うよ。ただ危険だから気を付けてね。それじゃあ僕等はお暇するんで、またリーゼに連絡してやって」
「ええ。エリーゼ様また!」
「シュザンヌ様連絡しますわ!」
私達が馬車に乗り込み走り出すまでシュザンヌ様とフランツ様は見送ってくれました。
その間フランツ様は何度もシュザンヌ様の額や頬にキスをしていましたが。
この間からお2人に当てられっぱなしですわ。
「リーゼ、今日は楽しかった?」
走り出してすぐにティエリーが聞いてきました。
「ええ、とっても!あら?帰り道が違わないかしら?」
「気付いちゃったか。サプライズの予定だったのにな」
「えっ?どういう事?」
「せっかくだから外食しようと思ったんだ。たまにはデートしよう」
私は思わずティエリーに抱き付きました。
「充分サプライズだわ!凄く嬉しい!!」
「喜んでくれて何よりです。お姫様」
「まあ!ウフフ。私の王子様はサプライズがお上手ね」
「お褒め頂き光栄です。つきましてはお姫様にキスのご褒美を頂きたいのですが?」
「喜んで!」
そっと唇を重ねてティエリーの優しさを噛み締めました。
もう少しで完結予定です。
いつもありがとうございます。




