エタ(更新停止)について知ろう
エタの定義:連載中作品(未完結)で最終更新日から半年経過している作品
☆データ情報☆
※今回の使用したデータは2018年10月13日現在のものです。
※作品情報->なろう小説API
※これらのデータは公式から提供されるものではなく、個人が集めたデータからの推測です。そのため実際の値から多少ずれがあります。ご承知おきください。
「さて、今回はエタに関するデータを見ていくぞ。今回のデータは短編作品を除いたデータであることに注意な」
「はーい」
「まず、小説家になろうの全連載作品の内訳からだな」
「へー、完結したのは連載作品の中で23%なんだ。あんまり完結作品ってないんですね」
「そのようだな。完結できる作品は少ない。まずこれが現実だ」
「えー、でも先輩。そのうち完結するんじゃないんですか? そうすると完結作品も増えるんじゃないんですかね」
「そう思うだろ。だが、現実は残酷だ。小説家になろうでは長期連載停止というフラグがある。こんな文面を見たことはないか?」
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「あ、見たことあるかも」
「このフラグはなろうデベロッパーによると、最後に更新してから63日以上経過した小説に表示される。
この表示がついている小説が連載中の作品にどれだけあるか集計した」
「え! 連載中小説の89%についているんですか! ほとんどじゃないですか」
「小説家になろうで完結していない連載作品は25.2万作品あるがそのうちの89%、22.5万作品は2ヶ月以上更新されていない」
「あー、そうなんだ。でも更新が遅い人だっているんじゃないですかほら2ヶ月って短いですよね。すぐたっちゃいます」
「そうだな、ではこの2ヶ月を変えてみたとき、割合がどうなるか見てみよう」
「1ヶ月だと更新された小説割合は10%きるんですね。3ヶ月だと15%くらいですか、1年だと30%なんですね。ほらみなさん更新してるじゃないですか! 2か月だとやっぱり短いですよ」
「これを見るとそうだな。だが、これだと最近投稿された小説は全てが含まれてしまっている。年々投稿数は増えているから直近を含めると割合も多く見えてしまう。それを除くために2016/12/31までに投稿された作品に限定して集計する」
「え! 期間を変えてもほとんどが更新停止じゃないですか!」
「約2年前に投稿された作品に限定すると、更新停止期間を2ヶ月から1年にしてもほとんど割合は変わらない。3%が6%に変わるくらいでほとんどの小説は更新されない。この2ヶ月という値も結構妥当だな。昔の作品でこの表示がでていれば90%以上の確率で更新されない」
「うわー……そうなんだ」
「さて、ここから本格的にエタ作品について見ていくが、ここでエタの定義をしておこう
今回のエタの定義は
『2018年10月13日時点で、最後に更新してから半年以上経過している未完結作品』とする。
また、今回の集計対象は2017/12/31までに投稿された連載作品に限定する。最近の作品を入れると更新割合が増えるからな。それを考慮した連載作品の内訳を見てみよう」
「わ、更新停止が70%……これが完結しない作品たちなんですね……」
「2018年以前に投稿された27.2万作品のうち、完結したのは6.7万作品、更新中が1.3万。そしてエタ。更新を停止している作品が19.2万作品だ。全ての連載作品の70%をしめる。つまり小説家になろうの作品のうち70%は完結しないといっても大げさではない」
「前回のあれって本当だったんだ。びっくりです」
「小説家になろうでは完結しないことの方が普通だ。完結作品というだけで少数派になるんだよ。では次に、ジャンル別にエタ率を見ていこう。ジャンルによってどう変わるかな」
「結構ジャンルによって差がありますね。へー、童話の完結率がすごいですね。あとは推理やホラー、リプレイなんかが多いです」
「どうやらジャンル間でもかなり差があるようだ。オチを考えないといけないジャンルや設定を考える必要がある作品の完結率が高いな。たとえばミステリー。これはトリックや犯人をある程度考えていないと書けない」
「行き当たりばったりでミステリーって書けないですよね。すぐに詰まりそう」
「あとは完結までの長さにもよるな。童話はそこそこ短い話数で書くことが多い。逆にファンタジーは壮大になりがちで完結までたどりつけないことも多い。ジャンルごとのエタ率を抜き出して見てみよう」
「大半のジャンルが半分超えてますね……」
「エタが多いのはアクション、パニック、VRゲーム、コメディ、ハイファンタジー。これらのジャンルは導入を書くのが簡単ではあるが終わらせ方が難しいジャンルだ。あまり設定を練らないで書き出して途中で終わるパターンが多そうだな」
「あー、ありますね。書き始めるのはいいんですが、途中で詰まっちゃうのが。投稿はしていないですけどよくあります」
「そういった人も多いようだな。一応完結率も出しておこう」
「へー、完結率が低いのはハイファンタジーやアクション、VRゲームなんだ。やっぱり完結させるためのハードルが高いと完結しにくくなるんですね」
「特にハイファンタジーやVRゲームがそうだな。書き始めは楽だが落ちをどこに持っていくかが難しい。はじめから着地点が決まっていればいいが、たいていの場合は決まっていないからな」
「うーむ、そういえば先輩。ポイントとかはどうなんです。評価が低くて書かなくなる人も多いんですか?」
「まぁ、気になるところだな。エタとポイントの関係を見ていこう」
「低ポイントの作品は更新停止が多いですね。ポイントが多くなると連載中の割合が増えてますね。1万ptを越えるとさらに増えてますね。あ、でも完結率はあんまり変わらないですね40%位なんだ。へー」
「書き始めたはいいが思ったよりも見られなくて放置する人も多いようだ。低ポイントの作品にエタが多いし、エタだからポイントが入らないとも言えるな。ではエタ率だけに注目してみよう」
「不思議な形です。ポイントが増えればエタ率って減っていってます。でも2千ptくらいからちょっと増えてます。1万ptくらいからはまた減ってますね」
「2千ptあたりのエタが多いのは書籍化ねらいの作者によるものだと思われる。小説家になろうで書籍化されるための目安はだいたい1万ptくらいだ。あまり低いポイントでは書籍化されることが少ない。書いたはいいが、そこまで伸びなかったため放置された作品だろうな。だが、1万ptくらいになると書籍化が現実味を帯び始めるからな更新割合も多くなる。またポイントが入る作品は定期的に更新されるからなそのためエタ率も減っている」
「あぁ、なるほど」
「ポイントが少ないとエタりやすいのは確かだな。やる気がなくなる場合も多い。だが、更新されないとポイントが入りにくいのも確かだな。ゆえにエタ作品に低ポイントが多い。悪循環だな」
「うーん、難しい」
「なかなか難しい問題だな。さて、最後に作家についての活動期間を見ていこう」
「活動期間ですか?」
「エタとも関係するのだが、どれだけ書き続けることができるのか調べてみた。小説家になろうで小説を書いている人は約20万人いるがどの程度の期間執筆活動をしているか集計してみたぞ。活動期間は最初に作品を書いてから、最後に更新をした日の期間としている」
「え? 1日以内がすごく多いんですけど? 嘘ですよね?」
「嘘ではない。これが現実だ。7万人の作者(3人に1人)は1日。つまり、短編や連載を1回だけ、または一気に投稿して終わるようだ。続けてる作者は少ない。
1ヶ月以内に作家活動を終えるのは約半分の10万人だ。累積度数で見るとよくわかるな」
「1年間続けている人は20%なんだ。何という厳しい現実なんでしょう」
「まず1日で35%、1週間で43%、1か月で53%が脱落する。このグラフを逆にすると生存率になるな」
「続ける人って少ないんですね」
「ああ、どんな分野でもそうだが、続けることが一番難しい。そして、今まで見てきたが、0ptや0感想の大半はすぐにやめた人だ。それを示すために継続期間と獲得した合計のポイント数合も調べてみた」
「活動期間が長くなればなるほどポイント増えてるんですね」
「1日で終わった作者の70%はポイントが0だ、それが一週間では50%。1ヶ月では40%、3ヶ月では30%、1年では15%まで減る。そして高ポイント割合も増えていく。
まず、ブクマやポイントがもらえないと嘆くのならば続けることが最適解だ。なんだかんだ続けていれば評価やブクマされていく。
書き続けている作者でいうなら0はあまりいないんだよ。
厳しい現実にさらされている作者のほとんどは、すぐにやめた人だ。それか始めてすぐの人。すぐにポイントがもらえることは期待してはいけない。まずは半年くらいは続けることが大事だな」
「あー、心に響きます」
「今回はエタについてみてきたが、書き続けることの難しさがわかったな。正直なところ書き続けるってかなりすごいことなんだよ。ほとんどの人が辞めていく中、それでも書き続けるのはもはや才能だな」
「私も頑張って更新続けます!」
エタは小説家になろうでは普通。エタることを恥じてひっそりと去る人もいます。
それよりはリベンジ、リメイクでも次の作品につなげてもらえると読者としては嬉しいですね。
恥じることはないのです!
※今回の元ネタ
『この世界がゲームだと俺だけが知っている』
https://ncode.syosetu.com/n9078bd/
書籍化、コミカライズ済み。
2012年4月より連載開始、2016年11月から更新が停止。
(*エイプリルフールネタは除く)
終わりまであと3話という完結間近の更新停止である。
作者死亡説、異世界転移説、異世界転生説がささやかれる中、
その1年5か月後の2018月4月に突然更新を再開して無事完結。
生きとったんかワレ!、状態である。
ーあらすじー
バグ満載のため、ある意味人気のVRゲーム『New Communicate Online』(通称『猫耳猫オフライン』)。
その熱狂的なファンである主人公は、不思議な道具の力でゲーム世界に飛ばされてしまう。
突然の事態に驚く主人公だが、そこは勝手知ったるゲームの世界。
あらゆるバグを使いこなし、ゲームの仕様を逆手に取る主人公。
常人では考えられないそれらを喜々として説明する主人公に周りがドン引きしながら、元の世界に戻る方法を探すお話。
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シリアスなのにギャグ万歳、バグ満載。ヒロインいっぱい。
バグを利用したトリックはもはやミステリー。
伏線の回収技術は超一流で、感動もの。
そして敵の倒し方がひどい。特に魔王やラスボス。
こんなにかわいそうな魔王やラスボスがいただろうか。
冒険、バトル、コメディ、ラブコメ、ミステリー、バグがいっぱい詰まった小説です。