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安全地帯  作者: 夜月綺麗
5/5

時は夕暮れ

遅くなりましたが、連載再開です!是非よんでください!

ん?なんか香ばしい匂いがする。


アラームが鳴ってない、、てことはまだ7時前か。



まだ寝てたい。けど、恐らく今キッチンにイヴがいる。



俺は重たい腰を上げてベッドから立ち上がりキッチンに向かった。



キッチンに向かうにつれていい匂いは増してきた。



「イヴー?いるのか?」



俺はキッチンの扉をあけた。



開けた扉の先には制服の上にエプロンを着けて料理をしているイヴの姿があった。


おお...



「あ!アダム!起きたのね!朝食あと少しで出来るから!」



イヴは顔だけ俺に向けてそう告げた。



「お、おう。ありがと」



俺は思わず照れてしまった。



いやぁ..なんというか..その..夫婦..みたいで..



俺はそんなこと思いながらテーブルに腰をかけた。



それと同時に



「出来たわよ!はい!肉じゃが!!」



イヴは俺の目の前に料理を並べて椅子に座った。



「あれ?イヴはたべねーの?」



イヴの分がない



「ええ、軽くすませちゃったからね。今はこれ(コーヒー)だけでいいのよ」



イヴはコーヒーを飲みながら俺にいう。



あー..懐かしい。 昔..まだ俺がガキの時は母さんとよく一緒にご飯を食べたな。 俺はご飯食って、母さんはコーヒー飲み。俺はその時間が好きだった。 だが、ある日突然母さんは家に戻らなくなった。それからは1人で飯を済ませて、誰かと一緒に朝を迎えることはなかった。

けど、今はこうして...



「な、何よ!私の顔に何かついてるの?」



あっ、やべぇ。昔の事思い出しながらずっとイヴの事みてた...だって、イヴが母さんにみえるんだもん。



「いや..なんでもないよ」



俺はそう言って肉じゃがに顔を向けた。その時までは俺はそれを肉じゃがだと思っていた。その時までは...の話だ。だがこれをみてしまったら肉じゃがと言えるだろうか。答えは、否だ。


「あ、あのさイヴ。聞きにくいんだけどこれ..本当に肉じゃが?」



俺は恐る恐るイヴに聞いてみた。



イヴは「何言ってんだコイツ?肉じゃがに決まっとるやろうが!!見てわからんのかいゴルァ」って顔をしている。



やはり聞くのはまずかったか...



「何を言ってるのかなアダム?」



ほら、聞いちゃいけなかったんだ。顔はニコニコしてるが、俺には分かる怒ってらっしゃる。けど、俺は諦めない。だって..だって..



「肉じゃがなのに肉が入ってないじゃないか!貴方はこれを肉じゃがと仰いましたね?普通肉じゃがというのは肉とジャガイモがメインの料理ですぞ?なのに、ジャガイモだけなんて..これは肉じゃがじゃない!ただのジャガだ!」



俺はイヴに肉じゃがの説明をし、ついでに一口食べた。くそ..悔しいことに味だけは美味い。



俺の言葉にイヴは反撃してきた。



「に、に、肉は入れ忘れただけよ!それかなに?私が肉じゃがを知らないとでも?」



イヴは鼻で笑いながら言ってきた。



はぁ...これは長引きそう。どちらかが引かなければ話は長くなる。俺はイヴより大人だ。大人なんだ。だから俺が引かなきゃ..



「わーた..わーたよ!これは肉じゃがです。俺が間違っていました。どうかお許しください。」




俺は棒読みでイヴに言った。そのことをいいことにイヴは更に俺に言ってきた。




「ほらね!私が正しかったでしょ?まぁ私が正しかったから私の言うことを聞いてもらうからね!」



「はぁ!!!!?聞いてねーよ!」



突然すぎる。あーーめんどくせ。やっぱり前言撤回。この女くそ性格悪すぎる...ドSか?




「あのなぁ..ちなみどんなことを俺に命令するつもりだよ」




それが問題だ。変な命令だったら即却下だ。だがマトモな命令だったら...いや命令ってのはムカつくな。お願いだったら聞いてやらんでもない..な。一応、コイツに面倒見てもらってるからな。



「私、チョコレート食べたい。あと、マシュマロとマカロンとイチゴとぉ..まぁなんか甘いものポケットから出してよ〜」



はい、却下。



「俺はどっかのネコ型ロボットか!そんな甘いもの沢山出てくるポケットはねーよ。あとそんな食うと太るぞ」



俺は腕を組みながらイヴに言う。



「えーー出ないのぉ〜?え、太る!?はははっ大丈夫よ! 私太らないので 」



あ?どこのドラマの主人公のセリフだよ。けど...こいつスタイルはいいんだよな...



「わーた。てか、時間やべー。そろそろ行こうぜ。帰りに買ってやるよ」



俺はイヴにそういうとキッチンを出た。



キッチンの方から



「絶対だぞ〜!」



というイヴの嬉しそうな声が聞こえてきた。




「ハイハイ...」



俺はイヴに聞こえるか聞こえないかの声量で返事をした。



俺とイヴはいつもと同じく一緒に登校する。



「はい!これ私の欲しい物リスト!」



「げっ...」




イヴは俺に紙を渡してきた。



さっき俺が言ったこと本気で受け止めたのか?ってか食べ物じゃないの?欲しい物なの?


ちっ..


俺は紙を開けてみた...え..?



そこには “ アダムと一緒に平和に暮らせる日々が欲しい ” と書いてあった。



「イヴ...お前..」




俺は涙目になりながらイヴの方をみた。イヴは頬を染めながら少し怒った顔をしてそっぽを向いていた。


コイツ...本当にツンデレだな。だが、正直嬉しい。



「だな..俺もイヴと平和に暮らせる日々が欲しい」



俺は空を見上げながらイヴに言った。すると更にイヴは顔を赤くし俺に言った。



「し、、下のやつもだからね!」



下のやつ?俺は紙の下の方に目をむけた。そこには..."マカロン食べたい。貴方のお金でね"


......。。本当にコイツは...俺は帰りにマカロンを買うことを決めた。



それから俺とイヴが横断歩道で信号待ちをしている時..



「君...能力者になったんだね。 しかもFAP(Forbidden Ability person)..大物だぁ〜」



俺の耳元で誰かが囁いた。この声...俺は振り返った。やっぱり...!!!アップルだ!!



「テメー!イヴ、お前は逃げろ!!出来るだけ遠くに!早く!!」



俺はまずイヴの安全を第一にとった。だが..



「イヴ!早くしろ!」



イヴが動かない。どういうことだ?これも能力の..いや、コイツの能力はjudgeのはず..こんな能力なはずがない。



「あぁ!無駄無駄!!時間止めてるからね!今動いたり話したり出来るのは僕達だけ!多分僕がいることも知らないと思うよその子」



アップルは笑いながら言う。



「お前!何しにきた!!!よくも高杉を!!お前は..お前は..今!!!ここで!!!俺が殺す!!」



俺は全力でアップルを殴りに向かった。



「あーあ..僕は闘いにきたんじゃないのに..悲しいよ... 『Space transition』」



あれ?俺は確かにアイツを殴った..はず。



「あはは!君は僕に攻撃を当てる事なんて出来ないよ!それより君、そんな大層な能力あるのにどうして使わないの??」



「ああ??」



何言ってんだコイツ。



「なるほどね...そう言うことか」



アップルは顎に手を当てながら一人で納得した。



「まぁ..それなら問題ないや!今日来たのはね!君を『ABUSE』に誘いに来たんだ!君は本当はこっち派なはずだよ!その能力が発揮出来るはずだよ!」



俺を『ABUSE』に誘いにきた?



「俺の飛行能力の何がいいんだ!俺は絶対お前を許さない..高杉を..」



俺は高杉の事を思い出して、奥歯を噛み締めた。



「高杉?あーーー、まさかこれのこと?」



アップルは思い出したかのように能力を使った。

すると、あの時のように魔法陣が空中に浮かび上がり、その中から何かが降りてきた。



「お、お前!」


ありえない...そんな..嘘だ...



魔法陣から出てきたのは高杉だった。



「お前!!死んだはずじゃ..生きてたのか!?」



俺はアップルがいるのを忘れて高杉の方へ向かう。

本当は走りたかったがあまりの驚きのあまり、力が抜けて走るのは困難だった。



「アダム..アダム」



高杉は俺に気づき名前を呼んでくれた。



「やっぱり!高杉生きてたのか!!生きて...たのか」



やっとの思いで高杉の前に着き俺は高杉に抱きついた。



「ごめん!ごめん!ごめんなさい!守りなかった!助けたかった!俺が、俺が弱いばかりに!」



俺は心の中に留めていた高杉への思いを全て高杉に伝えた。その瞬間...



「あぁ!?お前今更何言ってんの?俺はお前のせいで死んだんだ。」



高杉は俺の事を突き飛ばし今まで見たことない表情をしていた。



「高杉...俺は!本当にお前に謝りたく...」



「うるせーよ。お前は俺を見捨てたが、アップル様は俺を見捨てなかった!お前は俺を見捨て被害者面することで牧野さんと仲良くなれた!!お前は俺をだしに使ったんだ!!利用したんだ!!俺が牧野さんに好意がある事を知ったうえで俺を..俺をだしにしたんだぁぁ!!!だけど、だけど...アップル様は違う。そう、アップル様はこの世の神の存在になるお方なんだ!俺もこうして生き返らせてもらった、それが何よりの証明だ!!!アップル様の能力こそ、、最強の"FAP"なんだぁ!!」



な、なにを言ってるんだ...?お前はあいつに!!それよりも、能力...?何故高杉が能力の事を、


、「高杉!俺はお前をだしなんかにしていない!お前がイブの事好きだったなんて知らなかった!それより、お前は..お前は何を知ってるんだ!何故能力の事を!」



俺が高杉に問いたその時



「あれれ?知らなかったの?あんな近くにいたのに。高杉君はね〜..いや、高杉君のご両親はねABUSEのメンバーだったんだぁ〜」



アップルはニコニコしながら俺に言う。



高杉の両親がABUSEのメンバー!?!?何かの間違いだろ。いや、これは俺の心を乱れさせる嘘だ。



「あれ?嘘だと思ってる?..はぁ...君、頭弱いでしょ?」



アップルは爆笑しながら俺の方へ降りて来て俺の前に立った。



「能力を持つ家系ってその子孫にも影響が受けるんだよ。君もそうだろ?」



「俺も、、母さんの事か!?」



俺の母さんは能力者だ。もし、コイツの言うことが正しければ、俺は母さんの遺伝で能力の種を持っていた。そしてその種が芽生えるためには極度の哀しみが水の役割をする。ってことか



「そう、君の家系は特別だ。なんだってあの「エデン」と「神」の息子なんだから」



え...は?コイツ何言ってんだ。



「俺の母さんは天草薫だ!父さんは俺が生まれる前に死んだ!お前は何も俺の事を知らない!全てハッタリだ!」



俺は飛行能力を使いアップルと距離をとった。




「何も知らないのはお前だろ!!」




高杉が俺に向かって叫んだ。そしてそれに続いてアップルが



「んー..そろそろ時間だから行かなきゃ行けないんだけどなぁ...アダム君。僕はこの世界が出来る前からいるんだ。そして君のお父さんに敗れた一人だ。まぁ、何か聞きたい事あればこれで来るといい」



アップルは俺に鍵を投げた。



「ABUSEの入り口だ!もし、真相を聞きたければ来るといい!だけど、その時はABUSEに入って貰うからね!」



アップルは俺にそう言って高杉を連れて魔法陣の中へと消えて行った。



アップルと高杉は空間移動により俺の前から姿を消した。



アップルが消える事により能力の効果は消え、周りの時間は再び動き出した。



「あとケーキも食べたいな!」



イヴは何事もなかったかのように俺に言う。俺はそんなイヴにさっきの出来事を話そうとしたが、またイヴを巻き込むかと思うと気が引けて言うことが出来なかった。



「わかったよ、チョコケーキも買ってやる」



俺は信号を渡りながらイヴに言う。



「やったー!!」



イヴは嬉しそうに飛び跳ね俺の方へ来た。



やはり、2人で歩くと色んな人の視線を浴びる。俺らはいつもと同じく少し距離を開け、平行に歩いた。本当ならもう学校に着いてるはずだったが、アップルの時間停止のせいでまだ、学校の近くのコンビニだ。 流石にここまでくると同じ学校の奴らが多くなってくる。



「イヴ様から離れろゴボウが」


「アダム君と距離近いわよビッチ」


「あぁ、イヴ様どうか私めを罵ってくださいませ、いっそ踏みつけて下さい」



ん?また変な奴がいるようだが、無視しとこう。



俺がそんな事思いながら校門をくぐると



「がっ..はっ!」



目の前が歪んで胸が苦しくなった



「アダム!大丈夫!?」



イヴは俺の異変に気付き駆けつけてくれた。そして、俺らのことを見ていたやつも異変に気付き俺とイヴの周りに集まってきた。いや、それよりこれはなんだ?イヴや他の奴らには何も起きてないのか?



「大丈夫だ..問題ない...はずだ。俺は保健室寄ってから教室行くから先に行っててくれ」



俺は胸を押さえながらイヴに伝えた。イヴは不安そうな顔をしていたが俺が



「大丈夫。何もないから」



と微笑みながら言うと、ほっと一安心したかのように目を閉じ



「わかったわ。さぁ皆んな!行こう!」



と野次馬も連れて学校の中へ入って行った。



野次馬とイヴが居なくなったところで頭を整理しよう。俺は近くの木に腰を下ろし座りながら考えた。まず、この謎の痛みがあるのは恐らく俺だけ。朝食や睡眠などは問題ないはずだし。それじゃあなんなんだ。これも能力なのか。


あーー!まうわかんねっ!俺は頭をかきながら空を眺めた。青い空に白い雲がいくつもある。そして風が吹き、木の葉っぱがゆっくりと動く。この光景を見てると眠たくなる。更に眠気を誘うかのように学校のチャイムの音が聞こえてくる。


「おっと!あ!やべ、寝そう」


ついウトウトしてしまった。んー..まだ胸が痛い。


俺は胸をさすりながら思う。この痛みが一瞬にして治んないかな...と俺が考えてたそんな時



「は?あ、れ?」



痛みが消えた。え、どういうことだ!?一瞬にして痛みが消えた..まさか、、俺が一瞬にして消えたらって思ったからか!?も、もしかして、俺の本当の能力って...



「ほお、、貴方が薫さんの息子さんですか、、アア"!?」



どこからか、声がする



「誰だ!!」



薫?母さんのことか!?



『斬空断』



俺の目の前に何か空気のような斬撃が飛んできた。



「誰だ!!何か知らねーけどあぶねーだろ!!」



俺は校庭を見渡したが誰もいない。



「はぁ?今のでわたくしの位置も分からないのですか、、アア""!?」



なんなんだこの声、奇妙すぎる。上品な言葉遣いなのに、語尾が何故か怒っているような..だが、いい機会だ。俺の能力がもし本当にそうだとしたら試すことが出来る。



「出てこいよ!どうせ俺と勝負しにきたんだろ?」



俺は周りを見渡しながら叫んだ。



「ほほお..物分かりは良い猿のようで助かります...アア"!?」



突然俺の目の前に魔方陣が出てきた。そして、そこから黒いスーツを着た女が出てきた。



「おお?お前がさっきからなんかゴチャゴチャ言ってるやつか?」



俺は少し距離を取りながら女に話しかけた。



「おや、随分と威勢のいい猿だことフフフ.. アア"?」



女は口に手当てながら俺に言う。とりあえず、もう一度コイツにあの斬撃を撃たせなければ...



「お前の斬撃遅すぎで当たんなかったぞ?」



俺は試しに煽ってみたが、反応がない。



「ほお..遅すぎましたか..これは失礼しました。ならば、これはどうですか?」



今度は空中に魔方陣をだし、大剣を取り出し女は微笑みながら



  『空間断破 χ』



と言い、大剣を俺の方向へ振り下ろした。すると、振り下ろした先の空間を引き裂きながら何か目に見えないものが俺の方へ飛んでくる。試す..、漫画やアニメでしかみたことはないが、一か八か!!



「『シールド』!!」


俺は目を閉じながら校庭に響くぐらいの声で叫んだ。


目をゆっくりと開けてみると、俺は青い空間の中に囲まれていた。どうやら、斬撃は防げたみたいだ...それと、これでハッキリした。俺の能力は俺の想像したものが現実になる能力なのかもしれない…







読んでいただきありがとうございました!次話は近日公開!是非そちらもお願いします!

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